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2話・おかしな婚約者




初めて婚約者の剣さんと会ってから、3日後。



私は今、言葉を失うほど驚いている。




「どうですか、佳世さん!!」




目をキラキラさせながら私に声をかける人物は無視して、玄関に置かれた物───大きな大きな観葉植物を見て、それはそれは驚いている。




まだ若いけれど、腰を抜かすかと思った。



危うくこの歳で腰が使い物にならなくなる所だった。




「な、」



「な??」




「なんなんですかっ!これ!!!」




ようやく状況を理解し、冷静になった私は叫んだ。



目を丸くさせた婚約者───剣さんに向かって。




「まずですね、今何時か分かってますか?」



「朝の6時ですね。」




6時ですね、じゃない。



朝の6時など、誰も起きていないかもしれないほどの早朝に尋ねてくる人がいますか。



私がたまたま早起きをする性分だったからいいものの、



というかそもそも約束も何もしていないというのに。




「常識的に考えて下さい…時間が早すぎます。普通この時間はあまり人を訪問する時間では…」




「あっ!もしかして呼び鈴で起こしてしまいましたか!?すみません…」




「あ、いえ…起きてはいたのでそれは良いんですけど…」




これは厄介です。悪気は無さそうなので強く言えない。



慌てたように謝る剣さんを見て、私は脱力した。




「でも、次からはせめて来る前に連絡を下さい。それと、あの…」




言いながらチラッと横に目を向けると、存在感がありすぎる観葉植物。



なんだこれ……本当に。




「これ、何ですか?」




私は今まで、男性とお付き合いをしたこともないし婚約者との関係というのもよく分からない。



だからこの急な訪問と変な観葉植物を持ってきたことに何か意味があるのか…



前知識が無さすぎて正直困惑しています。



もしかしたら、世間一般で言う婚約者のしきたり…とかなのかも。




私はなるべく動揺を隠して剣さんに問いかけた。




すると剣さんは満面の笑みでこう言った。




「僕の«心»を物体化したらこんなに大きな観葉植物になったんで、面白すぎて見せに来ました!!」



………………………………………………………。



なんですって?



「お、面白い…?」



「ハイ!」



「…何がですか?」



「こんな大きいんですよ!」



「すみません、意味がわかりません…」



「えー!!面白くないですか!?」




面白かっただけ…?こんな朝早くに訪問しておいて…??




意味が分からない………………なんでそんなに嬉しそうなのかも。




「えっ、あ、ていうか、心を物体化って…?」



気になることが多すぎて頭の処理が追いつかないけれど、とりあえず私は1番気になったことを聞いてみた。




「あ、僕神社の息子なんで神力があるんですよ。聞いてませんか?」




…は???




「聞いてませんよ!!!!!」




初めて婚約者に出会ってから、まだ3日だというのに。



私の婚約者、剣さんは意味がわからなすぎて、




元々仲良くするつもりはないけれど、益々その気持ちが強くなった。




(おかしな婚約者だな…………………)





とりあえず心からそう思った。




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