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夏の終わりに、風鈴を鳴らして

作者: 木谷日向子

汗をかいて疲れてしまった私の体は、ベッドから動けなくなってしまった


ベランダの風鈴には、筆で赤い金魚の絵が描かれている


今年は夏祭りになんて行けなくて、金魚なんて見なかったというのに


心地よい風、このまま止まないで


一人になりたい時、早く夏が来ればいいのにという気持ちになっていた


梅雨の激しい日、早く真夏になって晴れてほしいと思っていた


だが夏がやってくると、早く涼しくなってほしいと思うようになっていた


矛盾している12カ月の後半戦


もう夏は終わってしまう 今年の夏は二度と帰らない


夢でも見ていたかのようだった


サイズの合わないGパンを履いて、素足でベランダにそっと出て、


乾いた空気を吸い込む


ああ、夏が終わってしまう


背を伸ばして風鈴をちりん、と鳴らした


明日天気になればいい


やってくる9月を、風鈴の音で濁しながら待っている

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― 新着の感想 ―
[一言] 素敵なタイトルに、素敵な内容です。 切ない夏の終わりですね。
2021/09/19 18:26 退会済み
管理
[良い点] 早く涼しくなって欲しいと思う反面、いざ夏の終わりになると、寂しさを感じてしまう。人間の心理は複雑ですね。暑い季節の終わりに、最後の一仕事をする風鈴が何だか健気で好きです。
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