774 リインカーネーション44
裏切り者が誰かは分かった。
結局、私たちの仲間の中に裏切り者は居なかった。
誰も裏切っては居なかった。
アクシードの首領を買って出ていた道化師のような化粧の少年。私は彼が一番怪しいと思っていた。
だが、彼でもなかった。
あの少年は裏切り者ではなく、ただの道化だった。
少年が彼と関わらなければ気付けなかった。
あの道化師のような化粧の少年、その裏に居た存在――それこそが裏切り者だった。
裏。
そう――裏。
アクシードが生まれたのは、あの道化師のような化粧の少年が言い出したことが発端だった。
最後の四人。四天王。あの道化師のような化粧の少年はその例外だった。私すら気付かないうちに紛れ込んでいた。
気付かなかった、その理由。
ノルンによる関与。
彼の行動理由――。
私たちを、私たちの動き、考え、それらを誘導されていた。
色々なことが誘導されていた。
私たちはパンドラが必要だと思い込んでいた。パンドラを必要としていた理由。ノルンのエネルギーにするため? 新しいエネルギーを得てその力で世界を支配するため? 私たちの力を見せつけるため? パンドラの原料は分かっていた。今の時代の技術でパンドラを作ろうともしていた。それは全て、誘導されたものだった。ええ、利用されていた。組織には目的が必要だからと私はそれを認めていた。人もどきがどれだけ減ろうが、いくらでも再生出来るから、どうでも良いと思っていた。だから、それを許可していた。でも、それが間違いだった。
「ふふふ。面白い。私の裏をかいたつもり?」
裏切り者。
私たちからすれば裏切り。
裏切り者――いいえ、黒幕と言った方が良いのかしら?
その黒幕さんからすれば、当初の予定通りだったんでしょう。
私たち最後の人類の目覚め。
新しい世界の支配。
エーアイによる統治。
新しいエネルギーの確保。
続けられた実験。
そして、倒されるべき敵。
最終的に私たちは全て倒され、その後、表に出るつもりだったんでしょうね。
それに利用された彼。
……。
だけど、彼の存在自体はイレギュラーだったはず。
だから、あの道化師のような化粧の少年――フリーゲも彼を導いたんでしょうね。裏に居た存在を引きずり下ろすために。イレギュラーな存在である彼なら、変えてくれる。そう思ったんじゃない?
フリーゲは黒幕さんに逆らえなかったんでしょうね。だから、道化の姿をしていた。自分を道化だと自虐していた。そういうこと。
世界は生まれ変わろうとしている。
彼の行動が黒幕さんの筋書きを書き換えた。世界を支配していたノルンは壊れた。フリーゲ、彼の思惑通りに。
また世界は一から始めることになるはずだった。だけど、そうはならなかった。世界はノルンの手から離れながらも崩壊することなく、現状を維持するように再構築された。これはフリーゲにも、黒幕さんにも予想外だったことでしょう。彼の行動は、ノルンの崩壊を望んだフリーゲ、新世界の誕生を目論んでいた黒幕さん、その両方を上回った。本当に、彼はイレギュラーね。
全て予想外に、予想を超えて動いてくれる。
黒幕さん。
私を、私たちを虚仮にしてくれたお返しをしないとね。
でも、そのためには仲間が必要。
アクシードの仲間たちは彼に倒されてしまった。
最後の人類――。
「ふふふ。もう、そこにこだわる必要は無いのかもしれない」
仲間を見つけましょう。
協力してくれる人を手に入れましょう。
確か……。
そう、確か、旧時代の研究者たちの、その記憶を転写し地上に堕とされた中に……。
ええ、そうね。
マザーノルンが持っている情報の中にあったはず。
……。
……。
……。
……。
偉大な存在!
我ながらなんて皮肉。
……。
黒幕さんは分かった。
黒幕さんが誰だったのかは分かった。
だけど、私の力では届かなかった。
向こうの方が一枚上手だった。
だから、黒幕に従うふりをして力を蓄えることにする。
旧時代の亡霊。
まさか、天津老人の完全なコピー……いいえ、その発展系が存在していたなんて。だから、ノルンは従ったのね。フリーゲは従うしかなかったのね。アクシードの裏にこんな化石が存在していたなんて、本当に良いお笑い種ね。
私も道化の化粧をした方が良いのかしら?
……。
……。
……。
……。
でも、その偉大な存在も彼によって滅びた。
ええ、全て終わった。
彼が――本物の彼が終わらせた。
後は私を終わらせるだけでしょう。
でも……、
遊べるクソゲー、神クソゲーなんて呼ばれてるゲームのリマスターが発売されました。事前の動画では色々な改善をアピールしてたんですが、実際は悔恨まみれで他に直すところがあったんじゃあないか、さらに劣化? これならそのままの方が良かった、なデキでした。PCやswitchなどの様々なプラットフォームで遊べることは嬉しいし、続編も期待したいけど、これはさすがに酷い。某XのPV2が期待以上だっただけに比べてしまって……もうね。
……そんなどうでもよい愚痴でした。




