744 リインカーネーション’14
再開しました。
アマルガム101の様子がおかしい。何だか戦うことを恐れているような、何かに迷っているような、そんな感じだ。そういえば彼は授業の途中、反抗勢力の奴らに何か言われていた。もしかすると、それが原因かもしれない。
しばらくしてアマルガム101が授業に出なくなった。
「えー、アマルガム101君は体調不良でお休みです。えー、皆さんでアマルガム101君が早く回復するようにお祈りしましょう」
そして、先生はお祈りなんて訳の分からないことを言い出している。
お祈りって確か駄目だった時に、それを婉曲に伝えることだよね? アマルガム101の何が駄目だったんだろう?
……。
……。
……。
それからしばらくしてアマルガム101は戻ってきた。体調不良による病気療養は終わったらしい。
「お帰り、大丈夫?」
友人が戻ってきたアマルガム101に気軽な感じで話しかける。
「大丈夫ですよ」
アマルガム101は冷たく突き放すようにそう答え肩を竦める。
「はぁ? ちょっと、何その態度。こっちは心配してたのにさー」
「だから、大丈夫だって言ってるだろ!」
友人の言葉にアマルガム101が声を荒げる。
何だかおかしい。
この態度、アマルガム04ならまだ分かる。だけどアマルガム101はもう少し大人しい感じだったはずだ。こんな余裕のない感じではなかったはずだ。
何かがおかしい。
「えー、それではお友達も戻ってきたことだし、えー、今日の授業を伝えるぞー。みんなー、地図を見ろー。えー、その山岳部、えー、見えるかな? えー、そこに隠れている反抗勢力の拠点が見つかったー。これは情報提供者が居てだなー、えー、信じられるかどうかは半々というところだがー、まぁ、罠で待ち伏せがあったところで反抗勢力が居ることには変わりないからなー、えー、とりあえず潰しておくという方針だー。分かったか? 分かるよな? えー、そういう訳で皆、すぐに準備をするように。次のチャイムで荷運びに乗って現地襲撃だ。えー、わかったなー」
先生の言葉に皆が元気よく「はい」と答え、頷く。
戻ってきたアマルガム101のことは気になるけど今は次の授業の方が大切だ。あまりにも成績が悪かったら、退学させられるかもしれない。それはいけない。それはいけないことだ。
急いで装備の点検を行ないカーゴに乗り込む。
皆が乗り込み、カーゴが動き出す。
「……は、……だ」
何か声が聞こえ、私はそちらに振り向く。
「僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は……」
そこでは大事そうに砲身の長い狙撃銃を抱えたアマルガム101がブツブツと同じことを呟いていた。
「そういえばさー、アマルガム04は銃火器が好きだったよねー。アマルガム04とも授業に行ったのがさー、なんだか懐かしいなー」
友人はのんきにそんなことを言っている。
「僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は……」
アマルガム101は青い顔でブツブツと呟いている。
「ねぇ、君、大丈夫?」
その様子に少し心配になり、私は思わず声をかける。
「僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は……」
アマルガム101は狙撃銃を抱えたままブツブツと呟き続けている。私の声が聞こえていないようだ。
「おいー、話しかけてるだろ! 友達の言葉には返事しろや。おい、アマルガム101、聞こえてるだろ。ホント、なんなん!」
友人がアマルガム101のところまで歩き、その肩を揺らす。
「ぼ、僕に構う、な。構うな!」
友人のそんな行動にアマルガム101が青ざめた怯えるような顔のまま声を荒げ反応する。
「アマルガム101! そんなんだと授業で大変なことになるでー、そう大変なことにさー、ホント、分かってんの?」
友人はアマルガム101の態度に不満を感じながらも、心配し、ちゃんと気に掛けているようだ。
「アマルガム? 僕は……、俺は、あま……つ、いや、僕はアマルガムだ。アマルガム101だ」
アマルガム101は頭を振り、青ざめた顔でそう呟く。
やはり体調が悪いようだ。彼は長く休んでいたけれど、それでも、まだ病気が治ってないのかもしれない。
「えーっと、無理はしないでね」
「あ、ああ。わかった。分かってる。分かってる! 分かってんだよ! 僕は分かってる!」
アマルガム101が突然、声を荒げる。
「静かにしーや。ホント、なんなん、こいつ」
「あ、ついたみたい。えーっと、体調が悪かったら無理しないでね」
私はアマルガム101を見る。
「僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。俺は俺だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。俺は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は僕だ。俺は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は大丈夫だ。僕は……」
アマルガム101は青ざめた顔のまま砲身の長い狙撃銃を抱えブツブツと呟いていた。
「こんなん無視して行こー」
「えーっと、うん」
私はそんなアマルガム101を心配だなぁ、と思いながら、友人と一緒にカーゴを降りる。
心配だけれど、まずは授業だ。授業に遅れないように頑張らないといけない。




