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かみ続けて味のしないガム  作者: 無為無策の雪ノ葉
湖に沈んだガム

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308 最強の男03――「ふふん。お馬鹿さんでしょ」

 ……。


 小柄な男が警戒するように少年を見ている。そして何かに気付いたのかニヤリと笑う。


「なるほど、そういうことか。分かりましたよ。分かったんだよ。とーっても良く分かったんだよね」

 小柄な男はくくくと楽しそうに笑っている。

「あらあら、何が分かったのかしら? 自分のお馬鹿さ加減? ふふん、馬鹿は死んでも治らないらしいけど試してみたらどうかしら。自分で喉を掻き切って死んでもいいと思うのだけど、どうかしら?」

 少年の義手が振動し、小柄な男を馬鹿にするような言葉を紡ぎ出す。だが、小柄な男はその挑発を鼻で笑う。


「くくく、安い挑発だよね。そんなものに引っ掛かると思っているなら僕を馬鹿にしすぎだと思うね。君は彼をサポートしているエーアイ、そうなんだよね? 気付いたよ。気付いてしまったよ。ナノマシーンが使われていないから、僕でも気付けなかったよ。今時、そんなものが残っているなんてね。まるであの支配者気取りのポンコツのような……ああ、そうか。ナノマシーンが使われていないのは、ナノマシーンの集合体である彼に取り込まれないようにするためなんだね」

「……それで、何が言いたいのかしら?」

「全てお見通しってことだよ。サポートエーアイの君が制御出来るのはその義手だけだよね。どう、間違っているかなぁ?」

 小柄な男が少年から距離を取り、馬鹿にするな笑みを浮かべる。


「……」

 セラフは何も答えない。

「くくく。どうやら図星のようだね。だから、僕は君の挑発には乗らない。乗らないんだよ。だから、僕は近寄らない。だって、僕は最弱だから。そんな義手を振り回されたら、僕なんて簡単に殺されてしまうよね。だから、近寄らない。だから、挑発には乗らない。残念だったね。そんな義手に仕込まれている程度のエーアイが考えることなんてその程度だよね。もう僕が勝ったんだよ。勝利しているんだよ。最弱の僕が、策を考え、ここに誘導した時点で終わっているんだよ。その僕が危険を冒す必要は無いよね。反撃の隙を狙っているんだよね? 僕がその義手が届く範囲まで近づくのを待っているんだよね? でもね、火中の栗を拾う必要は無いよね。君の挑発も程度が低いエーアイの負け惜しみだと思えば心地よいくらいだよね」

 小柄な男がひっくり返りそうなほど背を反らし笑っている。


「はぁ」

 少年の義手が震動してため息を再現する。


「見え見えの挑発だよね。そんなものに引っ掛かる訳がないよね。このままどれだけ無駄なことをするか見ていようかな。くくく、もしかしたら僕が激昂して殴りかかるかもしれないよ。そうなると僕は負けちゃうかもしれないね。だって、最弱なんだから。さあ、早く僕を怒らせて。さあ、頑張って」

 小柄な男は笑い続けている。


「……ねえ、こういう話を聞いたことがあるかしら?」

「聞いたこと? 分からないね。何を言い出すのか楽しみだね。くくく、本当に楽しみだよ。飛び出してくるのは負け惜しみかな?」

「……がやられたようだな。奴は四天王の中でも最弱――って話? 聞いたことがあるかしら? 何でも旧時代では有名な逸話らしいのよね。どう、聞いたことがある? 最弱なお前なら知っているでしょ?」

 小柄な男はセラフの言葉を鼻で笑う。

「それ、挑発のつもり? 僕が最弱だから、そんなことを言っているのかな? そんな言葉で僕が怒るとでも? 僕はやられていないし、最弱なことを自覚している。そんなことを言われても君が壊れてまともに思考も出来なくなっているようだね、としか思わないよ」

「ふふん、もう少し右かしら」

「だから、何を言っているのかな? 本当に壊れたのかな? 壊れた機械相手にまともに相手をした僕が馬鹿みたいだよね」

 小柄な男がわざとらしく肩を竦め、ため息を吐く。


「ふふん。お馬鹿さんでしょ」

 セラフの笑い声。

「はいはい。声が聞こえた時は驚いたけどね、それだけだったようだね。僕は挑発に乗らないし、近寄らないよ。そのまま君の主が発狂して死ぬを見ていればいいよ」

「いい加減、お前の長話も聞き飽きたかしら」

「はいはい。反応するのも馬鹿らしくなるね。そんなことを……」

 小柄な男は次の言葉を発することが出来なかった。


「え?」

 小柄な男が自分の胸元を見る。そして、驚いた顔で少年を、その義手を見る。


「べらべらと喋るのは勝ってからにするべきだったんじゃないかしら? お馬鹿さん」


 小柄な男の胸に穴が空いていた。小柄な男が血反吐を吐き、驚いた顔のまま振り返る。そこに穴があった。壁に空いた穴。何かが通り過ぎたような穴があった。


「ま、ま……さか」

 小柄な男が胸を押さえる。通り過ぎた何かが体の中を、内臓を焼き切っている。致命傷だ。

「あら? あらあら? 気付いたのかしら? お馬鹿さんでも分かっちゃったのかしら」

「そ、と、のクルマ……から、だ、って……」

 小柄な男が膝を付く。


「ふふん。お馬鹿なお前に名乗っておこうかしら。私はセラフ。こいつ(ガム)のサポートエーアイでもなければオマケでもない。私は私。ふふん。最弱って名乗るだけあって本当に弱くて、頭も弱いお馬鹿さん」

オヤブンや色違い、付けた名前も反映するとかマジかー。

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― 新着の感想 ―
[良い点] だから情報は重要だって! [一言] 活かせなかったみたいですね。 というわけで……しょせん奴は最弱、四天王の面汚しよ! セラフはサポーターじゃなくてパートナーですもんね。一応。
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