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かみ続けて味のしないガム  作者: 無為無策の雪ノ葉
湖に沈んだガム

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246 神のせんたく31――「厚化粧が趣味だったのか?」

 一触即発。


 白粉(おしろい)女が病んだ瞳で俺を見る。俺は白粉女を射殺す勢いで(にら)み返す。


 火花が散るかのような睨み合い。

「お、おいおいおい、どうしてくれちゃってくれてんだよー」

 その横では冴えないおっさんが生きた屍(リビングデッド)のようにふらふら、うろうろとしていた。


 ――後は動くだけ。どちらが先に動くのか。


 俺は白粉女を睨みながら考える。

 どう攻撃する?

 どう反撃する?


「少しおまちになってほしいですわ」

 と、そこに待ったがかかる。扇を持った女――ミセンが扇をパチンと大きく鳴らしながらこちらへと歩いてくる。ミセンの顔色はすこぶる悪い。青く、若干の怯えも見える。だが、それでも強い意志を瞳に宿し、俺たちの方へと歩いてくる。

「何の用だ?」

「あなたにも言いたいことはありますけれど、今はそちらですわ」

 ミセンが扇を畳み、その先端を白粉女へと向ける。

「ふーん、なにかしら?」

 白粉女が長い黒髪を掻き上げる。この状況を面白がっているようにも、戦いを邪魔されて苛々しているようにも見える。


「あなた! このせれくしょんでは、武器の使用がきんしされているのは……ごぞんじ?」

 ミセンが言い放つ。


 なるほど。


 ミセンが言いたいことは分かった。


「ご存じだけど、それが何かしら?」

 白粉女は白粉(おしろい)にヒビが入るほどの強さで口角をあげ微笑んでいる。


 ミセンは護衛が二人ともやられて後がない。だから、動いたのだろう。言ってしまったのだろう。


 ――だが、悪手だ。


 ミセンには見えていなかったようだ。見えなかったから、この惨状を見て――結果だけを見て武器を使ったと判断した。判断してしまった。


「かくにんしていただいてもよろしい?」

 ミセンが烏帽子の女にお願いする。

「武器をもっていないか確認しよう」

 烏帽子の女が頷き白粉女のところへと向かう。

「ふふ、どうぞ。ここで服も脱いだ方がよいのかしら?」

 白粉女がその歪んだ瞳で何故か(・・・)俺の方を見る。俺はただ肩を竦めるだけだ。


「それはふようです。すぐにかくにんします」

 烏帽子の女が白粉女の体を狩衣の上から触り、武器を隠し持っていないか確認していく。だが、武器が見つかることはないだろう。


 浮遊していたカメラが烏帽子の女、白粉女、二人を映し出す位置へと移動する。

『特定の位置に移動したようだが、これから何かをしようとしているのか?』

『ふふん。そうみたいね』

 セラフは何が楽しいのか笑っている。


「……ありませんね」

 烏帽子の女が首を横に振る。

「そんなはずはありません。もういちど、良く確認してください」

 ミセンが扇の端を噛みつく勢いで捲し立てる。


 それを見た烏帽子の女がゆっくりと頷き、再び、白粉女へと手を伸ばす。その手を白粉女が掴む。

「それは面白くないわね」

「なにをいって……」

 烏帽子の女が何かを言おうとした瞬間、白粉女はその掴んだ手を握りつぶした。バチンと何かがショートするような音が響き火花が散る。烏帽子の女が慌てて潰れた腕を袖の中に隠す。

 烏帽子の女が人造人間(アンドロイド)だったことは隠せたかもしれない。だが、遅かった。


 ――その手に隠し持っていた細身のナイフがぽろりと落ちた。


 俺は浮いているカメラを見る。集まっていたカメラは散り散りに、先ほどの光景を隠す位置に動いている。


『なんともまぁ、こういうことは動きが早いな』

『それだけ用心していたってことでしょ。でも、それをあれは上回ったってことでしょ。何者かしら』

 仕込んだ武器(ナイフ)を発見し、白粉女を失格にするつもりだったのだろう。この白粉女が村の住人ではない、部外者だったからこそ決行したのだろう。だが、その決定的瞬間を映像で流すつもりが、白粉女の方が上手だったようだ。


 ……白粉女が何者か、か。


『何者か? 決まっているだろう』

 この白粉女は俺と同じ部外者だ。


 この村の住人でもなければ、せれくしょんの関係者でもない。


 老人の生首を落とした時に気付くべきだった。


 見えない刃。


 俺はそれを知っている。


 原理は分からないが、俺はそれを知っている。


「茶番はこれでおしまいかしら?」

 女はヒビの入った厚化粧で笑っている。


 俺を歪んだ瞳で見て笑っている。


 もうすでにミセンたちのことなどどうでも良くなっているのだろう。


「ウズメ、下がっていろ」

「ガムさん!」

 ウズメが俺を見る。

「勝ってください!」

 ウズメが強く頷き、俺から離れていく。信じていたククルが為す術もなく負けた光景をウズメは見たはずだ。それでも俺の勝ちを信じてくれる。祈ってくれる。


 期待に応えないと駄目だろう。


 俺は白粉女を見る。

「厚化粧が趣味だったのか?」

「なかなか面白い趣向だったでしょう? ふふふ」

 白粉女が笑う。歪んだ顔で笑う。


 そして、その真っ白な化粧が崩れ落ちる。


 そこに現れたのは――見覚えのある顔だった。


 病んだ瞳と歪んだ笑顔の女。


「やはりお前か、ミメラスプレンデンス」

 長い黒髪をポニーテールにした女。


 アクシード四天王の一人を名乗る女。


 マップヘッドで俺に一泡吹かせてくれた女がこちらを見てニヤリと笑っていた。

お布施。

メタルな犬が微妙です。五点満点なら一点、十点満点なら六点しか上げられない出来です。アーリーアクセスだからまだ開発率が10か20くらいなのかと思えば80パーセントだという絶望。本編のミニゲームかワンコインなら褒められたかもしれないけど、これはあまりにも微妙です。虚無です。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 嫌な再会!! [一言] まあでもガム君が来なかったら、もっとヤバいことになってただろうし、かち合って良かったのかも。 リベンジマッチだぜ! (あー……ご愁傷さまです)
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