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ゾンビーナ!  作者: とれさん
95/378

95 ドラゴン退治 part7


「王様~、見えますかぁ?日向子でーす!」


常軌を逸した光景にとうとう尻餅をついてしまった国王は茫然と手を振る日向子を見つめていた


「王様~、とりあえずシルちゃん達を中庭に降ろして良いですかぁ~?」


「?」

「シルちゃん??」


側近兵も外に配置された兵達も日向子の言動に何が起こっているのか分からず硬直している


「あのぉ、シルちゃん…あ、そうか。ドラゴン達を中庭に降ろして良いですかぁ?

もうお友達なので襲われる危険はありませんから安心して下さーい!」


日向子はドラゴン達は脅威を及ぼさない事を説明し、着陸許可を再度求めた


「よ、よかろう‼」


国王は漸く言葉を絞り出した


「ありがとうございまーす!」


バァサッ、バァサッ、…ズズン


「ひ、ひぃぃぃぃぃっ⁉」

「ぎゃぁぁぁぁっ‼」

「こ、こら‼敵前逃亡は極刑だそ‼」


城を守る兵士達もパニック状態になり逃げたす者、その場で失禁する者、辛うじて対峙する者等統制を失っていた


「じゃあシルちゃんちょっと待っててね」


日向子はシルグの腕からひょいと飛び降りると側にいた兵士に


「危険はないから王様を連れて来て貰えますか?流石にシルちゃんは中に入れないので」


「…はっ?は、はい!」


子鹿の様に震える兵士は槍を杖代わりにしつつ城内へと歩いて行く


数分後、国王はピクサや側近兵を連れ立って中庭にやって来た


「日向子殿、先程は無様な真似をしてすまぬ。し、して…その…どうなっておるのだ?」


「あはは…そりゃビックリしますよね。突然押し掛けて申し訳ありませんでした」


日向子は国王に深々と頭を下げる


「えっと、このドラゴンは…四竜?だっけ?…何か凄い偉いドラゴンのシルちゃんです」


《…主よ…西の四竜、風のシルグ様ですよ…》


キメはアバウト紹介をする日向子に呆れて補足した


「なっ⁉で、伝説の四竜ですとっ⁉」


国王が反応する前に後ろに控えていた学者風の文官が四竜の言葉に過剰に反応した


「…その四竜と言うのは何だ」


国王は文官に訊ねる


「は、ははっ‼四竜と言う存在は我が国の書物にのみ書き記されている伝説の存在です‼

伝記によると世界中にいるドラゴンの王だとか…」


文官も書物で読んだ程度の事なので未だに現実味を帯びない事態にあやふやな回答を返すのが精一杯だった


「そ、そのドラゴンの王が何故我が国に…日向子殿と一緒に…?」


城にいた全員がツッコミたい言葉を国王は代弁した


「えっと…先ずは経緯から説明しないとダメですよね?お時間宜しいですか?」


「も、勿論だ。」


こうして日向子達は中庭に一席を用意して事情を説明する事となった


『この姿では人の王も話し辛かろう?』


シルグはバハムート達に目配せするとシュルシュルとその身を縮ませた


「えっ?人型に変態出来るんだ?」


ギュッと縮んだシルグ達は日向子達の目の前で人の姿に変態して見せた


《…主よ、俺が出来る事はシルグ様達にとっては容易い事だぞ?》


「なぁんだ、先に言ってくれれば良いのに‼シルちゃんったら意地悪なんだから‼」


そう言いながらシルグの肩をバンバン叩いて怒る日向子にキメやバハムート達は戦慄した


(((この人はどこまで破天荒なんだ…?)))


目の前で気さくに会話する日向子達を見て国王以下サルバ城にいる誰もが別の意味で戦慄していた


(これからの話し合い如何でこの国の命運は決まるのか…)


国王も思わず唾を飲んだ


「えっと、先ずは経緯からね。ピクサさん達を見送って…」


日向子はピクサ達の退避からシルグ達との遭遇迄をかいつまんで説明した


「で、シルちゃん達が人語を話せる事が分かって話し合いをしたんです」


「…それは何とも…」


「シルちゃん達が命令した訳ではないけど取り巻きが軍を殲滅しちゃった事を詫びたいって言うか

私がシルちゃん達を黙って連れ帰っちゃったら大変な事になりそうだから連れて来ました」


「。。。はっ?「連れ帰える」?」


「はい、何かシルちゃん達は安心して住める場所を探して移って来たらしいので私の村に住んで貰おうかと思ってます」


国王達は無言で仰け反った


世界を滅ぼすとまで言われているドラゴンの王を飼います!と宣言しているのだ、驚かない方がおかしい


「ひ、日向子殿?それは一体どういう事なのだ??」


国王も混乱して問い詰める


「シルちゃん達が何処に住んでも人様に迷惑が掛かるでしょ?だから私の村に住んで貰って…

神獣運輸で働いて貰おうかな?って」


「「「「「!?」」」」」


その言葉を聞いた誰もが耳を疑った


日向子の仲間であるキメやラゴも口を開けて茫然としている


「そ、それは…ひ、日向子殿がドラゴン達をか、「飼う」と言う事か?」


「えー?飼うって言うか…そうなるのかな?」


『ワシらはそれで構わぬぞ?』


「あ、じゃあ決まりね♪」


(((オイオイオイオイッ!?)))


国王達の気持ちを全無視して進んで行く話にまた全員がツッコんだ。心の中で。


「とにかくこれ以上の被害を出さない為にも私がシルちゃん達を管理します。良いですか?」


日向子は上目遣いで国王を見つめる


この状況で正しい行動なのかは分からないが国王の胸は訳もなくときめいたのであった

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