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ゾンビーナ!  作者: とれさん
94/378

94 ドラゴン討伐 part6


キメは物怖じせずシルグと会話する日向子に心臓を鷲掴みにされる思いで注意していた


《あ、主っ‼逆鱗に触れたら我々は…》


キメはシルグの機嫌1つで消し炭と化す事を恐れている


『フハハ、キメとやら。そなたは主の力量を見誤っているぞ?逆鱗に触れて倒されるのはワシの方だろう』


《そ、そんなバカな…》


<いや、シルグ様の仰る通りだ>


今まで黙っていたバハムートの一体が口を挟んで来た


<先程の苛烈な攻撃を垣間見て我等の及ばぬ事を悟った。故に我等は恭順しているのだ>


もう一体のバハムートが更に付け足す


『多分そなたが組み敷かれた時、主は全力の2割も出しておらなんだのだろう』


キメにしても伝説では一体で街を滅ぼす恐れのある魔獣として登場する恐ろしい存在だ

ドラゴン、しかもその王ともなれば単体で一国を焦土と化す事も可能だろう


その四竜の一体にしてドラゴンの王が日向子の力を敵わぬ相手として認めたのだ


生身の人間としてそんな存在があり得る訳がない


『さて、主殿は我等を家に招待してくれたが今後はどうする?隷属を望むならそうしよう。』


《…は?しし、四竜を下僕化っ⁉》


常に冷静沈着なキメが初めて見せた慌てっぷりである


「んー、どうしようかなぁ?」


日向子はキメの動揺などお構い無しに普段通り悩み出した


「先ずはサルバ国王達に危険は去った事を伝えないとね…シルちゃん一緒に来てくれる?」


《<<シシシ、シルちゃん!?>>》


バハムートとキメは消し炭を覚悟せざるを得なかった


だがシルグから聞こえたのは高らかな笑い声だった


『ワハハハ‼主殿は面白い!』


シルグもそう呼ばれて満更でもない様子なのを見てキメ達は腰が砕ける程安堵した


『良し、では人間達に此度の誤解を詫びよう』


「じゃあ決まりね♪」


そう言うと日向子はシルグ達を引き連れて洞穴を出て行くのだった


ーサルバ国王城ー


「…そうか。そうなると師団、或いは全軍での討伐を以て当たらぬといかんな…」


サルバ国王は深刻な面持ちでピクサの報告を受ける


「私は…私は一国の王子でありながら日向子殿を置いて敵から逃亡するという不名誉な事を…

父上!是非再度私にドラゴン討伐の命令を!」


ピクサは慚愧の念に堪えかね国王の前に跪く


「…ピクサよ、ワシは自身の息子を死地に赴かせる気概は持ち合わせておらぬ。愚かな父を許せ…」


「父上…」


二人のやり取りにその場にいた衛兵達も俯く


ダダダダッ‼バターンッ‼


「お、王よ!緊急事態です!」


「ええい、王の御前であるぞ!」


突然乱入した兵士に衛兵達が剣を抜いて制する


「に、西の空よりドラゴン数体がこちらに迫って来ております!」


組伏せられた兵は痛みを堪えて国王に報告する


‼ガタンッ‼


「な、何だとっ!直ちに全軍防御体制を組み迎撃準備を整えよ!」


「は、ははっ!」


王の間にいた衛兵達も側近兵を残して全員が駆け出して行った


「まさか…日向子殿は…」


ピクサは両手を床につき愕然としている


「馬鹿者!今は国の民を守るのが先決であろうがっ!」


国王は侍従を呼び鎧を着込む段取りをつける


「貴様も王の子ならば闘え!」


「は、はいっ!」


ピクサは自分も武装する為に慌てて退室していく


国王が鎧を着込み終わる寸前で新たな一報が舞い込む


「王様!ドラゴン達は既に城の上空迄達しております!」


「なっ⁉兵たちの準備は⁉」


「間に合わず乱れております!」


「くそっ‼易々と接近を許すとは…弓隊を中心に編成を急がせろ!」


「はっ!」


「ワシも出るぞ!」


「お、お待ち下さい!王が先陣を切って万が一があれば…」


「愚か者!国の危機に身の安全等構っておられるか!」


国王は縋る侍従達を振り払いドラゴン達を視認出来るバルコニーに進み出た


バァサッ、バァサッ、バサッ


「こ、これは。。。」


慌てる衛兵達を従えてバルコニーに進み出た国王は絶望した


城を取り巻く様に飛行するドラゴンはどう見ても伝説級の巨躯を持っていた


その側に控えているのはその存在を以て世界を滅ぼすとされたバハムート、

伝記に描かれた姿そのものが二体も並び飛んでいたのだ


「…サルバが…滅びるのか?」


国王は目の前の光景に抵抗する心も折れて膝から崩れ落ちる


「お、王様っ!」


あわや卒倒しそうな国王を側にいた側近兵が慌てて両脇を支えた


バァサッ、バァサッ‼


「王様~、私です~!日向子で~す!」


良く見るとシルグの前足に人がちょこんと乗っている


「ひ、日向子殿!?」


側近兵の1人が日向子の叫びに気付きすっとんきょうな声を上げる


「な、何?日向子殿だと??」


薄らいだ意識の中で日向子という単語を聞いた国王は叫んだ側近兵の肩を鷲掴みにして揺すった


「お、王よ。あ、あれをご覧下さい!」


国王が外に滞空しているドラゴンに振り向く


「王様~、見えますかぁ?日向子でーす!」


「。。。はぁっ!?」


国王はとうとう尻餅をついてしまった

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