87 集団見合い?
モグモグ…
「ゴメリさん‼討伐依頼です‼」
「おぅ、分かった!」
「あ、ゴメリさん‼口にパン屑が…」
ヒョイ、パクッ
「あ、ありがとう(////」
「じゃあ行きましょ‼」
ダダダッ、バタン‼
「。。。」
「だぁ~っ‼何なの?これ見よがしに‼」
「…良いなぁ…」
「日々拷問です…」
ゴメリ達の出撃を見送った神獣運輸の従業員は全員ピンク色の熱気に当てられ参っていた
《主よ、このままでは業務も滞る可能性も出てくるぞ?》
「その通りね…これは緊急度を上げた方が良いかも…」
一難去ってまた一難、神獣運輸二度目の危機は速攻で訪れた
ーエレモス城ー
「と、言う訳で良い出会いとかはないかな?とご相談に上がりました」
日向子は良い出会いを求めて国王に聞いてみた
「ん?日向子には我がいるではないか?」
「…そういう冗談ではなく彼氏が欲しいんです」
「だから我が…はっ⁉」
…ゴキゴキ、ゴキリ…
国王の冗談?に日向子の指が鈍い音を奏でる
「ま、まぁこと出会いという面に於いて我に相談したのは得策と言えるかも、だぞ?
我の紹介であれば身元も保証されておる者達だしな」
「でしょ?それで真っ先に相談しに来たんですよ」
国王は意外と強かな日向子の一面を垣間見た
「じゃあもし誰かいたら紹介して下さいね♪」
日向子はそう言うと城を後にした
「ふーむ、これはきちんと紹介せねば日向子の信頼も失いかねんな…」
国王は日向子の願いを叶える為に一計を案じた
。。。
「えー、それでは第1回エレモス城お見合い大会を始めます」
突然の国王の呼び出しに神獣運輸の女性従業員達は何事かと馳せ参じたがその場の光景に愕然とした
立食形式のパーティー会場に賑やかに集ういかにも金持ちそうな男性達がグラス片手に談笑をしている
「おぉ‼彼女達が相手ですな?」
「これは見目麗しい…」
「是非私とお付き合い頂きたいものだ」
男性陣の熱い視線を一身に受け日向子達はおずおずと会場の中心に進み出る
「…王様に相談したの、間違いだったかしら…」
「でも此処で成立したら玉の輿確定ですよね?」
「…何か趣味悪いのも相当混じってるけど…」
日向子達は小声で言い合う
「ささ、日向子殿‼皆様も此方にお座り下さい‼」
侍従が日向子達を檀上に誘い席を勧める
「えー、では主役も揃いましたのでこれより自己紹介アピールを開始したいと思います
我こそは、と思う方はご希望の女性の前にお並び下さい」
ざわざわ…
日向子達が着席すると侍従の宣言が入り各々好みの女性の前に列を作り出す
「初めまして。私はエレモス国第一貴族のエミューレ伯爵と申します、趣味は狩りと遠乗り…」
日向子達の前に進み出た男達は次々と自己紹介とアピールをしていく
「…ねぇ、この世界のお見合いってこんな感じなの?」
「…いぇ…こんなのは初めて聞きました…」
日向子が面食らってエリス達に問うとエリス達も面食らっていた
会場の男性が一通り自己紹介を終えると侍従が次のイベントを宣言する
「では次にご歓談タイムを開始します。
神獣運輸の皆様方は気に入られた男性の番号札を順番に提示して下さい」
侍従の宣言に従って渋々番号札を掲げる日向子達
「では番号の方々、これより5分間の歓談タイムをご希望の女性とお過ごし下さい‼」
「え?どういう事?」
日向子達が唐突な展開に戸惑っていると侍従が日向子達を個室に案内する
ソコに指名された男性が入室し、5分間歓談するシステムらしい
「…うーん…」
日向子はまるで流れ作業の様な進行に頭を抱えていた
…コンコン、「失礼する」
悩む日向子の元にも1人の男性が入室してきた
「先程は失礼しました。私はエレモス国第5継承権を持つピクサと申します」
「え?継承権?じゃあ王様の…」
「はい。日向子さんもご存知のピールの子供です」
「あー、ピールさんの」
「以前より父から日向子さんの話を聞き及んでおりまして…是非一度お会いしたいと思っておりました」
ピクサは日向子の目を真っ直ぐ見て囁く
「噂に違わぬ…それ以上にお綺麗な方ですね」
「…そんなぁ~⭐」
日向子は直に面と向かって褒められるのに慣れていないので体をくねくねさせている
「はいっ‼時間です‼」
「あ、ちょっ!待ち給え!」
ピクサは侍従という「剥がし」に両脇を抱えられ表に出されてしまった
「…はぁ~~…」
日向子のため息は会が終わる迄続いたと言う
「それでは今回のお見合い大会は終了です」
侍従の宣言と共に第1回エレモス城お見合い大会は終幕となった
「「「「はぁ~~…」」」」
参加していた女性陣が顔を見合せ日向子と同じため息を吐く
「何か皆自分語りしてましたよ…」
「私の所には愛人募集の人が来てましたよ?」
「あ、それ私の所にも来たかも?」
「何か仲良くなってハク達を譲って欲しいとか意味不明なお願いもありました」
「…これって全くムダな時間だったわね…」
「「「「「はぁ~…」」」」」
神獣運輸の女性陣に運命の出会いは訪れなかった




