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ゾンビーナ!  作者: とれさん
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86 弾劾裁判?


ピレネー村に程近い南の草原でゴメリとリースは神獣運輸の全従業員達に囲まれていた


「一体何事なんだ?魔物はどうした?」


「フフフ…さっきの討伐依頼は私が出したダミーよ。

今日は神獣運輸の未来の為にゴメリさんとリースさんを弾劾するわ!」


日向子は敢えてキツい言葉遣いで二人を圧倒した


「だ、弾劾?俺に不手際や不正があるとでも?」


「ないわよ」


「では何故…」


「ゴメリさんは間接的な原因になってるの。リースさん、最近の貴方の行動は目に余ります」


「なっ⁉わ、私が何を…?」


「状況証拠は既に積み上がってるわ‼往生際良くしなさい‼」


シャロンは分厚い書類を二人の前に投げる


…ペラッ…ペラッ…


「こ、これはっ‼(///」


リースが手にした書類には軍時代からゴメリとリースを良く知る人物Sからの証言や

隊長時代のリースを知る隊員からの証言、神獣運輸に移ってからのリースの行動等が網羅されていた


「何故こんなモノをっ⁉」


「…リース元隊長、ここ最近の貴方は兵士でも戦士でもありません。普通の「恋する乙女」です」


「!?」

「…な、何をっ⁉」


「私もね、シロ達に聞く迄気付かなかったわ。

リースさんが白粉を大量にはたくんで鼻がむず痒くて仕方ないんですって」


「…シロ達がそんな事を…」


「ブルピットの嗅覚を阻害する以上業務で重大事故が起こり兼ねません。

依って私達社員一同はリースさんにペナルティを与えます‼」


「…ペナルティ?」


「ゴメリさんにさっさと告白して下さい!」


日向子の宣言にリースの体がグラリと揺れた


「告白?…何の事だ?」


鈍感なゴメリは未だにピンと来ていない


「はぁ…ゴメリさん。鈍感にも程があるわ…リースさんはゴメリさんの事が…」


「ま、待ったぁ!…それ以降は私から言わせて下さい!」


日向子の言葉を遮ってリースは覚悟を決めた様に神妙な面持ちになった


「やっとね。いいわよ、勿論」


日向子が一歩引くと同時にリースがゴメリの前に進み出る


「隊長…」


「どうした?リースもおかしくなったのか?」


「わ…私と付き合って下さい!」


リースは高速で頭を下げた


「なっ⁉付き合っ…えっ?」


流石のゴメリもど直球の言葉で漸く事態を把握した様だ


「ゴメリさん、気付かなかったみたいだけどリースさんは貴方に良く見られようと

事ある毎にお化粧直ししてたのよ?」


「‼…それでシロ達の嗅覚に影響が出て苦情が入ったのか…」


クゥン…


シロ達は困った、と言いたげに鳴いた


「ぶっちゃけゴメリさんはどう思ってんの?」


「どうって…リースの事をか?」


「当たり前じゃない」


「…リースは元私の部下で今は討伐パーティーとパートナーで…」


「あー、もうっ‼そんな事を聞いてるんじゃないわ!リースさんの事をどう思ってるか?って事!」


モゴモゴ話すゴメリに業を煮やした日向子達が口々にツッコむ


「ゴメリさんって色恋沙汰に疎すぎるわよね…」

「そうそう、結構ファンもいるって聞いてるのにね」

「はっ⁉もしかして女性に興味が無いのかしら…?」


「わ、分かった分かった!ちゃんと言うから言葉責めは止めてくれっ!」


ゴメリはとうとう腹を決めた


「リ、リースは俺の元部下であり仕事仲間だが…女性として好意は抱いている!(////」


「そう…ここまで朴念仁とは…ってえっ?」


「だから‼女性として好きだ!」


日向子達女性陣はゴメリのまさかの発言にキャアキャア騒ぎ出した


「た、隊長…」


「もっと環境を整えてから告白しようと思っていたが…遅すぎた様だな。すまん」


実はゴメリもリースに告白しようとずっと努力はしていたのだ


ただ神獣運輸を軌道に乗せ収入を安定させてから正式に、と思っていたのが延び延びになり

それに気付かないリースが暴走気味にフライングしてしまっていたのだった


「…女性に恥ずかしい真似をさせてすまん。俺と付き合ってくれるか?」


「。。。はいっ‼」


二人は手を取り合い見つめあっていた


「何よ~、出来レースも良いトコじゃないの」

「私は前々からゴメリさんの視線は知ってましたけどね」

「良かった…ノーマルで…」

ワフゥ!


自分達の世界に入り込んだ二人の周りで従業員達は呆れて不満を言い合っている


「あ~あ、とんだ無駄骨だったわね…じゃあ二人は置いて帰りましょう」


「「「は~い」」」

ワオン‼ヒヒーン‼


数時間後我に返ったゴメリ達の周りには人っ子1人いなかったのであった


「あ~あ、私も恋愛したいなー」

「私も」「憧れるわよね」


ゴメリ達の茶番劇の帰り、日向子達は口々に呪詛を吐き出していた


何と言っても神獣運輸の従業員は全員お年頃の乙女である


あんな光景を見せられたら疼くのは当然であった


「でも…会社じゃ出会いもほぼゼロなんですよねぇ…」

「そうね、大抵商人のおじさん達だし…」

「ほら、新入りのガンザさん達はどうよ?」

「あはは、ガンザ達はお子ちゃま過ぎですよねぇ…」


幼馴染のコロンがガンザ達を一刀両断に斬り伏せた時、日向子が思い付いた様に提案した


「ならさ、お見合いとかしよっか?」


「お見合い」という言葉を聞いて乙女達は体をくねくねさせ迷惑そうな体を外見上では装っていた

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