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ゾンビーナ!  作者: とれさん
81/378

81 日向子のバカンス part11


港に戻ると日向子達の噂は町中に広まっていたらしく多くの人が驚愕の表情を浮かべて出迎えた


「あの島に行って無事に帰ってきたのはお前達が初めてだぞ」

「で、お宝はあったのか?」


人々の興味はお宝の有無と島に存在する脅威の話だった


日向子達は「宝は無かった・あの島は魔物クラーケンが沢山いる魔窟だった」という話をすると

皆一様にガッカリしたり納得したりしていた


「そうかぁ…お宝はホラか…」

「そんな魔物が沢山いたんじゃ道理で誰も帰ってこない訳だ…」


お宝が存在しないと言う話を聞いて人々は一気に島への興味を失った

メリットもないのに危険を犯してまで島に近付く意味は無かったからだ


一通り町の住人達に噂が広まると日向子は袋を持ってドルネ商会へと向かった


人魚達から譲られた財宝を密かに換金する為だ


「日向子様、お久しぶりです」


ドルネは日向子を諸手で出迎え話を聞くと興味深そうにしていた


「なるほど、これは確かに貴重な品々ですな」


「あ、でも近付いちゃダメですよ?十中八九死にます」


「アハハ、日向子様は肝心な部分をお忘れになられておりますよ?」


「?」


「日向子様はどうやって人魚達の島に辿り着かれたのですか?」


「それは…近くの島から投げて…あ。」


「そうです。この世の中に人間をそんな遠く迄投げられる人も道具もありません」


「…そうでした…」


「日向子様がいたからこそ辿り着けたのならほぼ安寧は約束されるでしょうね」


ドルネは笑いながら持ち込まれた金品を換金してくれた


「えっ?こんなに?」


「はい、中には収集家が垂涎する一品もありましたので」


「ガンザさん達が急に羽振りが良くなったら…怪しまれるわよね」


「ですね。…ではこうしたら如何でしょう?」


ドルネは日向子に策を提案した


「なるほどね。それならある程度は誤魔化せるかな?」


「まぁただ渡すよりは安全でしょう」


「ありがと、ドルネさん♪」


「いえいえ、ではまたお越し下さい」


日向子は元の姿に戻ったキメに跨がりサザンスに舞い戻る


「ただいまー」


「「姉御、お帰りなさい‼」」


ガンザ達は日向子を出迎える


「それで…どの位になりました?」


ドンガは換金額が気になって仕方がない様だ


「それについて話があるの。」


日向子はガンザ達にドルネの提案したプランを一通り話した


「そうか、そうだよなぁ…」

「スカンピンだった俺達が急に羽振り良くなったら折角流した噂も水の泡だしな…」


「じゃあこの案で良いかしら?」


「姉御にお任せ致します!」


ガンザ達は日向子に頭を下げた


ー翌日ー


「じゃあデンさん、チルさん、また遊びに来ますね」


日向子はデン達に別れを告げた


「…やっぱり別れは辛いねぇ…また来るんだよ?」


「はい、今度はコロンちゃん達と来ます‼」


「娘を宜しく頼むな、ヒナちゃん」


「はい」


「姉御‼俺達も準備出来ました‼」


ガンザ達はそれぞれ荷物を担いで現れた


「おい、ボンクラ共‼ヒナちゃんに迷惑掛けたら俺が許さねぇぞ?」


「あはは、大丈夫ですよ。俺達は姉御の所に出稼ぎに行くんですから」


ドルネが発案し日向子が提案したプランはガンザ達を神獣運輸で雇う案だった


港町を離れれば多少裕福な暮らしをしても気に留める者は減るのと単純に荷役が増える事で神獣運輸の規模拡大に繋がるのだ


「へへっ、お前達もやっと定職についたな」


「デンさん…それは言いっこナシですよ…」


ガンザ達はデンの皮肉に苦々しく返事をした


こうして日向子のバカンスは慌ただしく終わる事となった


人の姿から元の姿に戻ったキメを見てガンザ達が腰を抜かすハプニングは余談だ


ーピレネー村ー


「みんなただいまー♪」


「あ‼日向子さんお帰りなさい‼」


たまたま事務所で休憩をとっていたスリとシャロンが出迎える


「あれ?その人達は?」


スリは日向子の後ろに続くガンザ達を見て訊ねる


「この人達は新しい従業員よ。今後スリ達と一緒に行動して荷役を手伝って貰うわ」


「わぁ、それじゃ積んだり降ろしたりが楽になるんですね?」


女性御者しかいなかった神獣運輸に男手が加わる事で作業の効率化が出来ると分かったスリ達はガンザ達を歓迎した


だが当のガンザ達は何故かモジモジしている


「ん?どうしたの?」


「…姉御ぉ…俺達はこんな美人さん達と一緒に働けるんですかい?」


神獣運輸の女性達は皆美人揃いでガンザ達には刺激が強すぎたのだ


「あはは、社内恋愛は自由だけど業務に支障をきたさない程度にしてね?」


日向子の言葉にガンザ達は余計にモジモジしていた


後日期待に胸を膨らませてサポートに回ったガンザ達は

「女の園」に飛び込んだ羽虫の如くガッツリこき使われ幻想を抱いた自分を呪う事になる

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