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ゾンビーナ!  作者: とれさん
79/378

79 日向子のバカンス part9


ギチュチチチチッ‼「ギャアッ⁉」


「「「ドンガッ‼」」」


ガンザ達はその光景を垣間見て慌てて助けようとするが一歩及ばずドンガは海中へと消えていった


「な、何だアレは⁉」


ラーガは為す術もなく呆然としている


「馬鹿‼そんな事よりドンガさんを助けなくちゃでしょ!?」


日向子は身動きの取れないガンザ達を一喝すると海へと飛び込んだ


ザブーン‼ブクブクブク…


(あ‼いた‼)


日向子の目前には触手に絡みつかれたドンガが抜け出そうと足掻いていた


ブンッ…シャコッ…


日向子は右手を振り手甲剣を伸ばす


(水中だと動き辛いわね…)


地上では比類のない力を発揮する日向子も水の中では足場がなく持て余している


先ずはドンガの救出だ、と日向子はバタ足で触手に近付く


…シャッ…「!?」


突然斬りつけられた触手は驚いてドンガの拘束を解く


(…今だっ‼)


日向子はドンガの手を引いて海面に向かって全力でバタ足をする


ゴバッゴバッゴバババババッ‼


日向子の全力バタ足は即座に莫大な推進力を生み出し海面に向かって突進する


触手も捕獲を諦めておらず再度ドンガと日向子に近付こうとするがバタ足で生み出された流れに阻まれて近付けない


ゴバババババッ。。ザパーンッ‼


「うおっっ!?」

「ひいっ⁉」


入り江の入り口で固唾を呑んで見守っていたガンザ達は突然海中から飛び出した物体に驚いた


ザパーン!…ズダンッ‼ドチャッ‼


ガンザ達の目の前に飛び出て来たのは日向子とぐったりしたドンガだった


「ガンザさん‼水沢山飲んでるから吐き出させて!」


「お、おうっ‼任せておけ‼」


港町で生きるガンザ達にとって溺水者(できすいしゃ)の対応なぞお手の物だ


「ふんっ、ふんっ、ふーっ‼」


ドンガはその時点で心肺停止状態だったらしくガンザは人工呼吸と心肺蘇生を行っている


「流石海で暮らす人達ね」


ガンザ達の手早い対応を見て日向子は安心した


医療技術が進んでいなくとも此処サザンスでは呼吸と蘇生術は備わっていたのだ


ギチチチ…


ガンザ達が必死に蘇生術を行っている場所に再び触手が近付いてきた


「何なのよ⁉気持ち悪いわね‼」


日向子はドンガを襲った触手に相当キレているのかむんずと触手を掴んで振り回した


ブンッ!ザバァッ!ドシャッ!


日向子の膂力で海中より引きずり出された物体は岩壁に叩きつけられ地面にグチャリと落ちた


…ウネウネウネウネウネウネ…


「…気持ち悪い…」


「こりゃ…イカか?」


「クラーケン⁉伝説の魔物か?」


気味悪がる皆の前でその物体は威嚇行動なのか屹立した


「…コウイカみたいね」


「クラーケンってこんなんだったっけ?」


勝手なイメージだが日向子の記憶でもクラーケンはヤリイカというかスマートな胴体だという感じだが

目の前に屹立している魔物?はポッテリした胴体を持つコウイカに見えた


何しろ絵で見た「イカ耳」は目の前の生物にはほとんど見られなかったのだ


「…イカだかクラーケンだか分からねぇがよくもドンガを!」


ガンザ達は殺意を向けている


…ギチチチ‼シャッ‼


その殺気を捉えたのか生物が触手攻撃を仕掛けてきた


「シッッ!」


ドシュッ、ドシュッ!


ギャギギィ~~ッ‼


地上であれば日向子の敵ではない、触手攻撃をするりと躱し内数本を手甲剣で斬り落とす


ダダッ、ズバッ‼ドシュッ‼


ガンザ達の目の前であっという間に触手全てを斬り落とされたその生物は体勢を保持出来ず悲鳴ともつかない音を発して倒れる


…ズズ~ン…


コウイカっぽい生物は鈍い音と共に地面に倒れこみ逃げたいのか胴体をくねらせている


「取り敢えず襲われる心配は無くなったみたいね」


「…ゴボッ!…うっ。。。」


「ドンガっ‼ドンガっ!」


ドンガも水を吐き出し息を吹き返した様だ


「ドンガさん…良かった」


日向子もホッとしてガンザ達の下に戻る


「…確かにお宝は魅力だが命を賭けて迄求めるモンじゃねぇな…」


ザボンはしみじみと呟き皆も同意の頷きを返す


「まぁ少しでもお宝は手に入ったしデンさんの所に戻ろう!」


ガンザはドンガの復調を確認して帰還を提案した


「そうね…水の中に沈んでたら探しようがないしまだ何か出そうな予感が…」


「ぎゃーー⁉」


「えっ?今度は何っ⁉」


日向子達が慌てて悲鳴の元を辿ると…デンが危ないらしい


「ここからじゃ全く見えないなぁ…私ちょっと行ってくるね!」


日向子はガンザ達を置いて空へと跳んだ


…ヒュー…


上空で日向子はデンのいる状況を確認する


「…あれは…人?…いえ…人魚?」


デンが櫂で必死に応戦している相手は海中から手を伸ばして船の縁に掴まって転覆させようとしている人魚達だった


…ヒュー…ズダンッ‼


日向子は砂浜に着地すると急いでデンのいる船へと向かって行ったのであった

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