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ゾンビーナ!  作者: とれさん
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68 神獸運輸フィーバー到来


張り切り過ぎた代償をニルが噛み締めている間も神獸運輸は次々と依頼が舞い込んで来ていた


「はい、申し訳ありませんが長期的なご契約となりますと現在お受け出来かねます…」


「従業員の指名は出来ません‼」


「エリスちゃんと付き合いたい⁉それは本人と話し合って下さい‼」


受付嬢テロンが鼻息が荒くなるのも当然である。

只でさえ輸送の依頼が急増中なのにアホな男性客が従業員目当てに受付に並んで

無理難題を押し付けて来ているのだ


カラ~ンカラ~ン…


「テロンさん、依頼完了しました‼次は何ですか?」


「おぉ~~っ‼」


そこにタイミング悪くエリスが帰って来てしまった


「エ、エリスちゃん‼俺ゴンザって言います‼付き合って下さい‼」


「…は?」


「いや、だから‼」


「…ハクお願い‼」


ブルルッ‼…カプッ


「な、何だお前?ちょっ、まだ話が終わって…」


ゴンザはハクに襟首を咥えられ事務所の外に摘まみ出された


「テロンさん、あれ何?」


「最近多いのよ~…ホント困っちゃうわ」


巷では神獸運輸の評判は本来の輸送評価よりもエリス達従業員の評価が先行していた


ユニコーンを操る美人従業員という触れ込みが若い男性の好奇心を刺激した結果である


「こうなると可愛い制服も考えものね、今後の業務に支障が出ないと良いんだけど…」


テロンは依頼書を整理しながら嘆息する


「対策は日向子さんに頼んでみましょう。何か良いアイデアを持ってるかも」


「そうね、じゃあ私から後で伝えておくわ」


エリスは次の依頼書を受け取って再び馬車に乗り込んだ


。。。


「と言う訳で最近少し業務に支障が出始めてるんですよ」


「…全く…どの世界でも似たようなのが湧くのね…」


日向子はテロンの報告に頭を抱える


「リースさんならどうします?」


日向子はこういう輩のあしらいに慣れていそうなリースに訊ねた


「そうねぇ…騒ぎは一過性だとは思うけど過激なファンが出て来たらやっぱり力で押さえ付けるしかないと思うわ」


「そっか、でも私やリースさんと違って彼女達は身を守る手段がないですよね…」


「あ、じゃあ休みの日とかに護身術とか習わせたらどうかしら?」


「なるほど、それは良いかも?」


こうしてエリス・コロン・スリ・シャロン、ついでにテロンの護身術教室が開かれる事になった


「えー、本日はリースさんとゴメリさんに護身術を教えて貰おうと思います。拍手~‼」


パチパチパチパチ…


「こ、講師のゴ、ゴメリです‼」


「あはは、ゴメリさんそんなに緊張しなくても良いのに」


「俺は人に教えるのが苦手なんだよ‼」


「あれ?私に教えてくれた時にはそんなに緊張してなかったじゃないですか⁉」


「ヒナちゃんは技術がなくともパワーで圧倒してたからな、教えるというより力の使い方をレクチャーしただけだ」


(レクチャーと教える事の違いって…)


日向子は少し疑問を持ったが今日の主役はエリス達なのでグッと堪えた


「えー、護身と言う事なので先ずは基本形と力学的な事を教えます。先ずは…」


最初はカチカチだったゴメリも次第に熱が篭ってきている


「と言う訳で非力な女性でも相手の重心を崩す事によってかなり身を守れる確率が上がります」


ゴメリはリースを相手に見立てて簡単な技を披露する


「相手がこう掴んできた場合は手首を支点にこう捻ると…」


クルッ、ドスン‼


「えっ?それってリースさんが力持…痛たっ⁉」


スリはリースに拳骨を貰った


「この技術は人体の可動域とかを利用して「極め」てるの、力は必要ないわ。

見ただけじゃ信じられないだろうから1人ずつ前で実演してみてね」


じゃあ、と前に進み出たのはテロンだった


「ここをこう持って…そう、支点を固定するの」


「えっと…えいっ!」


クルッ、ドスン‼


「え?ホントだぁ‼力要らないよ、コレ‼」


テロンは得意気に起き上がるゴメリを何度も転ばせる


「…何か楽しそう‼私もやるわ‼」

「「「私も~‼」」」


ー1時間後ー


「と言う訳で簡単だけど護身術の基礎講座を終わります。

護身術はあくまでも護身であって相手に襲われた時の対処法だから気をつけてね」


「「「「「はーい!」」」」」


エリス達はストレス発散にもなったのか皆表情が輝いている


「じゃあ本日分の依頼を片付けちゃいましょう‼」


「「「「おーっ‼」」」」


意気揚々と仕事に戻る彼女達の傍らでボロ雑巾の様に打ち捨てられたゴメリは

夕方に日向子と帰ってきたキメが気付く迄存在を忘れられていた


ーウシャ爺の家ー


「全く…これは立派な殺人未遂じゃぞ‼」


ウシャ爺は痙攣しているゴメリを運んできたリース達に怒鳴っている


「ごめんなさい…男の人がクルクル転げるのが楽しくて…つい…」


「護身術を教えて貰ってたというから仕方ないにせよその後放置したら見殺ししとるじゃろが‼」


「…冗談で倒れてるだけかと…」


「馬鹿もんっ‼冗談で肋骨2本、脾臓と膵臓破裂で危篤になる奴が何処にいるんじゃ!」


「…ごめんなさい…」


「その言葉はゴメリが無事復活したら改めて言うんじゃな!」


リース達はウシャ爺にしこたま怒られてスゴスゴと帰宅するのであった

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