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ゾンビーナ!  作者: とれさん
62/378

62 ドルネの危機 part4


キメとホワイトグリズリーの咆哮を耳にしたシロ達は急いで現場に向かったが

ソコで見たのは腐臭を放つゲル状の肉塊と鼻を摘まんで耐える日向子達だった


「…何だこれは?」


《元熊ダ》


「いやいや、この大きさはヤバいだろう?まさか…ホワイトグリズリーか⁉」


ゴメリが残る骨が推察して驚愕する


「ゴメリさん、向こうに犯人を縛り上げて置いたから」


日向子は鼻を摘まんだまま残った手で向こうの茂み方面を指差す


「分かった、今こっちに連れて来よう」


ゴメリはリースと共に指示された茂みを分け入っていく


「は、離せ‼この野郎‼」

「モガモガッ‼」


木の蔓でミノムシの様にぐるぐる巻きになった二人をゴメリ達は引き摺って来た


「え?…ありゃホワイトグリズリーか⁉」


口に猿轡を咬まされていない方が唖然としている

もう1人には何故か猿轡が咬まされていた


「ヒナちゃん、何故1人だけ猿轡を?」


「あー、何かそっちは捕まえたら舌噛みきろうとしてたのよ」


相変わらず鼻を摘まんで答えているがあまりの臭さにテンション駄々落ちの様子だった


「多分こっちがテイマーでお前は御者か何かだな?」


「あぁ、そうだよ!アンタ等旦那の大事にしてた熊をこんな姿にしやがって…正気かよ⁉」


「殺らなければ殺られる、そんな事はそっちの男だって分かってる筈だが?」


猿轡の男は手塩にかけて育てた魔物の無残な姿に気力を無くしてグッタリしている


「そうだ、ドルネさん達は?」


「ううん、この二人だけで周りには人はいなかったわ」


リースは日向子に訊ねるがドルネ達の姿はなかったと言う


「ヒャハハハ‼今頃あいつ等は雇い主の所さ‼」


「⁉モガッ‼モガッ‼」


猿轡の男は御者の軽口さに怒りの表情で何かを訴えている


「雇い主とは誰だ‼」


「知らねぇよ‼俺はそっちの旦那に雇われたただの運び屋だ!」


御者は何も知らずにペチャクチャと話していたらしい


となれば猿轡の男を尋問したいのだが外せばきっと舌を噛んで死ぬだろう


「むぅ…どうすれば良いか…」


ゴメリ達が思案しているとキメがトコトコと日向子の前に進み出る


《俺の催眠効果デ聞き出スか?》


「えっ⁉そんなの迄持ってるの?」


日向子は驚きの声をあげる


《上手く行くか分からナいが…》


そう言うとキメは猿轡の男に近付き尾の毒蛇に腕を咬ませた


「…え?それじゃその人死んじゃうじゃないっ‼」


毒液を送り込まれた実例が目の前でグチュグチュと音を立てて崩れている


「ヒッ⁉ヒィィィッ‼」


御者の男は自分も目の前の骸と同じ運命を辿ると悟り失禁して気絶した


「モガッ‼ウグッ⁉」


猿轡の男、テイマーは激しく身を捩っていたが数秒で大人しくなった


「…ねぇ、キメちゃん…この人も腐り落ちて死ぬの?」


日向子はしかめっ面になりながらキメに訊ねる


《今送り込んだ毒ハ錯乱ト自白効果ノある毒だから大丈夫ダ》


キメがそう答えると日向子達は妙に感心する


「…随分便利な蛇さんねぇ」


日向子はキメの尾の毒蛇を撫でようとして手を出すと毒蛇が軽く威嚇姿勢になった


「えっ?」


《蛇は蛇、山羊は山羊で多少自我がアル。不用意はダメだ》


「へぇ~、じゃあ別々な意識が1つに纏まってるって事か…」


《少し違ウ。コイツ等は夢を見ていルのだ》


「夢、か…じゃあ醒める事もあるのかな?」


《それはナイ。俺が死んだ時そのまま死ヌのだ》


「へぇ…何か悲しいね…」


日向子は山羊や毒蛇を少し憐れんだ


「ググッ⁉お前何をした?」


《喋った。もう何も隠せナイ》


キメが自信満々に告げる


「本当?じゃあ…貴方のコンプレックスは?」


「馬鹿な質…最近ハゲて来て悩んでイる。。。。はっ⁉」


「…ヤバいわね、本当だわ」


テイマーの告白にリースが驚く


《この毒は錯乱させてから自白を促すから抗えナイのだ》


(((…マジか…)))


日向子達はキメに優しくしようと決意した


「…ゴホンッ‼貴方の雇い主は誰?」


「あ~…俺のぉ雇い主はタラン様だぁ~♪」


流石錯乱状態、今度はウキウキ気分で答えた


「そのタランって人は何者?それとドルネさん達を何処に連れて行ったの?」


「うぐ…ひっく…タラン様はサルバ国内1の商会の主だよぉ‼

ひっく…ドルネが持ってる神獸を奪って貴族に高く売り付けるとか言ってたんだ、うわ~ん‼」


「えっ?神獸って…ニルちゃんとかキメちゃん達の事⁉」


「ニル?キメ?良く分からないがドルネ小飼のテイマーが運送業に使役しているらしいぞ?」


「…全く酷い誤解だな…」


ゴメリはため息を吐く


「じゃあ…ドルネさん達は私の為に襲われて浚われたって事?」


日向子はテイマーの口から聞いた言葉にショックを受け涙目になっている


「「私」?あっ‼お前がドルネの所のテイマーか?」


「私はドルネさんとは知り合いだけど小飼じゃないわよっ!」


ドガッッ‼パラパラ…


日向子はテイマーの脇にある岩を殴り付け粉砕した


「…は?」


ビックリしたのはテイマーよりもリースの方がデカかった様だ

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