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ゾンビーナ!  作者: とれさん
6/378

6 身体能力チェック


ー翌朝ー


「ヨシッ‼じゃあ先ずは50m走からね‼」


日向子は適当に地面に線引きすると歩幅を調整して50歩歩く


「よーい…どんっ‼」


ーメシッ‼ドタッ!ー


日向子はスタートしようと踏ん張った瞬間躓いた様に前にスッ転んだ


「イタタ…って痛くないか、何が起こったの⁉」


日向子はスタートライン付近に戻り地面を眺める


「…えっ⁉」


足を踏ん張った辺りの地面は蜘蛛の巣状にひび割れその中心に日向子の足跡とおぼしき穴が穿たれていた


「そんなに力が強かったのかな?もう一度やってみよう」


今度は踏み込みで少し力を抜いてスタートした


ードンッ‼ダダダッ‼ー


(1…2…えっ⁉)


日向子は2秒弱で50mを走り切ってしまった事に驚愕する


「えっと…50mを2で割って3.6を掛けると…90km⁉」


大まかな計算だが今日向子が出したタイムは時速90kmで50mを走り抜いた計算になる


「多少力を抜いたのに…スーパーカー並みね…」


日向子は女性にしては(?)珍しくバイクや車の趣味があった

うろ覚えながら何処かのメーカーの車のスペックを思い出していたのだ


「じゃあ次は…ジャンプ系を試してみようかしら?」


ここには計測する機材はないし日向子自身それほど記録に興味もないので適当に屈んでジャンプする


ーグッ…ドガッ!ー


一瞬地面が爆ぜて土煙が上がると同時に日向子の体は空中に飛翔する


「あっ⁉きゃあ!」


走れば尋常ならざる速度で走れる脚力を垂直方向に使えば当然の結果であるが日向子はそれを思い至らなかった


気付けば日向子の体は村全体が見渡せる程の高空にあったのだ


飛べない限り上昇には終わりが来る。


さっきの悲鳴は下降を始めた時に身の危険を漸く感じたからであったのだ


「きゃあ~~~っ!助けてぇ‼」


ーヒューーー…ズダンッ‼ー


「ふーー☆もう死んじゃうかと思ったわ…」


多分もう感覚が麻痺している。


日向子は一瞬にして上空に跳んでその後高所からの落下の衝撃をものともせず着地しているのだ


普通の肉体なら跳べもしないが着地の衝撃にも耐えられない


「さっ、次次!」


握力を試す為に石を握れば粉砕され投げれば爆発音を伴って砕け散る


「あは、あははははぁ♪」


動揺してスキップをすればスプリングボックのストッティングの様に高く跳躍してしまう


高密度の筋肉と衝撃に耐えうる骨強度がなければ不可能な動きだった


日向子は暫く飛んだり跳ねたりした後頭を抱えて蹲った


「私の体に何が起こっているの?」


どうやら取り乱していた最中に急に冷静になった様だ


草原で意識を取り戻した時から肉体は生命活動を止めていた

その上常人ならざる身体能力…


日向子の脳裏に映画で見知ったある存在が浮かんできていた


「私…ゾンビなの?」


定義は様々あるが近年の映画では生命活動を停止した途端謎のパワーアップを果たす死体


消化すら出来ないのに生者を襲い貪る貪欲なクリーチャー


…ん?私…人を食べたいなんて思った事ないわ?


じゃあゾンビじゃないのかしら?

ゾンビじゃなかったとしたら何なの?


いくら考えても答えは出ない

出ないなら探すの?答えを?

出たとして受け入れられるの?


「あーっもうっ!やめやめっ‼」


日向子は開き直った


悩んでも出ない答えは出しても仕方ないのだ


「私は「私」。ここが何処でも何者でも関係ないわ‼肝心なのは「これから」よ、これから!」


日向子は先の事よりも今をどう生きるかを優先させたのだ


そうと決まれば先ずは手に職だ


「ウシャ爺の所でお手伝いしようかな?雇ってくれるか分からないけど」


そういえば魔物が出るって言ってたしこの力を使ってゲームの冒険者みたいな事をしても良いかも?


「よーし、明日から職探ししよう!」


日向子はピョンピョン跳ねながらカントさんの家に戻るのだった

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