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ゾンビーナ!  作者: とれさん
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59 ドルネの危機 part1


神獣運輸が新装開店してから1週間、従業員達も場に慣れて円滑に依頼をこなしていた


「サザンスからマンライへの輸送、終わりました」

「次の依頼は何ですか?」


エリスとコロン組がリースに訊ねる


「えっと…ウシャさんの所に行って荷物を受け取ってドルネ商会に届けて。

復路はドルネ商会からガラス細工をお城へお願い。どっちもワレモノ扱いね」


「分かりました‼」


リースも元々ポテンシャルが高いのか運行管理を数日で把握して上手く回している


「あのー…討伐依頼はココで良いんですか?」


「いらっしゃいませ‼はい、大丈夫ですよ。ではこちらにどうぞ」


受付嬢のテロンも1人の時はてんてこ舞いしていたがリースに事務仕事を分散させた事で見違える程生き生きとしている


コンコン、失礼します


「魔物の討伐依頼かな?」


「はい、こちらの方が」


「うむ、では茶を頼む」


ゴメリはテロンに申し付けて客をソファーに誘う


「それでご用件は?」


「はい…実は私ドルネ様の下で働いている者なのですが…

先日旦那様がサルバ国に仕入れに行ってまだお帰りにならないのです」


「ふむ、出発したのは何時だ?」


「1週間程前になります」


「1週間か…寄り道すればその位は掛かるだろう?それに何故「討伐依頼」なのだ?」


「あ、はい。実は昨晩旦那様に随行していた丁稚がボロボロになって戻って来まして…

サルバ国から出て大森林を横切この村に寄る予定でしたが途中で魔物に襲われたそうです」


「何⁉それを早く言わんか‼南西の大森林だな?」


「は、はい‼」


「魔物の種族は分かっているのか?」


「暗がりでハッキリとは見なかったそうですが…山の様な体躯で黒っぽい毛に覆われていたそうです」


「うーむ、おそらくグリズリー系の魔物だな。数は分かるか?」


「見た限りでは3頭程だったそうです」


「3頭だと⁉それは難儀だな…分かった、早速向かってみよう」


「お願い致します‼」


ゴメリは受付にいたリースに日向子を呼んで来て貰う


(グリズリー系では重装甲で向かう方が良いな)


そう思いながらフルプレートメイルを着込む


「ゴメリさん、何かあったの?」


「ああ、ドルネさんが南西の大森林で魔物に襲われたらしい」


「大変!早く行かなきゃ!」


「魔物はかなり強いグリズリー系だ、心して戦えよ?」


「分かった、じゃあ先にキメちゃんと行くね‼」


日向子はそのままキメに飛び乗って飛び去って行った


「隊長‼私もお供します!」


日向子と入れ替わりに入ってきたリースは既に鎧を着込んで臨戦態勢になっていた


「…相当危険だぞ?」


「承知してます!」


「ではシロ達を呼んで来てくれ」


「はいっ!」


ゴメリはリースの随行を許可して急ぎ着込むのであった


ー南西大森林上空ー


バサッ、バサッ、


「ちょっと上からだと確認出来ないわね…ん?あそこ…煙が上がってるわ、キメちゃんお願い‼」


日向子は木々の間から煙が立ち上っているのを見つけ舞い降りる


ガルルル…チャク…チャク…


「…酷い…」


降り立った所で目にしたのは…

ブルピットや小型魔物が破壊された馬車の横に倒れている人間を貪る光景だった


ヒュッ‼ドシュッ‼ザシュッ‼


ゴァァッ‼ギャンッ‼


日向子とキメは死肉に群がる魔物を一掃した


「…この人…商会で見た事あるわ…」


食い散らかされ原型を留めていない遺体が複数転がる中、辛うじて判別出来た中に見知った人の顔があった


「となると…この商隊がドルネさんの商隊で間違いないわね…」


日向子は無残に散らかる肉塊の中にドルネの姿を探し始めた


ダダッ‼ダダッ‼ダダッ‼


「ヒナちゃん大丈夫か⁉」


沈痛な面持ちで遺体の判別をしているとゴメリとリースがシロ達と共に到着した


「…ゴメリさぁん…ドルネさん死んじゃったかも…」


日向子は涙を浮かべて訴える


「…そうか。」


ゴメリは余計な言葉を挟まずリースに目配せすると二人も黙々と遺体の判別に取り掛かる


手足が千切れ内臓が食われ頭部が持ち去られた遺体を少しずつ選り分けていく


「1、2、3、4、5…凡そ7体か…」


体ごと浚われた者も考えられるがここにある遺体は約7体分あった


「隊長、数が合いませんね…」


「ああ、確か商隊は全部で20人、馬車は4台だった筈だ」


「?ゴメリさん、何を話しているの?」


「いや、救援要請に来た者の話ではドルネさんの商隊は馬車4台と護衛10名、小間使いが3名、

御者が4名、番頭が2名とドルネさんの20名の筈なんだが…」


連れ去られたり持ち帰られたとしても数が合わなかったのだ


「馬の死体も数えてみると数がおかしい、これは周囲を捜索する必要があるな」


「じゃあ直ぐに行こう‼」


「待て‼今ここで遺体を貪っていたのは小型か中型魔物だが報告では襲ったのは大型魔物だ、

万が一を考えると単独行動はリスクが高すぎるぞ‼」


ゴメリは元隊長らしく状況を正確に判断して日向子の言葉を却下した


「でも…もしかしたら生きてる人がいるかも知れないわっ‼」


「ヒナちゃん落ち着け‼気持ちは分かるがこういう時こそ感情で行動してはいけない‼」


ゴメリの説得に日向子も渋々納得する


「隊長、ここは3人で等間隔に広がり螺旋状に捜索範囲を広げてはどうですか?」


「…うむ、それが安全だろう。では少し間隔を開け右回りで展開するぞ‼」


3人は5m程の間隔を開けて並び内側のリースを支点に右回りで捜索を始めたのだった

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