表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビーナ!  作者: とれさん
50/378

50 新しい仲間達 part3


日向子とゴメリは引き続きキマイラ改め「キメちゃん」達の躾を敢行していた


そもそも何故一体だったキマイラが複数体いるのかと言うと最初に降伏したキマイラは「家庭持ち」だったのだ


家長(?)のキマイラが降伏した事によって日向子に恭順の姿勢を示した他のキマイラ達を日向子は捨て置けず

全員村に引き連れて来ていたのである


その総数母子(?)合わせて約10頭、「約」と付けたのはどうも子供(?)のキマイラは形状が安定しない様で

ライオンと山羊に分離したり2頭が合体したりして頭数が常に一定ではなかったからだ


「キメちゃん達は火を吹く意外の特殊能力とかないの?」


「ゴルァッ?」


日向子の問いに対して(そうだなぁ…)みたいな態度をしたキメちゃん1号(家長)はトコトコと前に歩み出す


「…ゴルルル…」


…メキメキメキメキ…


「あ、すごーい‼」


キメ1号が日向子に披露したのは所謂「キメラ細胞」を使った植物の合成である


キマイラの口から霧状の煙が漏れその煙に当たった木が根元から別の幹を生み出し果実を実らせたのだ


「これは…これなら村人達にも受け入れられるやも知れんな」


「えっ?本当?」


「あぁ、作物の品種改良が随意で行えるとしたら環境に強い作物や病気にならない作物の生成も可能かも知れん」


「…なるほど‼キメちゃん、それって出来るかな?」


「ゴルァッ♪」


「あ‼出来るっぽい‼」


「ならばこの特殊能力を村人達に見せて見ようではないか」


「そうね…キメちゃん、他に出来る事とかある?」


「コルル‼」


今度は1号に変わり子供のキマイラが日向子の前に進み出る


「コルァッ‼」…シャァァァッ‼


子キマイラが日向子達に見せたのはその尻尾から生えている蛇が出す液体であった


「…うへぇ…これ、何?」


日向子の足元に毒蛇の吐いた液体が水溜まりの様になっている


「コルル♪」


「ん?何かに使えるの?」


「コルルァ~♪」


日向子の問いに子キマイラはクルクル回ってそうだ、と言わんばかりである


「えっと…これはウシャさんに聞いてみないと分からないわね…」


《…ソレ…どんな毒でも治セル》


「…えっ⁉喋ったの⁉1号?」


《…大人のキマイラは言葉話セル、少し…》


「…凄いじゃない‼どうして喋れるの⁉」


《ミンナが皆じゃナイ…人間取り込むと喋れル》


「。。。聞かなかった事にしましょ、ゴメリさん…」


「…あぁ、そうだな…」


日向子達は言葉を発するキマイラのその原因の追及を放棄した


「村の皆‼ちょっと来てー‼」


村の広場で日向子は皆に召集を掛けた


「何だい?ヒナちゃん…っておわぁっ⁉」


村人達は出て来てまもなくキマイラ達を見つけてビックリする


「…ヒナちゃん…今迄にもブルピットやスレイプニル、ユニコーンを見てきたが…

このキマイラだけは無理っぽいべ…」


集まった村人達は口々に降参宣言をしていった


「そんなにビクビクしなくても大丈夫だよぉ、それよりコレ見て⁉」


日向子は集まった村人達にさっきよ液体を見せた


「…これに何の意味があるんだべか?」


「キメちゃんが言うにはこの液体には解毒作用があるそうなんです」


「…何じゃと?」


解毒という言葉にウシャ爺が反応した


「もしそれが本当ならワシの薬との兼ね合わせ次第では素晴らしい薬効が…ブツブツ…」


ウシャ爺が自分の世界にトリップしていた


「…確かに解毒の薬液が出来るのは嬉しいけんど…そんだけでこの魔物を受け入れられるとは…」


村人の誰かがこう呟く


「コルル…」


子キマイラが寂しそうに鳴く


《…ソレだけじゃナイ…オレ達色んナもの合成でキル…》


「!?しゃ、喋ったっぺ⁉」


村人がキメちゃん1号の言葉に驚愕する


「このキメちゃんは人語を理解し話せる事が分かりました。

この子の言う事には作物の品種改良等も出来るらしいんです」


日向子は拙いキマイラの言葉を補足して村人に伝える


「ほ、本当だか?」


「さっき見せて貰いました、実際植物同士を合成して見せたんですよ」


「…もしそれが本当だっつうなら気候変動にも強い小麦とかも作る事が…」


この世界の農業は日向子の世界よりもかなり技術的に後進的で最近漸く品種改良という言葉が出回ったばかりである

その試行錯誤に於いて促進技術を持つキマイラの存在は正に神にも等しい存在になる得る


日向子は村人にこうアピールしたのだ


「だとしたら…この村はより安定した生産が可能になるべな…」


「はい。もし品種改良が成功したらこの村だけでなく国全体が、世界全体から飢えがなくなると思います」


「…そっか…一度だけヒナちゃんの言葉を信じてみるのも悪くないかも知れないっぺ」


村人とキマイラの共存の道が見えてきたと日向子は思うのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ