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ゾンビーナ!  作者: とれさん
44/378

44 日向子に封じ手無し?


ゴメスの壊した会場の仮補修も済み次のカードが呼ばれる


「準決勝第2戦を始める‼日向子、武術師チェン、前へ‼」


ワァァァァッ‼


「流石に今までみたいにとは行かないかもね」


「フフッ、王の覚えもめでたき日向子殿と一戦交えるとは恐悦至極」


「至極って…そんな大した者じゃないわよ」


「だが戦いを見れば分かる。まだまだ本気にはなられておらぬ様だ」


「うーん、それはそうだけど…」


「であれば是非全力での戦いを所望するっ‼」


そういうチェンは最初から青い刀身の双剣を逆手に構えている


「そこまで言われたら出さないのは失礼ね」


ーブブンッ‼ジャコッ‼ジャコッ‼ー


日向子は腕を振って両腕の手甲剣を出して構える


「ほう、それが日向子殿の武器か…中々に変わったモノだな」


「色々試したけどこれがピッタリきたのよね、じゃあ始めましょ」


「お互い準備は良さそうだな。では始めっ!」


審判は宣言すると後ろに退いた


「じゃあいっくよー‼」


ーダンッ‼フュッ‼ー


「…え?」


ーキキンッ‼…カラララ…ー


それは一瞬だった


日向子が踏み込んで飛び出した迄はチェンにも見えていたが己の双剣の刃が折られ宙に舞い地面に落ちる迄動けなかった


「次元が違い過ぎる…か」


チェンは己と日向子の力の差をまざまざと見せつけられ呆然とする


両親に死なれ孤児になったチェンを師匠が拾ってくれてから二十数年、

彼は文字通り血の滲む様な努力をして技を修めていった


戦って戦って戦い抜いた彼は徒手空拳と武具の扱いで右に出る者がいなくなり免許皆伝を賜った


それからも他派と戦い続け己の中でこれ以上の成長は限界と思えた時に知った武闘大会の存在に

彼は迷わず飛び込んだのだ


だが目の前の少女はそんな彼の二十数年を根本から吹き飛ばす程の強さだった


チェンが見るに日向子には技術は備わっていない

ただ己の膂力と反射神経に依って尋常ならざる動きで相手を組伏せているだけだ


「だけだ」が…それが次元が違う


それが分かるのは二十数年間己を研ぎ澄ませてきた彼だからこそなのだろう


「…本来なら降参すべきだろうが…私も全身全霊で戦わせて貰う‼」


チェンは独自の呼吸法で気を練っていく


「あは♪じゃあ私も‼」


ージャッ、ジャッ‼ー


日向子は手甲剣を収めてチェンの徒手空拳に向かい合う


「ハァッ‼」


シャッ‼パシッ、ジャッ‼ブンッ‼


チェンは分かっていた。


己の全ての技を以てしても日向子の反射神経によって全て躱されてしまう事を


だが今は無心で拳を出し足で払う


日向子はそんなチェンの気持ちが分かるのかそれとも彼の完成された技を盗もうとしているのか

大人しく付き合って組み手を続けている


途中からチェンは日向子に技の全てを伝授するかの様に出し惜しみなく仕掛ける様になっていた


日向子もまたその全ての技を噛みしめる様に受けてそれを流していた


この光景を見ていた観客や兵達は戦いを見ているというより何かの舞いを見ている様な錯覚に陥り静かに眺めている


「えっと…こうかな?」


パシッ、シュッ‼パシンッ‼


「日向子殿、それでは手打ちになってしまっているぞ。もう少し踏み込まねば力が上手く伝わらん」


「あ、そうか‼じゃあ…えいっ‼」


日向子が技を吸収していく毎に二人の組み手は鋭く、そして速くなる


「…凄ぇ…人間の動きじゃねぇよ」

「ホント、何故か美しいわ…」


そんな美しさを備えた舞いもいつかは終わりが来る


「はぁはぁ…残念だがもう体力が尽きそうだ…次の一手に私の全てを賭ける‼見事受けてみよ‼」


「勿論‼全て受けて見せるわよ‼」


「はぁぁぁぁっ‼」


チェンは最後の力をふり絞り勁を練る


「これで仕舞いだ‼龍牙断裂手‼」


チェンは両手を拝む様に合わせ練った勁を指先に乗せてそのまま日向子に突き刺す様に繰り出した


ビュッ‼…バシッ!


「…これも難なく受ける、か。降参だ、日向子殿」


「チェンさん、教えてくれてありがとう。貴方は私のお師匠さんよ」


「フフッ…こんな所で弟子が出来るとはな…」


チェンは言い切る前に気力を使い果たして倒れ込んだ


「…勝者、日向子ー‼」


ワァァァァッ‼


観客席からは美しい舞台の幕引きの様な拍手が沸き起こった


「やったぁ‼」…ポロン⁉


!?


。。。


「…いやぁぁぁ~っ‼」


日向子が喜びの余りにジャンプした時、いつの間にか肩口に掠って付いた傷が悪戯をした


その傷は日向子のビキニの紐を切り日向子の豊かな胸が上乳だけとは言えポロリしてしまったのだ


常人ならざる反射神経により全ポロリは免れたものの日向子はその場に胸を押さえてしゃがみこんだのだった


「おい…今見えなかったか?」

「マジか?俺は見逃した…畜生‼」

「何かピンクの…」


「いやぁぁぁ~っ‼」


ドカーンッ‼ガラガラ…


日向子はさっき教わった発勁をその尋常ならざる膂力に乗せて観客席に放った


「ぎゃーーーー⁉」

「うわーーー‼」


日向子の無差別攻撃はゴメリが抱え込んで止める迄続き少なからず負傷者が出てしまった為にそのまま本日の試合は閉幕となったのだった

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