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ゾンビーナ!  作者: とれさん
41/378

41 五位決定戦


「これから五位決定戦、第1試合を行う‼鋼鉄の騎士マール、投剣のミジン‼」


ワァァァァッ‼


「チッ、また苦手な相手かよ…」


ミジンは1人毒を吐く

マールも前回敗北したゴメス程ではないがフルプレートの鎧を着こんでいる


当然まともに当たればミジンの攻撃は通じず惨めに敗北するだろう


「だがよ、お前さんの鎧なら…」


「では始めっ!」


開始の合図と共にミジンはマールの周りを素早く移動する


ーシャシャッ‼…チチンッ‼ー


ミジンの投げた短剣は案の定鎧に弾かれる


「おいおい、デジャビュかよ?もっと違う攻撃ねぇのかよぉ‼」

「素人は騎士には勝てねぇだろ‼とっとと降参しちまえよ‼」


観客席からは心無いヤジが飛ぶ


「へっ、まぁ見てろって」


ーシャッ‼…グサッ‼ー


「⁉…むぅ?」


ミジンの移動速度に翻弄されていたマールの肩口に短剣が突き刺さる


「よっと‼」


ーシャシャッ‼…キンッ、グサッー


「ぐあっ⁉」


今度は足元に投げた短剣が膝裏付近に刺さりマールは堪らず膝をつく


「おいおいおいおい、まさか…倒せるのか?」

「マール‼何やってんだてめぇ‼俺ぁお前に賭けてんだぞ‼」


試合前のオッズ(倍率)はミジン20に対しマールは2である。

ゴメス戦を見ればミジンの劣勢は明らかで固い賭けだと思って大金を賭けていた輩もいた


だからこそマールの敗北は許されないのだ


「…身勝手な理由だが…俺も此処で負けるつもりは無い‼」


マールは膝裏に刺さった短剣を引き抜くとスックと立ち上がる


「チッ、そのまま動かないでくれたら楽なのによ」


「お前の攻撃は見切った。降参か死か、選べ」


「ははっ‼そんなの選べねぇよ‼」


ミジンは更に移動速度を早めてマールに投擲する


「むぅん!」


ーブン…ブンブンブンブンブンー


チンッ‼チチンッ‼キキンッ‼


「…チッ‼」


マールは目で追えない相手に対して蛇腹剣の拘束を解き柄を支点にバトンの様に回して防御した


ージャッ‼ジャッ‼キキンッ‼ー


鞭の様にしなる蛇腹剣の高速回転にミジンの短剣は全て弾かれる


「クソッ、クソッ‼」


ミジンはゴメス戦でのトラウマで冷静さを欠いていた


…ガサッ…


「あ⁉」


ミジンは次の攻撃をする為に胸元を探るが既にストックが尽きていた


冷静なら残数を頭に入れておくのは基本中の基本だか今のミジンには到底無理な話だった


「く、くそっ!」


ミジンは地面に落ちた短剣を拾おうと手を伸ばす


ージャッ‼チチンッ‼ー


そんな事を許すマールではなかった


「剣が尽きたか、降参しろ」


断ればマールから放たれる殺気は現実のものとなりミジンは死ぬだろう


…ドカッ‼


「ちぇっ‼分かった。降参だよ‼」


ミジンはその場に大の字になって倒れた


「勝者、マール!」


ワァァァァッ‼


「ミジン‼良く戦ったぞー‼」

「マールを追い詰めたんだ、自慢して良いぞ‼」


観客の声援は勝者よりも負けたミジンに向けられた


「…へっ、人に誉められるのも悪くねぇな…」


ミジンは会場を去りながら笑みを溢しすのであった


「第2試合‼音速の貴公子ビューア、白銀の麗人リース‼」


ウォォォォォッ‼


歓声はミジン達の時より更に大きくなる


「リースちゃん頑張ってー‼」

「キザ野郎なんかぶっ倒せ‼」

「愛してる⁉」


歓声の中に時折ぶっ壊れた声援もあるが今のリースにはどんな声も届かない


「フフッ、日向子ちゃんには通じなかったが僕の神速は未だに健在だよ

申し訳ないけどリースちゃんはこの場で敗けを認めてくれたら傷つけずに済むんだけどな?」


「…私に後退は無い。さっさと掛かって来い‼」


リースはビューアの戯言を無視するかの様に双剣を抜き身構えた


「…様子見は無しって事かな?」


ビューアも剣を抜き手を横に伸ばす


「始めっ!」


ーシュンッ‼ー


ビューアは開始と同時に姿を消した

日向子戦の時に辛酸を舐めた分身の術は負けて封印したがそのお陰で技に無駄がなくなったのだ


「僕は負けて尚学ぶ謙虚さを持ち合わせているからね、もう君の付け入る隙はないよ?」


ーシュン、シュン、タンッ‼ー


ビューアの姿は見えずともリースには彼が自分の周りを高速移動している事は声で察知している


…スッ…


「おやおやぁ?目を瞑ったけどそれは降参って意味かなぁ?」


リースは五感を研ぎ澄ます為に目を閉じて音を拾う


…(タタタタッ…タンッ…シュッ…)


歓声の喧騒の中、ビューアが発する音を拾うのは至難の技だ


だがリースはゴメリより教わった「退かぬ心」でじっと耐え機を待つ


「あはは‼降参しないなら傷つけない様に気絶させてあげるよ‼」


…(…シュッ…ダンッ‼)


「ここだぁっ!」


ーキンッ‼ザシュッ‼ー


…ドサリ…


「ば、馬鹿な?見えない僕をどうやって…」


「確かに見えなかったけど宙に浮いてなきゃ足音はどうしたって聞こえるわ。それに…」


「?」


「あんた闘いの最中喋り過ぎるわ」


「…そ、そうか。覚えておこう…」


「勝者、リース!」


ウォォォォォッ‼


リースはまた1つ成長した様だった

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