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ゾンビーナ!  作者: とれさん
374/378

374 北半球を救え part5


ヒルダの号令で神獣運輸に集められた創設スタッフの子孫達、その数30名弱


彼らは日向子という数百年前に突然消えてしまった人物の「言い伝え」を親子代々の遺言として申し送りがされていたのか、日向子本人を見て驚いたり怪しんでいたりしている


「…皆さん、信じられないでしょうが…私は日向子。神獣運輸の創設者です」


「う、ウソだ!創設者の日向子様がそんなに若いままでいられる訳がないじゃないか!」

「き、きっと何か企んでいるのよ!」


喧々囂々とした子孫達が静まるのを待って日向子は優しく語りかけた


「…皆さんがどの程度伝えられているかは分かりませんが…私はゴルド領主として王命を受け

障壁に隔たれた南半球の調査に赴いて…此方に戻ってこれませんでした」


「そんな…」

「でも確かにこの内容はご先祖様から聞いた通りだぜ?」

「王命って話は関係者以外知らない筈なのに…まさか…」


「…皆さんにとって数百年の時が流れていたこの世界ですが…実は南半球では数年も経っていません」


「なっ!?」「バカな…?」


「疑うのは当然です。そんな信じられない話を鵜呑みにする人はいないでしょう。…が、それが偽らざる真実なのです」


…ザワザワザワザワザワザワ…


日向子の突拍子もない発言に子孫達に動揺と混乱が走る


「私の話は信じて頂けなくても結構です。此処に…神獣運輸に立ち寄ったのも単に郷愁と言うか…懐かしさからで私が何か求めて此処に来た訳ではありません。

…お陰で…ニルと再会出来た。

これだけでも十分嬉しい事でした」


「…マジかよ?あの気性の荒いニルに…?」

「そういえば…さっき抱き合っねるのを見かけたぜ…」


「私は本意ではないにせよ神獣運輸…皆さんのご先祖様達にこの会社を放り投げてしまった人間

折角この場を設けて頂けたので…皆さん…皆さんのご先祖様達にここで深くお詫びをしたいと思います。…ごめんなさい」


突如頭を下げた日向子に子孫達は更に動揺する


「そ、そんな!?ひ、日向子様が謝る必要なんてないじゃないですか!」

「そうだ!ご先祖様の言い伝えでは日向子様はこの世界の窮地を何度も救って…このゴルドもいちから興した偉人だって聞いてましたよ!」


…どうやらスリ達は日向子の事を恨んで逝った訳ではないようだ

その事だけでも救われた気持ちになった日向子は今、この北半球に静かに迫っている危機を正直に伝えようと決めた


「…ありがとう、皆さんと皆さんのご先祖様達には深く感謝しています

そのお礼、という訳ではありませんが…今この世界が抱えている危機についてお伝えします」


「危機…だって?」

「な、何かあるのか!?」


突如数百年前に消えた伝説の人物が目の前に現れた

それだけでも驚愕に値するのにその人物から聞かされたこの世の危機


子孫達の脳裏には疑問が湯水の様に沸きだして既に思考停止寸前にまで追い詰められていた


「因みに…私はその危機を何とか救う為に此方にやって来た…神の様な存在です」


…っ!!!!????


ギリギリで耐えていた子孫達の思考も日向子の神様発言にとうとうオーバーフローを起こし卒倒する者達が大勢出たのだった


。。。


「…そんな…」


数時間後、混乱状態から何とか立ち直ったヒルダは日向子から詳しい話を聞いてまた思考停止寸前まで追いやられている


事故により切り離され、次元の隙間に落ちてしまった北半球、その影響で本来の時間よりもかなり早く進む様になってしまい元々の数年が数百年というズレを生んでいる現状


そして今このまま放置すればこの地は更に次元の奥に沈みこんで崩壊をしてしまう可能性があるという事

更に更に、目の前にいる日向子が北半球を救う為に神格を得て神となり再びこの大地に訪れているという事実


荒唐無稽すぎて普段なら一笑に伏す所だが日向子が消えてから誰にも心を許さずただひたすらに日向子の帰りを待ちわびていた、と伝えられているスレイプニルのニルが今、日向子の脇でうれションせんばかりに顔を日向子に擦り付けている


…ん?厳重に管理している筈の神獣達の檻から何故ニルが勝手に出て此処に来ている?


謎と謎、不思議と不思議が重なりあって既に何が何だか分からない


少なくともニルが此処にいて日向子と自称する女性に懐いている

更にご先祖様から言い伝えられていた日向子の容姿と寸分違わない事から…信じざるを得ないのだが


「そ、そんな…」


「えぇ、信じられないのは当然だと思います。今話した事は他言無用でお願いしますね

私がこの世界を安定化させたとしてもあなた達の環境が何か影響が出る訳ではありませんし」


「じゃあ…何故?」


「そうね…スリ達創設時にいたスタッフ達の子孫であるあなた達には…正直に伝えておきたかった…それだけかな?」


正直そんな事を聞かされても単に不安を抱えるだけだ

聞いた所で人間がどうこう出来る問題ではないのだから


ヒルダは日向子の本心を必死で探ってみたがヒルダ達を騙そうと思って詐称した訳でもないし何のメリットもない

その一点でこの目の前の人物は本物の日向子で彼女の発言が真実なのを理解「させられて」いた


「…日向子様、あなたはこの世界を救って頂けるのですか?」


「勿論そのつもりでやって来たの」


「…私達に出来る事は…ないでしょうがせめてお手伝いする事は…」


「うーん、多分何もないわ。今日はスリ達の子孫さんと…ニルに会えて嬉しかった

それだけでも私が頑張ってこの世界を救う理由になったわ。ありがとう」


日向子ほヒルダ達集まった子孫に深々とお辞儀をしたのだった

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