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ゾンビーナ!  作者: とれさん
369/378

369 Road to God part7


日向子が大神様に呼ばれ神見習いとして認定されて戻ってきたその夜、日向子が突然倒れてしまった


起こそうとしても一向に意識を取り戻さない日向子にデバちゃんやキメが付きっきりで介抱している


コンコン…ガチャ…


〈日向子はどうだ?〉


兵器の解析に区切りをつけた始祖とラクルが日向子の下へ様子伺いにやって来た


《それが…未だに目が覚める様子がありません…》


介抱していたキメが心配そうにベッドに横たわる日向子をみやる


〈北半球の消失からずっと不眠不休で人助けしていたのだ、きっと疲れていたのだろうな〉


本人は努めて明るくしていたが本当は仲間達を救えなかったという負い目で潰されそうになっていたのだろう

だから神へと昇格する事で一縷の望みを提示された時、何の疑問も持たずに今まで突っ走って来た


無事信心を増やし神格を得た今、張り詰めていた気持ちがぷっつりと切れて寝込んでしまったのかも知れない


そんな周囲の心配を余所に日向子の体内では神に至る為の大幅な改変が行われていた


確かに張り詰めていた気持ちの糸が切れて倒れたのも事実だったが日向子が神へと昇格する為には体を構成する細胞が雑多過ぎて大幅な改変が必要になっていたのだった


元々日向子はゾンビとして転生したが魔力は持っておらず魔法は使えなかった


ラクルに瀕死の傷を負わされキメのキマイラ細胞とバンパイア細胞、そしてシルグのドラゴンの細胞を取り込んで膨大な魔力を得たのだった


今まではそれらの細胞の相乗効果で底上げされていたが神とは元々

膨大な霊力を保有するアストラル体であり

肉体に宿れば自身の力で崩壊してしまう程なのだ


今、日向子の体内では魔力を霊力に変換出来る器官を始めとして現人神として存在出来る様に細胞の変革が起こっているのだった


これは先駆者でもあるカズヤが日向子にも伝えずに促した変化でその情報は一切秘匿されていた


スピリチュアル体とアストラル体、そして肉体を改変し統合する時に変な刺激を与えてしまうと改変が終わる前に日向子の体は自己崩壊してしまうからだ


カズヤがわざわざこの世界に降臨したのは日向子を支えるキメ達に翻意がないかを確かめ、更に観光と称して留まる事によって日向子の改変を促進する為でもあったのだ


同じ日本からの転生組、同じゾンビからのスタートだったとしても日向子に対するカズヤのケアは少し厚すぎると思われるだろう


ソコにカズヤの本意が込められているのは恐らく大神様でも気付いていないのだろう


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


日向子が眠ったまま1週間が過ぎた


キメ達は一向に目を覚まさない日向子に違和感を感じて起こそうとしたが

日向子の体が明滅し始めたりした為に無理して起こさず目覚めるのを見守る事にした


肌の色が変わったり明滅をし始めたのは監視していたカズヤの分体がキメ達の行動を察知して

強引に起こさない様に幻視による幻覚を付与して誤魔化した為であったが

意図が伝わったのか自然な目覚めを見守る動きに変わった為、今は目立った変化は見られない


他の生物の細胞を取り込んで我が物とするキマイラ細胞はある意味万能細胞ではあるのだが

その核となる細胞が不安定な為に取り込んだ細胞の優劣で崩壊してしまう脆さも持ち合わせている


補食能力はそのままに細胞核を安定化させる

そしてバンパイア細胞やドラゴン細胞の劣化遺伝子を排除して組み換えていく


日向子の無意識下で行われている肉体改造は先駆者であるカズヤのサポートによってより強化・洗練されていき

更に神としての叡知を睡眠学習的な手法でどんどんと注ぎ込まれている


幸いキマイラ細胞を持つ日向子は拒絶反応が殆ど起きない

カズヤ自身が神に至る迄、そして神として活動する際に不便を感じた部分は淘汰された状態で日向子に組み込まれていったのだった


そしてとうとう2週間が過ぎた


「…ん…」


「‼ピポッ‼キメサン、主様ガ‼」


《っ‼あ、主っ‼》


2人の目の前で日向子がゆっくりと瞼を開ける


「…え?2人ともどうしたの?」


顔を近付けて覗き込んでいる2人にビックリしているがまだ状況が飲み込めていないのか辺りをキョロキョロし始めた


《2週間だ、2週間もずっと目を覚まさなかったんだぞ》


「ズット心配シテイマシタ」


「え?…そうだったんだ…何かごめんね?」


お互いよく分からないまま時間が過ぎていくが結局目が覚めて良かった、という事で納得していた


3人が話をしていると気配に気付いたのか始祖とラクルが部屋に入って来た


〈〈日向子、目覚めたのか‼〉〉


どうやら皆に心配をかけていたらしいと察した日向子は2人にも謝り更に識者達にも謝罪した


「あ…そういう事か」


迷惑を掛けた人達に一通り謝ると日向子は自分の体の変化に何となく気付いた


《主、どうした?》


「…うん、どうやら神様になる為に必要な休息だったみたい」


そういうと日向子は目の前に咲いていた花に手を添える

すると触れられた花は一気に開花し、散り、そして再び蕾をつけてまた開花する


〈日向子殿?それは…?〉


ラクルがその異様さに驚く


「どうやら神の御業みたいなモノが身に付いたっぽいわ」


魔法では決して再現出来ないまやかし無しの御業にラクルもキメ達も唖然としている


神への目覚めと共に身も心も神化した日向子はいよいよ消失した北半球を救う為に動き出すのであった

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