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ゾンビーナ!  作者: とれさん
348/378

348 呆気ない最後 part2


ピーピーピーピーッ‼


スラストア城上空迄あと30分程となった所で急に飛行船のセンサーが何かを感知したらしくけたたましい警告音を発し出した


「何事だっ‼」


「わ、分かりません‼」


航空兵器など存在しない今の世界でよもや対空センサーが起動する事なぞ想定していなかった部下達は動揺を隠せないまま対処に追われている


「ええいっ‼何事かっ‼」


奥にある執務室に退いていたアハトが警告音に気付いて艦橋に姿を現した


「はっ‼…分かりません」


暗殺者集団の首領であり現在この飛行船の艦長を任されているガジラットが恐る恐るアハトに進言する


「不明とは何だっ‼全員全方向の監視作業に移れ‼」


「「「「はっ‼」」」」


実はアハト以下アバドン商会の中心メンバーはドラールの技術の全てを把握している訳ではない


現在引き連れている戦車軍にしてもこの飛行船にしても大まかな操作方法を知っているだけで

細かい操作方法等は知っていないのだ


というより商会を営んでいた時、偶然手にいれたドラール王国の歴史書や何が書いてあるか分からない資料(後に兵器の説明書と判明)等により辛うじて動かせる程度だったのだ


時間を掛けて全て把握してから復讐を果たせばそれこそ無敵の軍隊となったのであろうが


アイン以下復讐に燃える部下達は逸る気持ちを抑える事が出来ず最低限の操作を習得しただけで出撃して来ていてのであった


その為飛行船のセンサーやレーダー類の見方すら曖昧で周囲を監視するのに双眼鏡を覗いている始末だった


「わ、若っ‼左前方に人がっ⁉」


「何っ⁉そんなバ…っ⁉」


部下が指差す方向に自らの双眼鏡を向けたアインは信じられない光景を目にする事になる


雲を眼下に従える様な高度上空に浮かんでいたのは露出度の高いビキニアーマーを身に纏ったうら若き女性だったのだ


「どっ、どう致しますか⁉」


「ば、馬鹿者‼叩き落とせっ‼」


「はっ‼」


信じたくない現実に虚をつかれたアハトは直ちに異変の排除を命令した


…ゴウンゴウン…ガシャンッ‼


飛行船の艦橋下部にある船底が口を開いた様に動作するとそこからガラス張りの半円状の物体がせり出して来た


そこには2門の機銃の様なモノが設置されており中の乗組員が操作した途端、銃身が排除を指示された女性に向けられた


「捕捉次第撃ち落とせ‼」


「了解…えっ⁉」


照準を目の前に浮かぶ女性に合わせ機銃のトリガーを引こうとした部下は自分の目を疑った


飛んでいるだけで驚異的なのに空中で滞空していたその女性は瞬時に消え失せてしまったのだ


…ドゴンッ‼…ビー‼ビー‼ビー‼


船底後部に重い金属音が響き機体が揺れたと同時に飛行船の姿勢が前のめりに傾いてしまう


「なっ⁉何事だっ‼」


「分かりませんっ‼仰角制御不能っ‼」


…ゴウンゴウンゴウン…


操舵手達が必死に姿勢を立て直そうと奮闘している最中、伝声管から悲鳴に近い声が漏れ聞こえて来た


「こっ‼こちら機関部っ‼外部からの攻撃により機関の一部が大破‼現在消化中ーっ‼」


「…な、何だと?」


ドラゴンですら届かない上空で何者かに攻撃され被弾した機関部が大破するという信じがたい事実にアハトを始め艦橋で指揮を取っていた中枢部員達の思考が停止してしまっていた


蜂の巣をつついた様に慌ただしくなった艦橋は今アハトを除いて死に物狂いで何とか制御しようと駆け回っている


アハト自身はそんな部下達の奮闘を余所に呆然と事実を受け止められないでいた


「…ど、どこで狂った?」


ポソリ…と呟いた声にもならない声は本来なら誰も聞いていられる状況になく当然返事など返ってくる筈もなかった


なのにアハトの背後から聞こえて来たのは鈴の音の様に清々しい女性の声だった


「残念だったわね」


「っ!!なっ!?」


アハトは聞こえる筈のない女性の声に慌てて振り返ろうとしたがその声の主を視界に捉える前に意識を刈り取られていた


「わ、若ぁっ⁉」


ただならぬ気配に一瞬アハトの様子を窺おうとしたガジラットが見たのは


先程迄飛行船の前方に滞空していたビキニアーマーの女性だった


当て身を食らって椅子にだらん、と崩れ落ちたアハトを見て飛行船の姿勢制御どころではないと察したガジラットは腰に下げていた太刀の柄に手を当てようとしたが…


その時既に目の前から消えていた日向子が背後に回って首筋に痛烈な手刀を当てていた


「ガッッ⁉」


ガジラットは脛椎に激しい衝撃を受けその場に崩れ落ちた


その様に気付けない程制御に奔走していた乗組員達は日向子の放ったバンパイアアイによる催眠と突入時に微量に撒いてあったナノ細胞による麻酔攻撃により一瞬で制圧されてしまったのであった


…ゴウン…ゴウン…ゴウンゴウン…


「始祖様‼北西より飛行船が接近しております‼」


見張りに立たせていたバンパイアが飛行船の接近に気付いて報告にやって来たのは日向子にアハトの処理を任せて数時間後の事だった


〈む?やけに早かったな…〉


始祖には既に飛行船が日向子によって拿捕され、単に戻って来ている事が分かっていた


だがまさかこんな短期決戦で事態を終息させて戻って来るとは流石の始祖にも予想外だったのであった

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