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ゾンビーナ!  作者: とれさん
342/378

342 獲ったどぉ~っ⁉


恐らく二千を越える古代兵器軍に対し日向子達はたった2人

通常なら戦闘にもならない圧倒的数量の脅威に日向子も始祖も何の気概も感じていなかった


「一応一種類につき二体程生け捕りで後は破壊しちゃうって事で良いですか?」


〈うむ、それで十分であろう。それと恐らくこの一軍を指揮しておる個体がいる筈だ、それはなるべく無傷で確保して欲しい〉


「了解でーす‼」


もし対峙する古代兵器軍に感情があったなら圧倒的物量差の前で呑気に生け捕りの段取りを話す2人を見れば憤るか嘲笑したであろう


2人の戦闘力がいかほどかは未だ判定不能だがこれだけの数と武力の前にたった2人

瞬時に塵芥にする程の火力を有しているのだ


だが古代兵器軍には一切の感情はない

立ち塞がる者がいれば全力で排除し、目的を遂行する為に突き進む事しか指令されていないのだ


…ボシュッ、ボシュッ‼


井戸端会議をしているが如くに突っ立って話し込む日向子達に先ずは小手調べ、とばかりにドール隊から何かが発射される


…ゥゥゥ~…ドガッ‼ドガンッ‼


ドール隊から発射されたのはグレネードランチャーの様な兵器だったらしい


数百の小爆発と共に日向子達が立っていた地点が土埃を舞い上げる


ズイーム…ピポポ、ピポ?


初撃にしては火力が強すぎた?

そう言いたげな機械音が兵器軍から鳴り響くが爆心地には肉片1つ落ちていない


すかさず生体感知をするが前方60度の範囲に反応なし


これは先程の2人は木っ端微塵に吹き飛んでしまった


そう指令機が判断して行軍を再開しようとした刹那、軍隊の中心が「爆ぜた」

爆発したのではなく「爆ぜた」のだ


ビポポッ‼ビーッ⁉


ドガッ‼ザシュッ‼ギキンッ‼


突如中心部が何かに弾き飛ばされ次々と空白が広がって行く


その中心には先程殲滅したと思っていた雌型人種が竜巻の様に猛威を奮っていたのだ


感情を伴わない兵器軍には恐怖心による恐慌は発生しないが指令系統の停滞により行動不能に陥る


まさか突然一軍の中心点から戦闘が始まるなどプログラミングされていなかったのだ


[モウ一体、雄型人種ハドウシタ]


指令機が急ぎセンサーでもう1人(始祖)の存在を策敵するとまさかの場所に予想外の行動をしている雄型人種(始祖)を発見する


破壊の権化とも言える古代兵器軍の真っ只中で縦横無尽に暴れまくる雌型人種と対照的に

兵器軍の横で雄型人種はいそいそと拿捕した兵器をパッケージしていたのだ


[!?]


彼らの行動パターンが全く理解出来ない指令機は思考回路がオーバーフローしてしまい最適解が導き出せずにいた


その間も日向子は中心地で猛然と兵器軍を狩り、新種を見かけると時空間能力で固定して始祖の方に放り投げている


放り投げられた兵器達は身動き1つ取れないまま始祖の手により無力化され持ち運びしやすい様にまとめられていく


…ピポポ?

[理解不能、防衛?攻撃?]


日向子達が大軍を目の前につまらなそうに余裕を見せていたのはこれが原因であった


もしこの古代兵器軍が単体での思考・行動が可能で独立したモノであったのならもう少し態度は違っていたであろう


だが日向子達がバンパイアアイで策敵した結果、兵器軍は個別の意思を持っていなかったのだ


普通の戦争であればそれは脅威

思考を持たず恐怖も慈悲もなくただ指令に従い敵を蹂躙する殺人兵器

だがこの戦いは戦争ではなく数は多いが対個人の「戦闘」なのだ


ある程度の距離を保っての戦いであれば火力に押され例え日向子達であろうが苦戦を強いられたであろうが

全く想定されていないであろう「軍の中から」侵食される様に戦われてしまったのでは大砲等の兵器は使えず戦力はがた落ちしてしまっていたのだ


日向子が暴れ始祖が整理しているのも小爆発の直前に「じゃんけん」をして役割を決めたに過ぎなかった


まぁ逆だと大雑把過ぎる日向子のやり方に始祖がツッコむという余計な作業が増えたのであろうがただそれだけの事である


誘爆や同士討ちを回避するプログラムのせいで兵器軍達はほぼ無抵抗のまま日向子に蹂躙されていく


サンプル二体はポイッ、と放り出され残りは手甲剣による斬撃、生身の生物から叩き込まれたとは思えない威力の打撃に次々と破壊されていく


その竜巻の様な戦闘の中心地で日向子は満面の笑顔で舞っていた


元々考えて行動するのが苦手な日向子はここ最近の頭脳戦状態でストレスが臨界点にまで達していたのだ


何も考えずにただ拳を振るう

暴君の様な戦闘パターンの方が日向子には合っていたのだ


「始祖さーん、そろそろ指令機とかに辿り着きそうだけどどうしようか?」


〈む?先程取り決めた様になるべく無傷でだぞ?破壊するのは許さん〉


「うーん、なるべくそうするね」


完全に機能停止に追い込まれた塔型装甲兵器は目の前で暴れまくる雌型人種に対して何の抵抗も出来ぬまま謎の攻撃(時空間能力)により無力化されて兵器軍は完全に沈黙させられてしまったのであった

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