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ゾンビーナ!  作者: とれさん
334/378

334 封印か解放か


日向子達は既に滅びてしまっていたドラール王国に潜入し、警備ゴーレムを掻い潜って破壊兵器の稼働を停止した


問題はドラールの高度な技術をどう扱うか、に移行していたのだ


「…キメちゃん、これって私達だけで決めて良いモノなのかな?

出来れば誰かの意見を聞いてから処分するか何かした方が良いと思うんだけど…」


《それもそうだな。だが誰に相談すれば良いんだ?此処の技術は1つでも漏れればきっと争いの種になるぞ…》


2人は一旦休憩を挟みつつ誰に相談したら良いかを議論した


「やっぱり北半球でも南半球でも人に教えるのはまずいわね。こんなオーバーテクノロジーを知ったら争奪戦になるもの」


《やはりシルグ様達やラクル様、始祖様達なら間違いはないんじゃないか?》


「そうね…ドラールの事を知ってたみたいだし先ずは始祖さん達に最初に相談してみるのが一番かもね」


日向子達は一応の目処をつけるとキメに留守を任せてバンパイア領に転移する事にした


…スッ…


〈!?…日向子か。どうしたのだ?〉


始祖は突然現れた日向子に驚きつつも平然を装って訊ねる


「今例の地震兵器の事で原因には辿り着いたんですけどちょっと問題が出て来ちゃって…聞いて貰えますか?」


始祖とラクルの前でモジモジしだす日向子に始祖は一抹の不安を覚える


〈む…い、一応話を聞くだけは聞こうか…〉


〈し、始祖様…〉


ここ最近のラクルはすっかり父でもありバンパイアの祖でもある始祖の執事の様になっており目の前の日向子に怯える気配を察して言葉が出ない様だ


「大した事じゃないんですけど…」


日向子の説明を聞いてある意味ホッとする始祖とラクル


〈成る程、確かにその様な状況であれば余の見識が役立つ事もあろう。では早速識者を集めて向かう事にしよう〉


「ありがとうございます!じゃあ早速…」


〈待て。流石に余1人では分からぬ事も多かろう、識者を呼び寄せるから少し待つのだ‼〉


「…分かりました。なるべく早くお願いしますね?」


という訳でバンパイア族の識者を呼び寄せた始祖は日向子の転移能力によりドラール王国へと移動した


〈こ、これは⁉〉

〈…何という高度な技術なのだ〉


連れて来られた識者達はドラールに残る進んだテクノロジーを目の当たりにして一様に驚愕している


〈おぉ…これは懐かしいな。確かにこのゴーレムはかつての文明に於いて相当な戦力となった者達だ〉


識者達とは違い始祖は見識があった様で昔を懐かしむ様に眺めている


「始祖さん、これらをどうしたら良いと思いますか?封印(廃棄)するなら地中深く沈めるかマントルに放り込んで消滅させられますけど」


日向子の問いに始祖は顎に手を当てて考え込む


〈…うーむ…確かにこの世にこれだけの技術を解放すれば混乱は起きるであろうな…

しかし封印するにもこれだけの技術、惜しい〉


暫く考え込んだ始祖は折衷案を考えつく


〈ではこれらの一部は後世への道標として余らバンパイア族が責任を持って管理しよう。

勿論世界がこれらを受け入れられる程の発展を見せるなら公開する

例え進んだ技術でもしまい込んでいるだけでは何の役にも立たぬからな〉


「じゃあ…それでお願い出来ますか?」


〈無論だ。不老不死であり誇り高き我がバンパイア族、その祖として日向子に誓おう〉


「…ふぅ、良かったぁ~‼私とキメちゃんだけじゃ抱えきれずに捨てるしか道がなかったんですよ」


技術や権力の独占はいつの世でも争いを巻き起こす


それを始祖に押し付ける形となってしまったが始祖であれば適切に維持・管理をしてくれよう


ざっと見た限りではあるが兵器系は危険性が高いモノばかりだが他にも工業機械、生活道具等現在の開発思想とは全く別角度からのアプローチをしている製品も数多く見受けられたのだ


特に動力として結晶内に魔物を核として運用している技術は解析出来れば様々な分野に転用可能でありこれだけでも技術革命が巻き起こるあろう


早速研究を始めたバンパイア識者達と始祖に取捨選択を任せ日向子とキメはその移送を約束する


〈日向子様、ドラール王国の技術を全て解き明かすには数年はかかりましょう

解析が終わったモノに関しては安全性の高いモノは世の中に公開し、危険性の高いモノに関しては一時封印を致します

その際バンパイア領内にある施設への移送を宜しくお願い致します〉


識者の中でも最長老である元元老院配下、ピエールが日向子達への協力を依頼する


「勿論ですよ、始祖さん達に判断を丸投げしちゃった手間その位は喜んでさせて貰いますよ」


こうして日向子達は一応の決着を以てスラストアをはじめとする南半球の各王国へ結果報告に旅立った


現時点では全てを公表する訳にもいかないので取り敢えず世界崩壊の危機は去った事とそれの元凶を排除したという報告のみである


秘匿せざるを得ない部分はあったがこれにてこの一件は決着する事になったのであった

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