表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビーナ!  作者: とれさん
326/378

326 ノース山脈


凍てつく北の大陸、永久凍土と厚い氷に覆われたこの大地はハシル族長老の話では大きく2つに分かれていた


一つはこの大陸の大部分を占める平坦な氷の大地

もう1つはドラール王国のある高地になるのだがその間には正に直下立つ壁の様に山々が人の往来を拒む様に連なっている


ハシル一族を含めた平原の民は余程の事がない限り山脈の麓にすら近付かないそうだ


その理由は至極単純、アイスドラゴンという固有種や狂暴な魔物が山脈一帯に巣くっているからなのだそうだ


これらの魔物は時折平原に飛来してはシーワルス等の大型海魔獣を捕獲しに降りてくるそうで

そういう時は猟を諦め避難するそうだ


もし謎の物体がドラールからやって来ているモノだとしたらそんな狂暴な魔物の巣を越えてやって来ている事になり

それだけ危険なモノ(?)だと予測される


少なくともドラゴンの攻撃をモノともしない存在ではあるのだろう


現在日向子達は何もない氷原を黙々と進んでいる


途中何か魔物の気配を感じるのだが日向子が開発したカイトソリの進行速度が予想以上に速く感知された所で大抵の魔物は追い付けない様だった


多分時速80キロは出ているのだろう、これだけの速度で未舗装路(氷原)を走れるのもサスペンション装備だからなのだろう


《主、この鉄の板は前世の技術なのか?》


「うん。そうだけどコレも時代遅れの技術ね、乗り心地重視なら更に良いモノがあるわ。

この機構は重量物を運搬したりする車両…荷車になら普及していたわね」


《…やはり主の前世は凄まじい技術力を保有していたのだな》


「まぁねぇ…この世界で魔術や他で補っている技術なんかを科学と機械工学とかで支えてたんだから…まぁ便利と言えば便利だったかな?」


魔物も近寄れず暇だった日向子はキメに分かりそうな範囲で前世の技術を紹介した


動く階段(エスカレーター)・大量の荷物を一度に運べる荷車(トラック)・空を飛ぶ船(飛行機)・常に部屋を明るく照らす道具(蛍光灯)…


キメにとってはとんでも空想アイテムなのだが日向子が今の世界に照らし合わせて説明したので何とかイメージ出来ていた


《やはり何度聞いても信じられないな》


「そうね、でもこの世界での当たり前も前世からしたら信じられない事ばかりよ?

竜がいたり魔物がいたり…キメちゃんなんか最高の実験材料になっちゃいそうだしね」


《ん?…そう言えば主は以前俺の細胞がなんちゃらと言っていたがその事か?》


キメが日向子の言葉に釣られて疑問に思っていた事を思い出した


「うん。前世ではキマイラ…キメラ細胞の研究も盛んに行われていたの、

こっちだと魔法や回復薬である程度の再生や部分欠損も出来るけど向こうじゃ出来なかったからね」


《それと俺の細胞が何か関係があるのか?》


「うーん…それほど詳しくはないけど人には血液型ってのがあって同じ部位だからと言って安易に他人から移植しちゃうと拒絶反応が出ちゃうのよ

その拒絶反応とかを万能細胞であるキメラ細胞で無くしたりして移植を可能にしてた…って感じだったかしら?」


日向子もその辺は人に説明出来る程詳しくはなかった


《拒絶…反応か。それは融合する時の抵抗と同じ様なモノか?》


キメも他の生物を取り込む時、細胞等から大なり小なりの抵抗を受ける

能力や記憶なども取り込む為に単に細胞の拒絶反応だけではないのだろうが完全に取り込むにはかなりの精神力が必要となる


「まぁ近いかもね?ある意味生物の本能が抵抗してるんじゃないかな、種の保存に逆らう行為だろうしね」


《種?…保存?》


「生命体が自分の種族を残そうとする本能よ、私やキメちゃんだって勿論ある筈よ?」


《成る程、主の前世ではその本能に逆らう為にキマイラの細胞を使っていたんだな?》


「まぁ…そんな感じだったと思う」


これ以上詳しく聞かれても日向子には答えられない、何せ幾らオペ看(医療従事者)だったとしても博識ではないのだ


「あー…何か前世の話してたらスイーツが食べたくなっちゃったなぁ…ケーキ…ブリュレ…チョコ…ミルクティ…」


日向子は思わずヨダレを垂らす


《…食べ物なのか?スイーツと言うのは》


「うん、甘い食べ物。そのまんまね…こっちだと甘いお菓子とか少ないし…何とか再現出来たら良いなぁ~」


この世界でも甘味がない訳ではない。ないのだが…前世のバリエーションに富んだあの甘味を求めても無理だ


食べる=生きる、原則以上のモノは全て高級品だし前世レベルには到底届かない


日向子が前世の甘味に思いを馳せている間にどうやら山脈の麓近く迄到達した様だ


《…主、敵だ》


正気に戻った日向子が空にめを向けると蛇に羽が生えた様な魔物が此方に向かって攻撃体制を固めつつあった


《多分フロストヒュドラだな》


小型魔物、頭部は2つ、恐らく氷属性のブレス等を持っていると思われるフロストヒュドラは群れで日向子達を襲って来た


「…キメちゃん、どうする?」


《そうだな、一応補食しておこう》


「了~解、えいっ‼」


…ギンッッ‼


50匹程いたフロストヒュドラは日向子のバンパイアアイによって金縛りにされ地に落ちていったのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ