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ゾンビーナ!  作者: とれさん
322/378

322 ビターズ商会との接触

※お詫び※

体調不良によりストックが尽きてしまいそうです

誠に申し訳ありませんがほぼ毎日更新から隔日更新位にペースを落とさせて頂きます

復帰次第ペースを戻す予定ですのでご了承頂ければ幸いです


日向子は今、宿屋の一階にある酒場でババンという男に絡まれていた


「お構い無く、私、連れがいますので」


日向子はキメを(待ち人)に見立てて適当にあしらおうとしていたのだが

男はどうやらプライドを傷つけられたらしく急に怒り始めた


「おうっ‼下手に出てりゃいい気になりやがって‼このババン様が誘ってやってるんだ、大人しくこっちに来て酌でもしろや‼」


…何と言う理不尽且つ身勝手発言であろうか


ババンだか何だか知らないが勝手に下手に出て勝手に媚び、それが通用しないとなると勝手にぶちギレたのだ


日向子は静かに酒を嗜んでいただけなのに本当に最低な男だ


(どう〆てやろうかしら?)


日向子は折檻方法を思案し始め実行に移そうとババンに顔を向けると


「ババンッ‼いい加減にしろ!漁師の名折れだぞ!」


どこからか怒号が響きババンがその声の主を恐れてたじろいでいる


…カツ、コトン…カツ、コトン…


不思議な足音と共に現れたのは体中傷痕だらけの大男だった


「…お嬢さん、この席良いかな?」


大男は先程迄ババンが座っていた空席に座る同意を求めて来た


「えぇ、どうぞ。」


日向子は何の感慨もなく同席を許した


「お嬢さん、町の者が不快な思いさせて悪かったな

俺はビターズ商会会頭のビターズってモンだ」


(…あれ?結果的にラッキーっぽいかも?)


日向子は老人から聞いた話を思い出した


(「北との流通はビターズ商会しか認められておらぬからのぅ」)


労せず接触を図れた上に上手く行けば交渉も有利に進められるチャンスでもある


日向子は心の中で絡んで来た下衆野郎、ババンにそっと感謝したのであった


。。。


「何?北の大陸に行きたいだって?」


日向子から話を聞いたビターズはビックリして聞き返す


「えぇ、どうしても北の大陸に渡って内情を調査しないとならないんです」


日向子はビターズと会話を交わしている間にビターズは信頼に足る人物なのを確信し、ある程度本音で話をしていた


ビターズもビターズで最近起こった地震騒動を未然に防いだ勇者の中に「日向子」という女性がいたのを小耳に挟んでおり

同一人物と分かってからはきちんとそれなりの応対をしていたのであった


「それにしても…幾ら救国の働きをしたアンタでも北の厳しい環境には敵わねぇんじゃないのか?」


日向子が噂通りの人物なら北の大陸に連れていくのはやぶさかではないが寒さはまた別問題である


「…ビターズさんを信じて言うけど…まだ災害の芽は摘みきれていないの。北の大陸に行くのはそういう理由でもあるわ」


小声で言う日向子の目は真剣そのもので海千山千のビターズは経験からソコに嘘が混じっていない事を見抜いていた


「…北の大陸に…となるとドラールへ行くんですかい?」


「えぇ。先ずは彼の国を調べてからじゃないと始まらないわ。此方の大陸が血族による支配下にある以上はわざわざ災害を装う必要はないもの」


ビターズと日向子、2人は傍目にはただ酒を酌み交わし何の気もない話をしている雰囲気であったがその内容は大陸の存亡を賭けた話し合いなのだ


先程日向子に粉をかけたババン等は小物過ぎて2人の気迫に目をパチクリさせる事しか出来なかった


「…良し。日向子の姐さん、このビターズ一身を賭して協力しましょう」


流石北の漁師を束ねる男、腹を割った相手の値踏みが済めば便りになる男だった


「おい!今日は俺の奢りだ!皆派手に飲んで騒ごうじゃないか」


ビターズは酒場にいた荒くれ者達に酒を振る舞い鋭気を養う事にした


「「「流石お頭っ‼太っ腹だぜ‼」」」


何とこの酒場にいた荒くれ者達は殆んどビターズの手下だったのだ


「道理で…ビターズさんか来ただけで大人しくなったのはそのせいなのね」


「ははっ、まぁそれもありますがね…お頭は俺達の命の恩人なんでさぁ」


酒盛りが始まってからは小間使いの様に酌をして回っているババンが日向子の呟きに反応する


「命の恩人って?」


「お頭は漁の仕事にあぶれた俺達に北との交易を教えてくれただけじゃなく文字通り体を張って俺達を海の魔物から救ってくれたんでさ」


ババンは仲間の輪の中心で酒を注がれまくっているビターズを眩しそうに見つめていた


「あ…じゃあビターズさんのあの足って…」


「へい。その時お頭は己の足と引き換えにこんなクズ連中を…」


ババンの目に涙が滲む程信頼を寄せられているビターズ

彼の右足は膝から下が木の棒になっていた


《主、待たせた》


「おかえ…ちょっとキメちゃん?」


キメの言葉に日向子が振り向くとキメの両肩には何故か山の珍味が抱えられていた


《…ワイト様がどうしても主にと…それとエレモス国王から酒を…》


酒場の入り口には酒樽が2つ並んで置いてあった


「…まぁ仕方ないわね、じゃあビターズさん‼これ、私からの差し入れって事で‼」


日向子はキメが持ち込んだ山の珍味(ワイバーンの干し肉)や酒を気前良くビターズ達に振る舞ったのだった

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