32 第3回戦の続き
「続いては…第3回戦第3試合、戦鎚の覇者ゴメス、弓の名手アルン!」
「いよいよ真打ちの出番だぜ‼」
「親衛隊長、今年も頼むぜー‼」
ゴメスは外面が良いのか観客には概ね好評らしい
「ふはは!勿論この俺が今年も覇者になるぞ!」
「では始め!」
ータタタッ‼シュッ‼シュッ‼ー
キィンキィン‼
アルンの放つ矢は重装甲のゴメスの鎧に全て弾かれる
「…くっ⁉」
「ふははっ‼そんなへなちょこの矢が俺の鎧に通じるかっ‼」
「ま、参っ…」
ーブンッ‼ゴインッ‼ー
追い詰められたアルンが降参を告げようとした時、構わず降り下ろされた戦鎚が容赦なくアルンの頭をカチ割った
「きゃあ‼」
「酷ぇ…」
肩口までめり込んだ戦鎚が抜かれ血飛沫が舞うとそこにあった筈のアルンの頭は体にめり込んで原型を無くしていた
「しょ、勝者ゴメス!」
。。。
流血を好む観客もあまりの凄惨さに言葉を失う
「ふはは‼次の相手もこうなるのを覚悟して向かってくるが良い‼」
ゴメスは笑いながら静まり返る会場を後にした
「アルンって人降参しかけてたよな?」
「ゴメスは聞いてから戦鎚を降り下ろした様に見えるが…」
物議を醸した第3試合は兎も角ゴメスの勝利で幕を閉じた
第4回戦は会場の清掃の為に午後から行われる事になった
「えっ⁉アルンさんって人、死んじゃったの⁉」
日向子は驚いた顔でゴメリに訊ねる
「あぁ、降参した直後に降り下ろされた戦鎚でな」
「…酷い…やっぱりゴメスって人は徹底的に痛い目を見せないと懲りなさそうね」
「あぁ、そもそもこの組み合わせは出来レースだろうな」
「えっ?そこからなの?」
「あぁ、そもそもゴメスが裏から手を回して決勝戦迄は相手が不利な様に組み合わされるんじゃないのか、多分な」
「そんな…主催者側もグルだなんて…」
「そもそもこの大会の主催者は誰だと思う?」
「さあ?」
「…ゴメスの父親にして先王からの宰相、ゴンザだよ」
「…許せない‼ならお父さんもターゲットね‼」
「おいおい、いきなり二人は流石に無理だろ?」
「いいえ、やってやるわ!徹底的にね!」
ゴメリは日向子の悪い顔に肝を冷やした
ー午後ー
「では第3回戦第4試合、投剣のミジン、鉄砲使いのガシマ‼」
「始めっ!」
合図を受けてお互いがサッと間合いを取る
お互い遠距離タイプが故に離れての攻防だ
ーシュッ‼シュッ‼バキューン‼ー
お互いが相手の攻撃を避けつつ発砲や投擲を繰り出す
ーバァン‼バァン‼シュッ‼グサッ‼ー
「こ、降参だ‼」
「勝者ミジン!」
他に比べると地味な両者の攻防は連射が利かなかったガシマの降参により幕を閉じた
ーブーブー‼ー
見た目地味過ぎる試合に観客はブーイングの嵐を見舞った
「第3回戦第5試合、日向子、曲剣のジーザ!」
うぉぉぉぉぉぉぉっ!
ブーイングをしていた観客は次の対戦カードを聞いて叫び声をあげた
「姉ちゃん、負けんなよー‼」
「ヒュー‼色っぺーぞ‼」
日向子のビキニアーマーは男達の股間と脳髄を直撃していた
「くはは‼戦いの場にそんな不埒な格好をして出てくるとは‼1枚1枚斬り剥がしてやろう‼」
ジーザも剥がすと吐いている段階で既に色欲に囚われているのに本人が気付いていない
「やれるモンならやって見て」
「始めっ!」
「シシッ‼」
ジーザはうねうねと曲がった奇妙な剣を両手で繰り出してくる
「…⁉」
だがその先には既に日向子はいなかった
「はい!っと」ードスッ‼ープルルン‼
日向子は目にも留まらぬ速さでジーザの背後に回ると首筋に手刀を落とした
「ぐえっ⁉」ーバタンー
「勝者日向子!」
「うぉぉ‼乳が揺れまくりだぜ‼」
「揉ませてくれぇ‼」
「惚れたっ⁉」
男達は勝敗の行方よりも揺れる乳房に夢中だった
その視線の先には「神獣運輸」のロゴが焼き付けられている
(…商売繁盛商売繁盛…)
日向子は恥ずかしさを物欲で押さえ込んで観客に手を振りつつ会場を降りた
「本日最後の試合、第3回戦第6試合、死の使いテンピ、音速の貴公子ビューア!」
ワァァァァッ‼
「なぁ、死の使いって何だ?」
「さぁな、でも強そうだぞ」
「相手も貴公子って…なぁ?」
「始めっ!」
ーブァァァッ‼…シュンッ‼ー
「おぉ~⁉」
観客が対戦の異様さに驚きの唸り声をあげる
テンピは手に持つ小瓶から毒霧を発生させる
それに対してビューアは毒霧の周りをもの凄い速さでグルグルと駆け回っている
「…これ、どうやって勝敗がつくんだ?」
観客が不思議がっていると勝負は突然変化をした
グルグル回っていたビューアの起こすつむじ風がテンピの放つ毒霧を巻き上げ一掃したのだ
「ていっ!」
「ギャア‼」
「勝者ビューア!」
「あはは!楽勝ーっ!」
ビューアの明るい勝鬨に拍子抜けした観客は惜しみ無い笑いを投げ掛けたのだった




