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ゾンビーナ!  作者: とれさん
318/378

318 危険な賭け part2


《…不味い!》


キメの叫びに呼応する様にトカゲ様魔物が結晶内で暴れ出した


《このトカゲ、行動原理が原始的過ぎて最初に入力された以外の命令を受け付けないらしい‼》


…ビュウーン…ビュウーン…

ガシャ、ガシャ、ガシャン


トカゲ様魔物の動きに反応したのか結晶部を覆う外殻部分が変形を始めた


カブトガニの様に結晶部をガードしていた外殻が次々に展開し、刺々しい形状に変形したのだ


「ちょっ⁉ヤバいわよね?コレ」


《主、すまん‼このまま俺が海底に抱いて沈むから主と始祖殿、オーシュ殿は全速力で離れてくれ‼》


中心部の赤い結晶は先程から明滅を繰り返しいかにも自爆しますよー、と言った感じで明滅が早くなっている


「キメちゃんだけ置いて行けない‼」


《主!このままでは全滅だ!早く逃げてくれっ!》


キメは異物を抱えてオーシュの作った空気層から飛び出る体勢になっている


「ちょっと待って‼キメちゃん、侵食は効いたから魔物が原始的だって分かったのよね⁉」


《あ、あぁ。そうだ‼》


「なら原始的でも精神支配は出来る筈よっ‼」


…ギンッッ!


日向子は結晶内の魔物にバンパイアアイを使った


…ゴポポッ⁉…ビタッ‼


トカゲ様魔物は日向子のバンパイアアイによって硬直した様に動きを止めた


〈ふぅ、よもやこの様な下等魔物にバンパイアアイが効くとはな…〉


最悪次元を切り離して爆発ごと飛ばそうと力を溜めていた始祖もホッとした表情を浮かべる


(…あ。最悪その手もあったわ…)


日向子は始祖が行おうとしていた次元断絶がこの場合有効なのを今気付いた


「とっ、ともかく支配は出来たから…このまま武装(?)解除をする様に命令してみるね」


…ガシャシャ、ガシャン

…キュゥゥ~ン…


。。。


「…ホッ、成功したみたい…」


本当に一か八かの賭けではあったが生体魔導兵器の武装解除は成功した様であった


その後異物が完全停止したのを確認し、オーシュ達と共に本部に戻った日向子は結果と停止方法を皆に話し情報を共有したのである


翌日から魔導師達と竜族、ファングファミリーは手分けして震源地各所に飛んで異物の探知と回収作業に取り掛かった


ラルドが大地の加護で地中から異物を回収し、空間移動魔法が使える魔導師達に異物を本部に運搬させ


魔導師達が土属性魔法で異物を掘り出してはファング達が本部に輸送する


本部ではバンパイアアイが使える始祖とラクル、日向子が異物の解除に取り組み

待機していた魔導師長ダンドラを筆頭に技術班が異物の構造分析に従事した


異物の回収撤去には1週間を要したがこの作業により震源地となるエリアは皆無となり一先ずは安全と言って良い状態にまで落ち着いたのである


ー作戦本部ー


「えー…皆さんのお陰で取り敢えずの危機は脱したと言って差し支えないと思います。

ただあの兵器が何故今になって行動を起こしたのか?そもそもあれは大昔の遺物なのか現代の誰かが放ったのか、詳細が分からない以上楽観視は出来ません

ですが…今日は取り敢えずの危機は回避した、と言う事でそれを祝いましょう‼」


ここ1ヶ月、常に緊張状態にあった皆を労い喜びを分かち合うのは当然の報酬だと日向子は宣言したのだ


これにより南北合流以来初めての祝勝会(というどんちゃん騒ぎ)が開催される事となる


日向子はゴスピア、デスピアに転移して暫定的ではあるが事態の解決を報告し、王達は世界に向かって安静宣言を共同で行った


当然慰労をするという名目で大量の酒と食料を供出して貰いいそいそと本部に運ぶのは忘れない


魔導師達は自国への詳細な報告書を作成するのに難儀をしていたがお構い無しに始まった宴会の騒ぎに巻き込まれ今はバンパイア族の研究者達と酒を酌み交わしながら意見交換を行っている


ファングは四竜達との再会を改めて祝い全員急ピッチで乾杯を繰り返し既に酔い潰れている


リリー達は日向子が供出させた食材を大量に調理しててんてこ舞いになっていた


そんな中、普段であれば一番はしゃいでいる筈の日向子が浮かない顔をしながら杯に口をつけていた


《…主、どうしたのだ?》


シルグ達にしこたま酒を飲まされて千鳥足になったキメは日向子の様子に気付いて近付いて来た


「ん、何でもないの。今日は沢山飲んで楽しんで‼」


日向子はキメをベロベロになったシルグ達の輪に送り出した


「…ふぅ…」


〈やはり気になっているのか?〉


次に日向子に訊ねたのはラクルだった

ラクルは日向子の気持ちが良く分かっていた


取り敢えずの危機は去ったとは言えあの兵器を作動させた大元は未だに不明で更に言うならあの兵器が量産されているのなら数も規模も全くの未知数なのだ


バンパイアアイによる解除が現状必須であるならば日向子1人では荷が重く始祖とラクルに助力を頼んだとしても三人では心許ないのだ


「ラクルさん…心配してくれてありがと。」


日向子は早い段階でもう1つの大陸、ドラール王国への調査を考えていたのだった

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