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ゾンビーナ!  作者: とれさん
316/378

316 ロストテクノロジー


慌ただしく動き回る魔導師達の合間を縫ってダンドラと日向子は問題の「異物」が発見されたポイントに近付いていく


「ダンドラ様‼」「日向子様‼」


地面に手を翳している魔導師達が困惑した表情で二人を迎えたがそれ所ではない様子だ


「どうした⁉」


「「異物」が…移動を始めました‼」


魔導師の報告にダンドラが驚く


「馬鹿な⁉マグマの中を移動出来る物体なぞ…」


思考停止したダンドラを余所に日向子は足を持ち上げ地面を踏み蹴った


ドンッ‼


「「「!?」」」


。。。「本当だ、動いてる」


日向子は足で地中に向かい衝撃波を送り即席のエコーで「異物」の存在と移動を確認した


「…ちょっと深いわね…皆さん、離れていて下さい‼」


日向子は周囲にいた魔導師達に退避を求めると地面に両手をついた


…ゴゴ、ゴゴゴ…ゴゴゴゴゴゴッ‼


地中から地鳴りが聞こえ何かがせり上がって来る気配がする


「マグマも噴出するので備えて下さい!」


日向子の警告に魔導師達は各々障壁魔法でマグマの噴出に備える


…ゴゴゴゴゴゴッ‼ドシャッ‼


日向子が地面から手を離した瞬間、円形の筒が地面から隆起しマグマが噴出する


「うわっ‼」「ひぃっ⁉」


マグマの噴出は思った程ではなかったがその中に「異物」が混じっていた為に一同パニックに陥った


硬質な金属に覆われた水晶石の様な結晶体、その内部には赤い結晶とトカゲの様な魔物が埋め込まれていたのだ


地下数千キロから一気に地上に吸い上げられたその異物は本来なら急激な気圧変化により変形、若しくは破壊される筈なのだが全くダメージを負った様子は見受けられない


それどころかトカゲの魔物が動き出すと異物は再び地中に潜ろうと動き出したので

ダンドラは慌てて静止魔法を浴びせて異物の活動を一時的に止めたのである


「…日向子様…これは…」


「ダンドラさん達が驚いている所を見ると…この世界の認識されている技術より遥かに高度なモノなのね?」


「はい、我等の工学ではこの様なモノを作る技術など…」


「恐らくこれが地震を発生、若しくは誘発させている元凶っぽいわね…厳重に密封して本部に持ち帰りましょ」


「畏まりました」


ダンドラは監視人員を半分に割き半分は引き続き監視継続、半分に異物の可能な限りの密封魔法を唱えさせる


「この魔法って効果はどの位持続するの?」


「はぁ…本来であれば術者の手を離れても一両日程度は持ちますが…何しろ初めての対象物ですので…」


ダンドラも正確な拘束時間は分からない、と言った所なのだろう


「うーん、始祖さんかラクルさん呼んで来てくれますか?」


「わ、分かった」


ダンドラは慌てて空間移動を展開して本部へと飛んで行った


数分後再び展開された魔方陣からダンドラと始祖が戻って来る


〈日向子、余を呼んだそうだが何事だ?〉


「あ、始祖さん‼コレに時空固定掛けて貰えますか?私だと初めてやるから継続時間に確証が持てなくて…」


〈成る程、余であれば3日程は完全固定出来るがそれで良いか?〉


「十分です、お願いします‼」


始祖は日向子の頼みを聞いて早速異物の周囲ごと時空間固定を行い時を静止した


〈うむ。これで良いか?〉


「ありがとうございます。じゃ、本部に持ち帰りましょう」


日向子は始祖と異物、ダンドラ達魔導師数人をまとめて本部へと転移したのであった


「…相変わらず尋常ならざる魔力量ですな…」


ダンドラは日向子の転移魔法の範囲を驚愕の思いで見回している


「皆さんに集まって貰える様に言って貰えますか?コレの特定を急ぎます‼」


「はい‼」


一時間後、本部には主要なメンバーが集まり異物を眺めていた


「これは…兵器なのですか?」


『うーむ…動力として魔物が使われている様だが…初めて見るな』


〈この外殻の素材や造形は見た事がありません…凄まじい技術だ〉


バンパイア族、竜族、そして古文書を紐解く魔導師達でさえも異物の正体がまるで見当がつかない


「でも…コレが震源地の地下で活動していたって事は確実に地震の発生装置であるには間違いないんですよね…

コレを解明しないと多分他の震源地に残っている他の装置が作動して被害が出ちゃうと思うんですよ…」


日向子達は完全にお手上げ状態、残された道は一か八かで今目の前にある異物を分解(?)解剖(?)して内部構造と作動条件を探るしかなかったのである


〈…少し良いか?〉


重苦しい空気を打開したのは始祖だった


「始祖さん、何か分かったんですか?」


〈いや、構造的な話題でなくて申し訳ないのだが…以前話した文明国にその様な技術があったと聞いた事があったのを思い出してな…〉


「そうなると…これはその文明国が編み出した生体魔導兵器って事なのかな?

…何で今その失われた技術が此処に?」


理由が分からないまま日向子達は異物の解読に進まざるを得ないのは紛れもない事実だったのである

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