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ゾンビーナ!  作者: とれさん
305/378

305 今度こそ合格者発表~‼ part1


翌日スッキリしたシルグが執務室に顔を出した


『おは…む?主殿、キメよ…そちらの方が余程休息が必要ではないのか?』


執務室でぐったりする2人を見てシルグは呆れていた


「《ええ、色々ありまして》」


昨日2人はダメ判定した参加者への対応を決める為に監視を続け人の心の闇を嫌と言うほど見せつけられていたのだった


結局癖の強いダメ判定者達への対応は考えつかず今を迎えてしまったが後はシルグにおまかせ‼と言う丸投げを選んだ日向子は早速シルグに参加者情報を閲覧させた


『ふむ、7名は共に甲乙つけ難い高潔な人材、3名はやや能力は劣るが品行方正さは7名を上回りダメ判定者は能力は秀逸だが品行や思考に問題がある、と』


シルグはリストを一通り眺めて参加者を評価した


『主殿がどう思うか分からぬが我なりの意見を述べても良いか?』


「それは勿論‼シルちゃんのお眼鏡にかなわないなら今回は見送っても良いんだからね?」


日向子があちこちに行っている間、実質的にゴルド領内の実務はシルグが行っていた

舵を切っていたのは日向子だが船を動かしていたのは間違いなくシルグなのだ


『これからのゴルド領は種族を越えた交流が主軸となっていく筈だ。故に採用する人材も種族を越えた採用が求められるだろう』


え?そんなのは最初に言うモンじゃないの?と思った日向子だったが取り敢えず話は最後迄聞く事にした


「…じゃあ今回は見送るって事?」


『そうではない。今回の合格者の中でも異種族に対して柔軟な思考を持った者、これを採用条件にしようと思うのだ』


「あぁ~、成る程‼」


漸くシルグの言おうとした事が理解出来た


考えてみればキメもシルグも人型に変態しているとは言えキマイラと竜だ


人族以外に偏見がある様ではこのゴルド城では勤まらない


《それは良い案ですねっ‼》


キメもシルグの発言に大賛成の様子だ


「でもさ、その偏見判定はどうするの?」


日向子は当然の疑問を呈した


『それは主殿にもご協力願おう』


「?」


こうしてシルグ発案の最終試験が行われる事となった


ー翌日ー


《えー…本日は急遽実地試験を行う事となった。皆には主とシルグ様に同行して貰いたい》


宿屋の食堂で急遽召集された最終選考者達はいよいよこれが最後の試練なのかも?と気を引き締め直していた


「皆さん、移動は空間移動魔法を使います。気持ち悪くなったら遠慮なく言って下さいね?」


「魔法?」

「どういう事だ?」

「まさか…そんな…」


日向子の口から出た「魔法」というワードに一気にどよめきが起こる


(この程度で狼狽えている様じゃ皆失格になっちゃうわよ?)


日向子とシルグは選考者を二組に分けるとそれぞれ引き連れて移動を開始した


最初に訪れたのはラクルがいるバンパイア領

何せ威圧感抜群の始祖が日向子の願いを聞いて全開バリバリで待ち受けているのだ


…スッ…


「此処は…」

「まさか本当に使うとは…」

「…うわわっ⁉」


選考者の1人が只ならぬ気配にいち早く気付き恐れ戦く


〈…良く来たな、人間共〉


「「「「っ!!」」」」


濃密な殺意にも似た始祖の気配に選考者は蛇に睨まれたカエルの様に金縛りにかかる


「始祖さん‼ちょっと驚かせ過ぎっ‼」


そんな中、日向子は始祖にプンスカ怒っている


〈む?そうか…それは済まなかったな〉


(((えっ⁉普通に謝っちゃうの??)))


仲良さそうに語り合い冗談も交えて接している領主(日向子)に一同は何かの冗談かと思っている


「あ、紹介するね。この人はバンパイアの始祖さん、こっちが現バンパイアの王様ラクルさんね」


…バタバタッ…


先程からの濃密な気配に加え紹介された名前が名前だけに選考者の数名が失神した


(4名脱落か…)


日向子は倒れた選考者を介抱しつつチェックシートにそう記した


『始祖殿、何千年ぶりであろうか』


〈ん?おぉ、シルグ殿か?久しいな〉


そう言えばシルグは始祖の復活は知っていたが対面は初めてなのを思い出した日向子


「何千年ぶりって?」


始祖とシルグの会話に日向子が混じってワイワイやっているのを見て残りの選考者達は疑問を抱えた


(シルグ様は人間じゃないのか?)

(領主様も魔法を…)


ここに来て全員が大変な所に就職活動をしてしまった事に思い至ったのである


「あの…申し訳ありません」


『ん?確か…ピグモだったな、どうした』


「シルグ様はもしかしたら…あの…」


『…その答えはこの後訪問する地で分かろう』


「は、はい‼」


ピグモはゴクリ…と喉を鳴らした


始祖とラクルに挨拶を済ませ日向子達は再び空間移動をする


…スッ…


ゴアァァァッ‼ギャースッ‼


「ひぃっ⁉」「うわっ‼」


此処はドラコニア、ワイトが統べるドラゴン達の楽園だった


『シルグ様‼お待ち致しておりました‼』


甲冑を着こんだ衛兵がシルグを出迎えたのだが選考者が数名失神した


『この者達を何処かで休ませてやれ』


『はっ‼』


(これで8名脱落っと…)


やはり知識人にとって異種族との出会いはキャパオーバーになるらしく成績優秀者がどんどん脱落していく


『ワイトは?』


『は、謁見の間でお待ちかねです』


「えっと、これからドラコニアの王、ワイトさんに会いますのであんまり驚かない様にね?」


日向子は選考者達に前置きをした

何せワイトに会うよりももっとショッキングな事が待ち受けているからワイトに会った位で気絶しないで欲しいのだ


『日向子、「位」とは何だ』


恐らく心を読んだのであろう、ワイトが呆れた様に日向子にむくれていた


「あはは、ワイトさんお久しぶりー」


『おう、久しいな。ところでシルグ、いつまでその姿でいるつもりだ?』


『…そうだな』


シルグは人型から元の竜の姿に変態した


「ぎゃーっ‼」

「シ、シルグ様っ!?」


今まで一緒にいたシルグが突然竜になった衝撃は予想以上だったらしい


残った選考者の中で意識を手放さなかったのはピグモ1人だった


『ははっ‼これで決まりだな‼』


ワイトにも事務所選考の話はしてあるので残ったピグモに決まった事を確信していたのだ


「…ピグモ、おめでとう」


「え?あ、ありがとうございます‼」


こうして合格者が決定したのであった

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