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ゾンビーナ!  作者: とれさん
303/378

303 面接会当日 part3


1人1人会場を移動させるのには訳があった


この段階で間者や別の目的で紛れ込んでいる輩を排除する為だ


何も知らない参加者はオドオドと、何らかの意図を感じた参加者は注意深く兵の後に続く


…シュッッ‼「!?」


次の会場に向かう廊下で音もなく放たれる網に捕らわれ姿を消す者、気配を察知して初撃を躱す者もいたがキメの放ったナノ細胞で生み出された蚊に刺され昏倒し同じく何処かに連れ去られる


無事に第三関門の会場に辿り着いた者は43名中15名

思ったより間者が紛れ込んでいた

他国や他領、利権を狙う者がそれだけ多かった、という事だろう


捕縛された者達はキメの手によって「念入り」に取り調べを受ける予定だ


さて、会場に辿り着いた者達は急に人数が減った事に警戒感を露にしている


そろそろ日向子の出番だろう


…ガチャ、


教室の様な配置がされた部屋に日向子が入室すると合格者達は一様に頭を下げた


「皆さん、第二関門通過おめでとうございます。今此処にいる人数が先程の半分以外になった事を不審に思われているかと思います

此処にいない人間は全て他国や敵対勢力等の息が掛かった間者等でしたので捕縛させて貰いました」


日向子の事情説明で皆「成る程…」と胸を撫で下ろした様だ


「想定していた人数になりましたのでここからは関門ではなく私自身との面接で最終選考とさせて頂きます。

名前を呼ばれた人は兵士さんに従って移動して下さいね」


それだけ言うと日向子は退室して行った


「ではサザンス出身、ピグモ」


合格者の中にいたピグモは兵に付き添われ別室に向かった


「此処だ」


兵士はドアの前でピグモに指示する


…コンコン、失礼致します…


ピグモはドアを開けて入室すると面食らった


その部屋には二脚の椅子とテーブル、それしかない。


一脚には先程退室した領主、日向子が着席していた


「えーっと…ピグモさんですね?どうぞお掛けになって下さい」


ピグモは緊張しながら勧められた席に座る


目の前の領主はピグモにとって眩し過ぎた

黒髪に差し色の様に映えるオレンジの前髪、吸い込まれそうな瞳は左右で色が違う


実はピグモ、日向子の事を以前見かけた事があった

地元で有名な漁師、デンさんの所に時々来ている美しい女性、来た時は必ず武勇伝を残していく不思議な人


実際間近で見るのは初めてだが日向子の美しさに思わず顔を赤らめた


「ん?この部屋暑いかな?」


「あっ‼い、いえ…そうじゃなくて…」


「?」


「日向子様…いえ、領主様があまりに綺麗で…(///」


「あら?お上手ね、ゴマスリさんは事前に排除したから素直に褒め言葉として受け取っておくわ」


日向子も褒められて満更でもない様だ


「さて、私の面接はちょっと他とか違います。不安に思うのならこのまま退室も出来るけどどうする?」


(他と違う?…どう違うんだろ?)


ピグモは一瞬不安が過ったがこの部屋に入った時から覚悟は決まっていた


(この人の近くで働きたい…)


ピグモは日向子に一目惚れしていたのだ


「ん?答えがないけどイエスって事かな?」


「あっ⁉あ、はいっ‼是非お願いしますっ‼」


「オッケー♪じゃあ両手をテーブルの上に乗せてくれるかな?」


「?」


ピグモは首を傾げながら素直に応じる


「じゃあ…」


スッ…


「あっ⁉(////」


テーブルに置かれたピグモの手に日向子の手が重なっていた


「りょ、領主様?」


ピグモの胸は憧れの女性とのふれあいで早鐘の様に鳴り響いている


…シュルシュルッ‼ピトッ


「!?あひゃひゃっ!」


幸せの絶頂から一気に意識が飛んだせいで変な声をあげてしまうピグモ


「…ふーん…え?やだ⁉一目惚れされちゃった☆」


日向子は伸ばした触手でピグモの心の内を探っていく


ある意味最上級の蹂躙プレイだろう、文字通り丸裸にされていく


「…うん、この子はとても素直で良い子だわ。合格‼と言いたい所だけどまだ1人目だしね、仮合格にしておきましょう」


面接試験、1人目の合格者はピグモであった


こうして日向子流蹂躙プレイ…ではなく面接試験は次々と実行され合格発表は後日、と言う事で15名は城の近くにある宿屋での待機を命じられたのであった


「…なあ、面接って一体何をしたんだ?全然覚えてないんだけど…」


宿屋待機を命じられた参加者、サルバ国から来たチートスは首を捻りながら必死に最終面接の様子を思い出そうとしていた


だが幾ら考えてもあの部屋に入って領主を見た後の事が思い出せなかったのだ


「でも…何か幸せな気分だね」


ピグモは宿屋に案内されながら呟いた


最終選考に残った15名に与えられた宿屋は超高級宿屋でとても一般人が泊まれる所ではなかった


待機を命じられ、不安が募るシチュエーションではあったが行き届いたサービスに全員が満足したのであった

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