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ゾンビーナ!  作者: とれさん
301/378

301 面接会当日 part1


そんなこんなで2ヶ月後、事務員面接会当日


「ふわぁ~…何あれ?」


《勿論面接希望者だろ?》


日向子とキメは城内に用意した面接会場から眼下に広がる光景を眺めている


城下にあった兵士の修練場跡地に集められた面接希望者達がここからだと砂糖に群がる蟻の群れの様に見える


「…まさかこんなに来るとはね…」


《そうだな…今更だが少し面接方法を変えよう。まともにやっていたらいつ終わるか分からん》


眼下の光景を呆然と眺めていた2人に兵士が報告にやって来た


「日向子様、面接希望者は現在482名。如何致しますか?」


「よ、4…百?凄いわね…」


《締め切りの定刻は後一時間だ、それまでは受付して間に合わなかった者は帰って貰え。

刻限に遅れる者はそもそも資格がないからな》


「は。その後は如何致しますか?」


「そうね、その場に整列させておいて。私から一応挨拶するわ」


「は。」


兵士は一礼して退室していく


「で、さっきの話なんだけど…」


《変更の話だな?それは…》


キメは日向子に面接方法の変更案を耳打ちし、その善後策について打ち合わせをするのであった


ー元修練場ー


ザワザワザワザワ…


「おい‼まだ始まらないのか?」

「随分多いな…」

「ひゃっはぁ‼どうやらこの中じゃ俺が最強の様だなぁ‼(?)」


何やら勘違いしている輩も混じっている様だが募集要綱に敢えて制約を設けなかった

職業や身分、貴賤に関係なく有能な人材を集う意図だったがまさか「事務員募集」の張り紙に世紀末野郎が応募してくるとは想定外であった


「受付の定刻が過ぎた‼これにて受け付けを終了する‼」


ドォーン‼ドォーン‼ドォーン‼


受け付け終了の太鼓が鳴り修練場の入り口が閉ざされる


希望者達は緊張の面持ちでこれから始まる面接についてどう選抜されるのかを探ってキョロキョロしだしている


修練場の前方に設けられた雛壇に日向子とキメが登場したのはそんな時である


「静粛に‼」


兵士が日向子達が中央で静止したのを見計らって希望者達に注目を求める


「えー…皆さん初めまして。領主の日向子です」


会場はどよめきと歓声が入り交じる

復興当初から領内にいた者達には日向子は既知であるが最近転入して来た者や領民でない者にとってはうら若き女性が領主なのが信じられなかったのだ


「静粛に‼領主様からのお言葉を遮る者はその場で退場して貰う‼」


兵士達はどうも堅苦しく扱ってくれているが日向子はちょっと苦手な雰囲気だ

そういう扱いを止めさせようとしたがシルグから『領主には一定の威厳が必要なのだ』と諭されそのままにしている


「大勢参加してくれてありがとう。これから事務員の面接を行います

身分や貴賤に関係なく有能な方を分け隔てなく採用しますので皆さんもその事を念頭において下さいね」


日向子はペコリと一礼すると雛壇から降りた


《俺は主の補佐官、キメだ。

諸兄等には幾つかの関門を設定してあるのでこれを潜り抜けた者達を最終選考者として面接をする事にした。それでは第一関門を始めるので3列に並んでくれ‼》


参加者達は「関門?」と不思議な顔をしつつも言われた通り3列に並んでいく


と、その中で早速諍いが発生した


「貴様‼俺を誰だと思っている‼」

「し、知りませんよ‼」

「俺は元ゴルド領子爵、ウィールだ‼分かったらさっさとそこをどけっ‼」


お、バカ発見?とばかりにキメは兵士達に指示を出す


ザッザッザッ…ガシッ‼


「な、何をする⁉貴様等‼」


《主が宣言したが身分・貴賤は関係ない。輪を乱す者に受ける資格はない‼》


「は、離せっ‼俺を何だと…」


なかなかに諦めが悪い様なので日向子が引導を渡す


「元子爵だか何だか知らないけど今は無職無冠でしょ?新生ゴルドに残っていないって事は貴方が無能だって事なの。

自分の立ち位置も弁えない人は要らないのでお帰りを。」


パチン、と日向子が指を鳴らすと兵士達がウィールを抱えて退場していく


「くそっ‼覚えていろ‼」


えぇ。しっかり覚えておきます


「キメちゃん、一の矢さん達を使って彼の身辺調査しておいてね」


《もう張り付いているさ》


日向子は旧ゴルド領や各所から有能な人材を重用し、脇を固めていた

その中にはドラ(ドラク)が使っていた諜報機関「三の矢」達も含まれている


有能な人材は得難いのだ、


「えー、この様に協調性に欠ける人や他者を蔑ろにする人は当然排除されますので気をつけて下さいね」


ウィールの一件で尊大な態度を取る者達は鳴りを潜めた

まぁそんな人は猫を被ったとて最終選考に残る事はあり得ないのだが


ゴタゴタで少し遅延したが20分程で3つの列は無事並び終えた


第一関門、と言っても難関ではない

それは「識字率」である。

列に並んだ参加者は設置されたボックスに1人ずつ入り中に張られた文字を読むだけである


「それでは列の先頭の者、中へ」


いよいよ倍率500倍の面接試験が開始されたのだった

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