300 面接会開催のお知らせ
祝!300話!
。。。って200話目の時に祝いましたっけ?
そんなこんなで引き続きご愛顧お願いします
日向子が見つけて来た人材以外は知り合いに声掛けする迄もなく皆多忙なので
日向子達は公募による募集をする事にした
在野にもしかしたら逸材が眠っているかも知れない
日向子はこんな言葉を何処かで聞いた覚えがあったのだが良く考えたら三國志だった
【告・急募】
「ゴルド領内外から集まって来る陳情書や書類を整理してくれるスタッフを大募集!」
・とても明るく楽しい職場です
・優しい先輩が出来る様になるまでサポートします
・就業時間は貴方の都合に合わせます(ノルマさえ終われば一時間で帰ってもOK)、給与は日当制
ー待遇
・社食、居室完備
・休日は自己申告制
・給与は能力に応じて随時昇給有
採用者の声;
「私はこの職場に来て自由な気風と優しい上司に恵まれ幸せです。皆さん、一緒に楽しく働きましょう(マ○ラ♂)」
沢山のご応募、お待ちしております!
詳しくは城内の兵に尋ねられたし
【ゴルド領領主・日向子】
若干(?)虚偽申告が含まれるがこんな内容の触れ書きを街の各所に張り出しておいた
締め切りは1ヶ月後に設定しようとしたら遠方から訪れる者には厳しいとの事なので2ヶ月後に締め切りを設定した
面接期日までシルグは出来るだけ執務室で書類整理をこなしてくれていたが数日はドラコニアに行き宰相に必要な用事をこなさなければならなくなっていた
日向子はその移動時間に着目し、効率的に移動出来る様にシルグの記憶から抜け落ちている空間移動魔法を思い出させる事にした
「うーむ…全く覚えておらぬ‼」
此処に魔法書や魔導書に技術体系を編纂して伝搬していく人族と生まれついて魔法が使える種族との決定的な違いが露呈した
圧倒的力を保持する種族が人族の繁栄を許さざるを得ない最大の理由の1つがこれである
人族は少ない魔力の効率化や高出力化に研鑽を重ねそれを書物として遺す事で後世に伝えていく
だが元々備わっていた種族は「使えるのが当然」な為に研鑽する事も伝授する事もしない
要は強力な魔法を有しても一代限りで潰えてしまうのだ
さて、本題のシルグに目を移すと彼も強大な魔力を有しそれを凌駕する生命力・肉体を有している
だが意外と自分の能力に関して無頓着で使わない能力はそれこそ一度も行使せずにただ保有している
宝の持ち腐れ状態である
空間移動魔法も自身が飛行可能&感覚が好きじゃないという理由ですっかり失念していた
「助けて‼ドラ○も~~ん‼」
《どうしたの?の○太くーん、全く君はしょうがない奴だなぁ…うーふーふぅー(笑)》
とは言っていないがその時執務室に入って来たのはドラ○もん…ならぬキメであった
(そっか‼キメちゃんなら…)
日向子はシルグの先生としてキメに能力整理を頼んだ
《ではシルグ様、力を抜いてゆったりと構えていて下さいね》
キメは触手をシルグのこめかみに這わせると脳内スキャンを開始した
キマイラ種であるキメは捕食した生物から能力も取り込む
それを体内で整理し、必要とあれば統括統合・結合したりしてより効率的・高出力な能力を生み出したりも出来る
要は「お片付け上手」なのだ
キメはシルグの記憶から空間移動に関する記憶を引き出し一旦自身の体内に取り込む
それを効率化・活性化してシルグの脳内に戻したのであった
《如何ですか?》
「む?…おお‼これは使い勝手が良いな‼」
シルグは空間移動魔法が随時発動出来る様になって喜んでいる
「さ、これで移動時間かゼロになったからその分書類整理が捗るわよね?」
『⁉…おっと、ドラコニアで誰かが我を呼んでいる様だ』
…シュッッ‼。。。『何っ⁉』
シルグは空間移動を使って逃げようとしたが魔法が発動しなかった
『何故だっ⁉何故逃げ…移動出来んのだ‼』
「…フフフ…そんな事は既にお見通しですよ?」
そう、日向子はシルグの逃亡を見越して結界を張って阻害していたのだ
「さぁさ、無駄なエネルギーは書類整理に使いましょうね?」
『…はい…』
売られて行く子牛の如く引き摺られていくシルグにキメは思わず手を合わせて見送った
キメによるシルグの能力整理の間、日向子もただボンヤリしていた訳ではなかった
今まで獲得した能力等を統廃合というか整理整頓していたのだ
主に時空間能力と空間移動能力は相性が良さそうなので融合させたり区分けすればより効率的になるだろう、と思ったのだ
取り敢えずシルグの能力改変の時間内に行った晴天で獲得出来たのが
「時空間転移」
である
どの程度跳べるのかは分からないが目的地を認識出来ていれば何処にでも転移可能な上時間も任意で変更可能になった
理論上では過去に起こった事案に対し転移して修正する事も可能だろう
ただ前世で得た「ある知識」がある以上そんな事はしないだろうが
魔法のない世界の片隅にゾンビとして転生し、色々あって此処まで来たが南半球で魔法に触れとうとう日向子の思っていた
「どうせ異世界に来たなら魔法を!」
が現実的になったのを日向子は感慨深く思いを馳せていたのだった




