298 お呼びでない? part2
日向子は今、神獣運輸のスタッフ達と業務の独立について語り合っていた
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「えっと…じゃあ社長を誰にする?」
「えっ⁉そ、そんな…私達全員じゃダメですか?」
テロンは日向子を「代表」の様な地位に格上げし、スタッフ達はあくまで日向子の下、平等な立場で今まで通りを貫くつもりだと説明した
「そっか、差をつけちゃうと社内の雰囲気が悪くなるもんね…分かった、皆の好きな形でやってみて」
「「「ありがとうございます‼」」」
こうして神獣運輸は日向子の手から離れる事になった
離れる、と言ったら語弊はあるが基本的に運営その他に直接的に口を出す必要が無くなった、と言う方が正しいだろう
「これからは私はオプザーバーとして直接指示はしないけど困ったらいつでも言ってね?」
「「「はい!」」」
「あ、それと…」
「?」
「シロちゃん達には時々会いたいからシフト表は毎月宜しく」
「「「了解です!」」」
日向子は空間移動で再びゴルド城の執務室に戻って来た
『お?主殿か。どうだった?』
シルグは少し前からテロン達よりこの話を相談されていた様で結果がどうなったのかを気にしていた
「うん。何か皆立派になっちゃってたね」
そう答える日向子は少し寂しそうだ
スタッフを増やし一丸となって働いていたあの頃が懐かしくも寂しくも思えたのである
「…まぁ主殿の環境も今や大きく変わったからな…それをテロン達が察してくれたのだろう」
そう、神獣運輸のスタッフ達はクーデターを起こした訳ではない。
多忙な日向子を気遣ってせめて運輸業は独立採算制でやって要らぬ心配を増やさない様に考えてくれたのだ
それでも…仲間達と泣き笑いしながら進んで来た今までと離れるのは袱紗な気持ちだった
『感傷に浸っている時に申し訳ないが…主殿、我からも相談がある』
「…え?」
『実はワイトからドラコニアの宰相にならないか?と誘われていてな…受けようと思っているのだ』
「そんな…シルちゃん迄離れて行っちゃうの?」
『そうではない。まぁ宰相と言っても城に詰めっきりになって何かする訳ではないし我もその手の要望なら断っていた
ただたまにドラコニアに出向いて事務的な事をせねばならぬからゴルド領内の事務作業に支障が出るやも知れぬ
そこでだ、主殿の事務作業を代行してくれる人材を雇おうと思っているのだが…良いか?』
「…私が嫌いになって出て行くんじゃないの?」
『ワハハ、破天荒な主殿の側は楽しすぎて離れたいとも思った事はないな‼』
「…本当?」
『当然だ。ただ我も兼任が増える故に代行する人材が欲しいだけだ』
「。。。ぐすん、、、」
『!?』
《失礼しま…!?》
ソコにタイミング悪く昨日のダメージから回復したキメが入室して来た
《。。。シルグ様、例えシルグ様でも主を泣かせる事は容認出来ません‼》
…ゴルアッッ‼
キメは日向子の泣く姿に我を忘れいきなりキマイラ姿でシルグを威嚇した
『キ、キメ‼これは誤解だ‼』
《だが主は泣いているそ‼》
「ふぇぇ~…キメちゃーん‼」
!!
グゴゴゴゴゴゴ…ガカッッ‼
キメは狭い執務室の中で乱気流を生み出しシルグに雷を叩きつけた
『ガアァァッ⁉』
「!?キメちゃん‼違うのっ‼」
《。。。へっ!?》
ソコからキメの大説教タイムがスタートした
キメの早とちりで雷まで落とされたシルグは真っ黒焦げ姿で説教を始めた
『我が主と決めた者を泣かせる様な事をすると本気で思っていたのか!』
《すいません…》
『それとも何か?四竜が一体、風のシルグを信じられないとでも言うのか!?』
《…いえ、そんな事は…》
『なら何故理由も聞かず攻撃を仕掛けたのだ!?』
《…面目次第もございません…》
『我はただ先を見て事務方の人材を増やそう、と提案しただけだがそれが主殿に迷惑になると思ったか!』
《いいえ、申し訳ございません…》
シルグの説教は昼過ぎから晩近く迄続きキメの足は始祖に説教を食らった時以上に痺れまくった
結局キメは執務室を元通りに復旧させる事と今後は事務処理のノルマを倍にされる事で赦された
「キメちゃん…紛らわしくてゴメンね?でも…ありがと☆」
日向子は飯抜きで床掃除をしていたキメに抱きついた
肌から伝わる日向子の柔らかさが何よりのご褒美になった
その後日向子も片付けに参加して夜明け迄には元通りに復旧させる事に成功した2人
翌日シルグが出勤すると応接セットのソファーで仲良く眠っている日向子とキメを見つけてシルグは2人に毛布を掛けてやるのだった




