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ゾンビーナ!  作者: とれさん
297/378

297 お呼びでない? part1


自分探しの旅行…にはならなかったが実りのある南半球旅行を終え無事帰って来た日向子は土産物を持って挨拶回りをした後疲れて寝てしまった


翌日、気だるい体を何とか奮い立たせ体を起こす


「ふぁ~…おはよう」


身支度を終え執務室のドアを開けるとまだシルグも来ていなかった


取り敢えず机の上に積まれていた決済待ちの書類に目を通し決済印を押して行く

この決済印も日向子が持ち込んだ発明である

サインによる決済は負担が大きく印鑑にすれば楽と考えた日向子が工業部門のミグルに偽造防止技術と共に制作を依頼して完成させたのだった


まだ印鑑を使用している部署は少なくゴルド領内の数ヶ所での範囲ではあるが有用性が広まれば頒布する事も考えられる


その為の偽造防止策は印鑑本体にも多少施してあるがメインはインクの染料に工夫を加えた

この染料にはとある魔物の血液が含まれており入手するのは困難な上にウシャ爺がその血液に反応する試薬を開発してくれたお陰で偽造対策となり得たのだ


印鑑の話は置いておくとして…日向子は決済内容をざっと読んでポンポンと決済印を押して行く


シルグには不在中に大変迷惑を掛けたのでせめてもの罪滅ぼしのつもりだった


…ガチャ。


『お?主殿、もう大丈夫なのか?』


シルグは決済書を読んでいる日向子を見つけると先ずは体を気遣った


「おはよ。うん、もう大丈夫よ」


…シュー…コポコポ…


部屋の中にはお湯を沸かす音と紙を捲る音、たまに印鑑をつく音しか聞こえない


…パラッ…ペタン、…パラッ…


『…主殿』


静寂を破ったのはシルグだった


「ん?どうしたの?」


『昨日神獣運輸の事務所には行ったのだな?』


「あ、うん。皆にお土産を渡しに行ったけど…何?」


『テロンに何か言われなかったのか?』


「あぁ、そう言えばテロンちゃんは依頼主と話し合いがあるとかで外出中だったんで会えなかったけど…何かあったの?」


『ん?…いや、聞いてないなら良い。いずれ主殿に話すだろうからな』


…シュー…コポコポ…


。。。


「…」

『…』


…ガタンッ‼


「だぁ~っ‼そんな意味深発言されちゃったら気になって仕方ないじゃないのよ‼何?一体」


再び訪れた静寂を今度は日向子が破った


『いや、てっきり話したモノだと思っていたのだが…済まなかった』


「え?それで終わり⁉…もうっ‼出掛けてくるね‼」


日向子はコートを羽織ると空間移動魔法を使って直で神獣運輸事務所に飛んだ


…フッッ‼


「っ⁉」

「きゃあ⁉」

「…ブッッ⁉」


突如出現した日向子に事務所で休憩していたスタッフが驚いた

ガンザに至っては飲んでいた紅茶を思わず吹き出して対面にいたテロンに吹き掛けている


「ぷはっ⁉ちょっとぉ‼」

「す、すまん‼」


ガンザは慌ててテロンの顔や服を近くにあった布で拭いて謝っている


「もうっ‼…あっ⁉☆」

「…」


オイオイ、此処でおっ始めるつもりか?という空気が流れて日向子やエリス、シリが「コホンッ‼」と咳払いした


「あ…すまんすまんっ‼」

「(//////」


テロンとガンザは顔を真っ赤にして照れている


「チッ、爆ぜたら良いのになっ」


どうやら2人は始終イチャコラしている様でエリスがすっかり腐ってしまった様だ


そんなラブコメ雰囲気を振り払う様に日向子が切り出す


「ねぇ、シルちゃんが意味深な事言ってたんだけど…何か私に話があるの?」


日向子はテロンに向けて問い質すとテロンが「あ…」という表情で俯いてしまった


(何か話し辛い事なのかな…)


日向子は慌てずに皆を座らせ優しく問い掛ける作戦に切り替える


「良かったら話してくれる?」


「はい…実は…」


そこからテロンが語ったのは神獣運輸の独立話であった


現在、日向子はゴルド領の領主や神獣運輸の社長を兼任、だがそれらより各国の王達やシルグ達と言った大物からの依頼を受けて動いている


結果疎かにするつもりはないが神獣運輸はテロンを筆頭に神獣運輸のスタッフが回しているのが現状だった


「私達、社長に迷惑を掛けない様に独立した形で営業を続けていこうか?という話にまとまって…それで南半球から帰ってきたら相談しようって決めたんです」


「そっか…」


「あ‼もちろん日向子さんには引き続き神獣運輸の「代表」ではいて欲しいんです

ただやっぱり日々の業務で何か決断を迫られた時に忙しい日向子さんに相談しなきゃならないのが心苦しくって…」


「…うん。良いよ‼」


「…やっぱり…って、えっ⁉」


テロン達は日向子の言葉に驚いた


「私もね、これから更に忙しくなるしテロンちゃん達に全て任せようかな?ってずっと思ってたの

考えている内に南半球に行く事になっちゃって…逆にゴメンね?」


「そ、そんな…」

「姉御…」

「日向子さん…」


基本的に神獣運輸は働いてくれている魔獣や神獣達のエサ代を賄う為に始めた商売である


シロ達やハク達、ニルが不満なく過ごせる環境が作れていれば誰がやっても問題はなかったのだ

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