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ゾンビーナ!  作者: とれさん
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296 南半球ボケ?


北半球、ゴルド領に空間移動したつもりがバンパイア領でティータイムを楽しんでいた始祖の真上に出現→ツープラトンでドロップキックをかましてしまった日向子とキメは現在始祖の前で土下座説教中だ


〈お主達は何か?余に恨みでもあるのかっ⁉〉


「《…滅相もございません…》」


〈では何故この様な真似を…〉


「《…すいません…》」


突然頭を蹴られた始祖はお茶を盛大に吹き出し一緒に茶を嗜んでいたラクルの顔面に毒霧(?)攻撃を食らわせてしまっていた


勿論衣装はびしょ濡れ、テーブルも絨毯も染みが出来てしまったのだ


ラクルの居城に置かれる調度品は当然ながら国宝級と呼ばれるモノで中には始祖が愛用していた品々も伝えられている


始祖が怒るのも当然であった


〈ふむ、まぁ良かろう。魔術により戻って来た所を見るとおおよそ推測はつくが南半球はどうであった?〉


「《グアァァァ~‼》」


〈ん?どうした?南半球に言葉を置いて来たのか?〉


正座する事半日、始祖は滔々と説教を続け日向子達はもんどりを打っていた


《い、いっそのこと足を切り飛ばしてくれぇ⁉》

「足がぁ‼足がぁ~‼」


細胞の活性化による血流回復なぞ考えられない程痺れた足を抱え床をゴロゴロと転がる2人を始祖は不思議そうに眺める


〈それは最近の舞踊なのか?何とも品がないな〉


〈…始祖様。そうではなく日向子達は苦しんでいるのです〉


は?何に?という顔をしている始祖にラクルは血行障害による一時的な麻痺に苦しんでいるのだ、と伝えて漸く理解を得た


洋式慣習では起こり辛い現象で始祖には認識がなかったのだ


日向子達が痺れから復活するのを待って改めて報告を促す


報告を元に始祖の記憶とすり合わせれば南半球はおおよそ過去の文明と差異はない様だ


〈1つ聞くが…大陸が2つしかなかったと?〉


「はい、文明が発達しているスラストア共和国圏を持つ大陸と今回調べられていませんが永久凍土に覆われた北の大陸の2つだそうです」


日向子の説明に始祖は顎に手を当てて考え込む


〈始祖様、如何致しましたか?〉


ラクルは始祖の様子を察して訊ねる


〈うむ…余の記憶では大陸は幾つかに分かれその大陸毎にそれぞれの国家、文明があった

そちらが滅びるのは分かるが大陸が滅するとは理解し難くてな〉


〈成る程…〉


〈まぁそれは良い、追々分かるであろう。ところで日向子、ソチは魔術を修めたのか?〉


「あ、はい。ファングさん…竜族に教えて貰いました」


〈…今何と申した?〉


「えっ?竜族に教えて…」


〈その前に名を言ったであろう?〉


「あぁ、ファングさんです」


…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


始祖の体から怒気が突然吹き出した


〈…そうか、彼奴め…南半球に逃げておったのか…〉


「え?始祖さんはファングさんとお知り合いなんですか?」


これだけの怒気を吹き出している始祖に日向子はあっけらかんと聞いてラクルとキメをヒヤヒヤさせた


〈ク、ククク…既知も既知、彼奴は余の顔に泥を塗ってそのまま雲隠れした痴れ者よ。

そうか…南半球でのうのうと生きておったか…〉


〈し、始祖様‼お気をお静め下さい‼〉


《主‼主も何でもかんでも話すんじゃない‼気配を察しろ‼》


ん?どったの?みたいな日向子は始祖の怒気を平然と受け流しあまつさえ怒りを煽る爆弾発言を追加した


「ファングさんも何だかんだ言って向こうで元気でしたよ?ハーレム状態だったもんね、キメちゃん?」


〈ラクル‼今より南半球に出立するぞ!あの痴れ者を滅してくれるわ!〉


立ち上がって飛び出しそうな始祖、それを体を張って押さえるラクルとキメ

そんな緊急事態を他所にお土産確認を始める日向子


ラクルの居城の一室は未曾有のカオスに包まれていたのだった


そのカオスを静めたのは怒りに満ちた日向子だった


袋から土産物を出して数えていた日向子の手元を始祖が踏んだのだ


グシャリ、と潰れた土産物にブチキレた日向子はアンシェントマジックの1つ「時間操作」で時を止め

しまった‼と言った顔で止まっている始祖を窓から全力で放り投げたのだ


時間の流れが元に戻り始祖が気付いた時には始祖をはじめ腰に巻き付いていたラクルやキメまで宙を飛んでいた


風の加護(魔法)を付与された三人は抵抗も出来ずにトゥルネ山脈の岩壁に激突、念のいった事に耐性無効も付与されてあったらしく三人とも衝撃で意識を刈り取られてしまった


周辺の人々の間でフライングヒューマノイドを見た‼と言った噂が広まったのはこの事件の直後であった


一旦南半球に戻り潰れた土産物を買い直した日向子は三人を無視して関係各所に挨拶回りをしていった


時差ボケならぬ南半球ボケがあったのか日向子は三人に構う事なく挨拶回りを終えるとそのままゴルド城に戻り「疲れた」と言ってそのまま寝室で寝てしまったのだった


始祖達がボロボロになって帰って来たのは岩壁に激突してから一両日経過してからの事である


〈…ファングめ…教えてはならぬ者に魔法を伝授しおって…〉


日向子の考えの外で始祖の恨みマイレージが更に貯まったのは余談である

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