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ゾンビーナ!  作者: とれさん
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293 ファングと愉快な仲間達 part4


ファングの教えを聞いていきなり空間移動を習得してしまった日向子にキメも周囲のファングファミリーも驚いていた


『こりゃ一本取られた‼まさか一発で出来るとはな‼』


ファングもビックリして説明してくれたが空間移動の原理は教えてもなかなかイメージ出来ず下手をすると空間の谷間に落ちてそのまま戻れなくなる程危険な魔法らしい


「んーと、私、前世でそういう考え方って言うか…理論だけは沢山見てきたんです

だからイメージするのにそんなに苦労しなかったって言うか…出来ちゃいましたっ☆」


そう、日向子の生きた前世ではある星に行く為にワープ航法を使って旅するアニメやそれこそ魔法を使って瞬間移動するアニメが山ほどあってそれらをガッツリ見ていた日向子にとって理論的知識は十二分にあったのだ


だからファングに説明された空間移動魔法の理論は日向子にとって不可思議な事でも何でもなかった


逆に昔見たアニメの理論が現実に使える喜びに心が踊っていたのだった


《むむむ…出来ない…》


キメも一緒に習っているがどうやら躓いている


『まぁ普通はそうだよなぁ?ヒナちゃんが異常なのよ、ホントに』


ウンウン唸りながら身を捩らせているキメを見てファングは然もありなん、と落ち込むキメを慰めた


『…私達も出来ないのに…凄いわね』


嬉し過ぎて酒を浴びる様に飲んでいる日向子に1人の女性が話しかけて来た


彼女はリリー、ファングの一番目の奥さんだそうだ


「え?そうなんですか?リリーさん達だってファングさんに教えて貰ってるんですよね?」


日向子は驚いた表情でリリーに訊ねる


『ええ、ファングはあんな竜ですからね…惜しみもせず色々教えてはくれたんだけど

皆頭が固いのか出来たり出来なかったりしちゃうのよ』


…そんなモンなのかな?


と日向子はボンヤリ考えた


「私の前世の世界だと「固定概念」という理念があってそれが柔軟な思考を阻害するって考え方がありましたね」


『固定…概念?』


「はい、簡単に言うと…」


日向子は手に持っていた杯をリリーに見せる


「これは何ですか?」


『…杯…ね』


「ではこの杯は何をする道具ですか?」


『…まぁお酒を注いだり水を注いで飲む道具よね?』


「ですよね?でもそれだけじゃなくて…例えばこれを使って土を掘る道具にしたり投げて遊ぶ事だってやろうと思えば出来ますよね?」


『…まぁやろうと思えば出来るけど…普通はやらないわよね。土を掘るなら手を使った方が早いし遊び道具にするなら他にも沢山あるわ』


「そう、それが固定概念です」


『?』


日向子はリリーに極論ではあるが固定概念とは何ぞや?を説明した


『…なるほどねぇ…こうあるべき、って思い込みが邪魔をしちゃうって事かぁ…』


「目に見えたり触れられたりしたモノが全てじゃないって事なんです。種族によって見え方も違うし感じ方も違うと思いますしね」


そう言うと日向子は懐から青い布を取り出した


「これも私には青色の布に見えますけど複眼を持つ種族なら違う色に見えるしそもそも色を認識していないかも知れません

布と判断しているのも違う認識を持つ種族だっていると思います」


リリーは目をグルグルさせて悩みだした


『…考えれば考える程に難しくなるわね…』


「あはは、だから本来は何も考えず感じたままを信じた方が良い筈なんです

他人に合わせる必要は何処にもありませんからね」


日向子の説明はとても理論的ではあったがリリーには難解過ぎた様だ


『ん、今後はヒナちゃんの考え方を参考に修練してみるわ…』


リリーは混乱していたのか立ち上がった後フラついていた

カルチャーショックというモノだろうか?


《…主、俺もその固定概念というヤツが邪魔しているのか?》


ここにも悩める子羊が救いを求めていた


「キメちゃんなんか私からしたら存在自体が理不尽で不思議の塊なのよ?

取り込んだ相手の能力を自分のモノにしたり色んな生物を生み出したりさ、

取り込んだら再現出来るのが全ての生物で共通なら色んな食材を食べてる人間だって魚になったり鳥になったり出来る筈でしょ?」


《…そうか、そうだよな?》


「でも人間はいくら食べても鳥にはなれないし魚にもなれない。例え固定概念がなくても出来る事ではないのよ?」


日向子の言葉にキメは何かを掴んだ様子だった


「キメちゃんは取り込む時何も考えてないでしょ?それは取り込むと能力を得るのが当たり前になってるからで普通はそんな能力はないわ

だから空間移動も出来て当然と信じれば出来る筈なの」


酔っているからか日向子は饒舌だったがキメやリリーには真意が伝わったであろうか?


そんな心配をしつつ日向子は注がれるがままに杯をあけていったのであった

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