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ゾンビーナ!  作者: とれさん
283/378

283 恋のキューピッド


「そんなぁ、お上手ですねっ☆…ってキメちゃん何私を差し置いて話進めちゃってるの?

えっ⁉何、何?」


日向子は店主に褒められて沢山の醤油と酒をゲットしてテンションが上がっていた


《主、ヒルダ殿は未亡人だそうだ》


「…え?」


唐突な告白を聞いて固まる日向子。その様子を察したヒルダは畳み掛ける様に言葉を重ねた


「ですので王様にはどうか私の事はお忘れ下さい、とお伝え下さいませんか?」


「ちょちょっ⁉いつの間にそんな展開になっちゃったの?…そっかぁ、それは私達には判断がつきかねるわね…」


この世界における未亡人の扱い、と言うか感情は知らない日向子はヒルダの発する次の言葉を待っていた


「正直私も王様をお助けした時情が芽生えなかった訳ではありません。

もっと素直に言えば助けた時から淡い恋心を抱いたのも事実です…

ですが寿命の違う人族の青年、しかも私は昔の事とは言え一時は夫を持った身、

今マイラさんにツヴァイ様はゴスピアの王様だとお聞きしましたならば尚の事私では不釣り合いではないでしょうか?」


ヒルダはやんわりと断ろうとして言葉を選んで発したつもりだったが日向子はある一言から話を聞いていなかった


「…ヒルダさんも恋心を抱いた?なら相思相愛じゃない‼キャー☆素敵な巡り合わせね‼」


「あ、あの…ちょ、ちょっと…」


「こうなったら善は急げ‼鉄は熱い内に打てよ‼ヒルダさん‼私は二人の恋のキューピッドになるわ!」


(《あ、主?話を聞いてなかったのか??》)


「じゃあ早速ツヴァイ王の所へお連れしますね!」


問答無用でヒルダを連れ出し抱き抱えるとゴスピアに向けて飛び立った


「…キメちゃ~ん!また戻って来るからその間荷物と部屋、醤油を宜しくね~!」


呆気に取られて出遅れたキメを置き去りにして日向子はフルスピードでゴスピア国に急いだのであった


景色が歪む程のスピードと酸素不足により速攻で失神したヒルダに気付き慌てて風の加護でシールドを張った日向子、

空気の壁を円錐形にして酸素を確保しつつ空気抵抗を最小限に抑えた結果日向子のフルスピードは音速を軽く突破したのだった


ィィィ~ン………ゴバッ‼‼


日向子の通過した少し後に襲う衝撃波が一旦低空飛行をしていた森の木を薙ぎ倒していく


(あっ⁉低空だと地上に被害が出ちゃうのか…)


衝撃波が出る事に気付いた日向子は一気に高高度飛行に切り替えるべく急上昇に移る


日向子は風の加護による空気層で守ヒルダを守ったつもりであったが加速度(G)に注意を払払い忘れて直ぐ様失神するハプニングはあったが一時間半程でゴスピア国上空に到達してしまった


城内の護衛兵が蜂の巣をつついた様な騒がしさになったのを横目に日向子は謁見の間のバルコニーに降り立つ


「!?ひ、日向子様ではないですか!?」

「魔物の襲撃かと思いましたよ…次からは事前にお知らせ下さい」


事前に、って…電話やメールがあったらそりゃ都合を聞いてから来ますよ…


等とブツブツ呟いていると奥の間からツヴァイ王が飛び出して来た


「も、もう見つけたのか!?そ、その布の中にいるのか?」


あ…防寒具代わりに巻いた布を取るのを忘れてた…


日向子はヒルダをソファーに下ろし布を取り払う


魔法での飛行術はあれど物理的飛行での高速移動は生身には厳しかったらしく気を失ってはいたが

顔に掛かっていた布を払った瞬間ツヴァイ王が歓喜の声をあげた


「おおっ‼…この女性だ…何も…何1つ変わらず美しい…」


ツヴァイ王はヒルダに触れようとして躊躇う


「衛生兵!衛生兵はいるか!」


「は、此処に。」


「彼女の容態を調べろ、大切な人だ…丁寧にな」


「は、直ちに」


担架に乗せられ治療室に運ばれていくヒルダを心配そうに見つめるツヴァイ王に日向子は彼の深い想いを見た


「…日向子、良く探し当ててくれた。よもやこんなに早く彼女に会えるとは…」


振り向かずに礼を述べるツヴァイ王の肩は微かに震えていた


「アーチさん…じゃなくてアーチ王とツヴァイ王、アイン王お三方のご協力の賜物です。

私達だけではもっと時間が掛かっていたでしょうし…」


「協力するのは依頼主として当然だ。…では聞かせて貰えるか?」


「はい」


日向子はヒルダを発見した経緯からゴスピア国に連れて来る迄の経緯と彼女に聞いた話をかいつまんで説明した


「…そうか…夫と死に別れていたのか…」


ツヴァイ王は彼女の境遇に寄り添う様に俯いている


(あれ?この世界では再婚とかに抵抗があったりするのかな…だとしたら私が先に話したの、失敗してるわよね…)


日向子は話し終えた段階で漸く自らの話した内容に気付きガックリと肩を落とす


二人の間に重苦しい空気が流れ出した時、扉をノックする音が聞こえた


「王様、ヒルダ様がお目にかかりたいとお越しになられておりますが如何致しますか?」


‼ガタッ‼


「と、通せ‼」


侍従が開けた扉の影から弱々しく歩き出したヒルダはツヴァイ王を見ると軽く会釈をした


「お久しぶりです…王様」


…二人の運命や如何に?

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