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ゾンビーナ!  作者: とれさん
270/378

270 竜絡みの依頼


ゴスピア国謁見の間で日向子とキメは国王に初めて謁見していた


ワンドが緊張の余りに転んで搬送されると言ったハプニングがあったがアーチは淡々と奏上を続けている


「…そうか」


国王が奏上を聞き終わり頷くとアーチは無言で後ろに下がる


「王様初めまして。私は日向子、彼はマイラ、行方不明者を追って北半球から来ました」


「うむ」


「おおおおおおおおお…王様っ⁉ははは初めておおおお目にかっ‼かっ…かっ?」


ペロンは奏上の途中で真後ろにピーンと伸びて倒れ込む


それを予見していた日向子がサッと後ろに回りペロンを支えた


「兵士さん、お願いします」


「衛生兵‼」


ペロンも衛生兵に抱えられ退室した


「。。。」


「。。。」


立て続けの退室者に静まり返る謁見の間


「あー…此度ソチ等を呼んだのは他でもない。北半球ゴルド領主、神獣を使役する日向子に個別に依頼があって呼んだのだ」


静寂を断ち切る様に国王が爆弾発言をぶっぱなした


「えっ⁉私の事をご存知なんですか?」


日向子は驚いてアーチを見るがアーチ自身も初耳だったらしく目を丸くしながら日向子を見ていた


「フフッ、南半球は魔導大国。北半球にも当然情報網を広げておるぞ。マイラと言ったか?ソチはキマイラであろう?」


どうやら何らかの方法で日向子達の素性は筒抜けの様だ


日向子としてはバレたとしても痛い所は何1つないが痛くもない腹を探られて良い気分はしない


「…お調べになられたのなら分かっているとお思いですがこの私に何の御用でしょうか?」


日向子はどうにでも取れる嫌味を含んだ言葉で返す


「いや、試す様な事をして済まなかった」


国王は側にいる親衛隊に何かを告げると玉座を立つ


「ここからの話は他言無用な故申し訳ないが場所を変えて話そう」


アーチはその言葉で察したか跪いたまま動かない


国王と日向子、キメの三人は謁見の間を抜けて奥の長い廊下を静かに歩いて行く


本来であれば王が単独で移動する事は有り得ない、その事実を以て日向子も黙って後に続いている


キメは念の為ナノサイズの細胞を周囲に飛ばして罠に備えているのが感じられた日向子は更に落ち着いていた


「…此処で話そう」


国王は長い廊下の先にある一室のドアを開けると先に入って行った


日向子はキメに目配せするとドアの外にキメを置いて中に入る


その部屋は王城にある部屋にしては簡素な造りでテーブルと四脚の椅子しか置かれていない


日向子には此処が完全防音の部屋だと言う事がキメの放っていたナノ細胞からの情報で分かっていた


「…掛けてくれ」


国王は日向子に席を勧めると自身はその対面に腰を下ろす


「もう察しておろうがこの部屋で話す事は外に漏れぬ。

改めて名乗ろう、余はゴスピア国国王ツヴァイ・フォン・スラストアだ」


「王様、ご用件は?」


「そう警戒する事はない。日向子は既に知っておろうが余の血脈は竜の末裔でな、その証拠を見せよう」


国王は瞳孔をギュッと絞る


「成る程」


国王の瞳孔は爬虫類特有の縦長に変化した


「まぁこれが証拠と言う訳ではないが我がスラストア家は代々この瞳を持って生まれる

とは言え竜族の力自体は既に血が薄まってしまったのかこの程度でしかないのだ」


「そうですか」


「日向子を呼んだのは他でも無い。実は内密に捜索を依頼したいのだ」


「捜索…ですか?」


「うむ。スラストアと竜族は我が祖先との確執により縁遠くなって久しいのだがここ最近竜族の僕がこの大陸のあちこちで目撃されておってな、その目的が何なのかを探って欲しいのが1つ。

そして此方が本題なのだが竜族と接触出来たならある女性を探して欲しい」


「詳しく聞いても?」


日向子の問いに国王は忌憚なく全てを告白する


若き日の国王とある竜族の女性の恋路を


「…余は若き日に狩りに出掛け運悪く崖から落ちてしまった…身動きの取れぬ余を救ってくれたのがその竜族の女なのだ…

余の心はその女に奪われたまま未だ独り身で再び出会えるその時を待っておる」


国王を改めて見るとそろそろ四十に手が届きそうな年齢に見受けられる

世継ぎを求められる王族でこの歳迄未婚とは余程の覚悟でその女性を探していたのであろう


念の為展開していたバンパイアアイでも国王が嘘を言っていない事は判別済みだ


「…ふぅ~…なぁ~んだ、王様も変な話し方するから警戒しちゃったけど普通の男性なんですね?」


日向子は一途を貫いている国王の気持ちを察して打ち解けた口調で茶化してみる


「す、すまぬ。余は生まれてこの方この語り方で過ごしている故他を知らぬのだ」


「わざわざこの部屋に移動したのは?」


「…流石に配下の者達には聞かせられぬだろう?」


「分かりました、ではそのご依頼引き受けさせて頂きます」


「おぉ、そうか!断られたらと思って先に情報を集めてはみたが…ソチの事は知れば知る程恐ろしくてな、正直頼みを聞いてくれるか否かハラハラしておったのだ」


「…そのネタ元については依頼を終えた後に詳しく聞かせて頂きます…」


警戒していたのに肩透かしを食らったが日向子は国王の依頼の為に尽力する事を約束したのであった

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