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ゾンビーナ!  作者: とれさん
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267 初めてのダンジョン part2


日向子達の考え無し攻略でダンジョン入り口は軽いパニック状態に陥ってしまった


「…確かにこのダンジョンは難易度低めですが…こんなに早く攻略されたのは初めてですよ?

って言うか何なんですか?その荷物は?」


受付の女性は震える声で訊ねる


《…途中で捌くのが面倒になってしまって…括って持って来た》


入り口にたむろしていた冒険者達も日向子達が引き摺って来た魔物の死体にザワついている


「何なんだよ…あれ…あんな大量の魔物を良く持ち帰って来たな…」

「あれ?魔物の中に冒険者も混ざってるぞ?」


「《…え?》」


良く見ると引き摺って来た魔物の中に冒険者らしい姿が混じっている

通路一杯に膨れ上がった荷物に巻き込まれそのままお持ち帰りされてしまった様だ


「と、とにかくこの量では道具屋で対応出来ません‼今ギルドから鑑定員を派遣して貰いますのでお待ち下さい‼」


係員はおそらく通信道具であろう水晶に向かって何かを連絡し、10分程度で大勢のスタッフがトルル村方面から馬車に乗ってやって来た


「日向子殿‼マイラ殿‼」


馬車から降りて来たスタッフに混じって見慣れた人物が日向子達を呼んでいる


「あ、アーチさん‼」


「…ちょっと此方へ‼」


日向子達はアーチに引っ張られて人気のない場所迄連れて行かれた


「困りますよ…確かに日向子殿には攻略し甲斐のないダンジョンだったでしょうけど目立つ行為は控えて下さい‼」


そう注意するアーチの目は真剣そのものだ。


「《…すいません…》」


「とにかく鑑定と換金は此方で行いますのでお待ち下さい‼」


プリプリ怒りながら荷物に戻るアーチを二人はしょんぼりしながら見送った


一時間後、全ての鑑定と換金が行われ怒りの収まらないアーチから査定額から手数料等を引かれた金額が日向子に渡された


「大型・中型魔物計64体、小型魔物1200体、依頼魔物714体。体内にあったアイテム320点、全て換金しますか‼」


「…はい…お願いします…」


「では手数料を引いて計130スラストです‼全く!」


「…面目ない…」


アーチの怒声が大き過ぎて成果と報酬額が他の冒険者達に丸聞こえだ


「お、おい‼130スラストだってよ⁉」

「もうダンジョン内空っぽじゃねぇのか?」

「アイツ等確か朝入ったルーキーだよな?」


冒険者達は改めて日向子達を見る


軽装甲とも呼べる装備、女に至ってはゴツい手甲以外はビキニアーマーだ


…ゴクリ…


攻略スピードに驚愕し、日向子の格好に興奮した冒険者達は混乱状態だ


そんな冒険者達の前にビキニアーマーの方がモジモジしながら近付いて来た


「あ、あの…皆さんには大変ご迷惑をおかけしちゃって…その…お詫びと言っては何ですが…お酒とか驕りますのでそれで許して頂けますか?」


「。。。?」


上目遣いで許してニャン☆みたいなしなを作る日向子に呆気に取られその場が静まり返っていた


「「「うおおおーっ‼」」」

「マジかよ⁉太っ腹過ぎるだろ」

「ヤベえ‼惚れそうだぜ‼」


「あの…私達の荷物に巻き込まれた方々は治療費もお支払いしますね…ごめんなさい‼」


日向子は怪我をしてしまった冒険者にも謝った


「良いんだよ、怪我は自己責任がルールだ。でも今回はお言葉に甘えさせて貰おう」


「はい。治療が終わったら酒場に来て下さいね?奢らせて下さい‼」


「何か悪いな…いいのかい?」


「勿論です‼お待ちしてますね‼」


冒険者達が全員攻略を中止してしまった為にダンジョンは臨時休業を決定し、受付嬢も巻き込んで酒場に繰り出した日向子一行


その夜はトルル村始まって以来の盛大な宴会が開かれた


食材や酒が途中で枯渇して近隣に買い出しに行かねばならない程であった、とアーチの報告書には書かれている


翌日から一気に知人が増えた日向子達であったがギルド長ペロンからキツい通達が下された


「日向子殿とマイラ殿はクリアレベルの低い依頼受理は不可‼依頼内容は此方で吟味し、了承があるまで実行不可です‼」


「…ご迷惑をおかけして申し訳ありません…」


そもそも日向子達が持ち帰った魔物等の換金額、130スラストはトルル村の年間予算の3分の1に相当し辺境ギルドには支払い能力がなかった為に現在ゴスピア本国に申請をしている最中だ


日向子達はそもそも金銭目的ではない為に登録料等の諸経費と酒場でのどんちゃん騒ぎに掛かった費用等を差し引いたほぼ全額をペロンとワンドに寄贈しようとしてまた騒動を引き起こした


度重なる話し合いの下、報酬の半額を村とギルドの発展の為に寄付するという形で収まったのである


「日向子殿、本当に宜しいのですか?」


ワンドとペロンは申し訳なさそうにしているが日向子に接している


「南半球のお金はこっちでしか使えませんし別に稼ごうと思って冒険者になった訳じゃないので良いですよ

それにお二人には色々優しくして頂いたしこんな形でお礼が出来れば私達も助かります」


「いやぁ、日向子殿は太っ腹ですな‼とは言え今後通常の依頼をお任せする訳には参りませんので此方で吟味させて頂きますよ」


ペロンは辺境ギルドに入る臨時予算にホクホク顔で難易度の高い依頼の束を早速ガサゴソやり始めていたのだった

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