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ゾンビーナ!  作者: とれさん
261/378

261 初めてのギルド


「ギルド長はいるか?」


アーチは冒険者ギルドの玄関を潜りざまギルド長を呼びつけた


どうやらヒエラルキーはアーチ達護衛兵の方が格上の様だ


「あ、はい。少々お待ち下さい」


受付にいた女性…は残念ながらケモミミの巨乳さんではなく普通の女性だったが

掲示板に貼られた依頼書、たむろする怪しげな面々、何故か待ち合いエリアにある酒場


日向子が一時夢中になっていたゲームやラノベのお約束通りの光景に日向子の鼻息が荒い


「キメちゃ…じゃなくてマイラ、早くギルド登録しましょ?」


「まぁそんなに慌てるな、今ギルド長に仕組みを説明させるからな」


アーチは落ち着きのない日向子を何とか押し留めてギルド長の登場を待つ


ドタドタドタドタ…


「いやぁ、アーチ殿。お待たせ致しましたな‼」


「ドラ○もん⁉」


「…ドラ…ん?ところでそちらのお歴々はどちら様ですかな?」


「うむ。村長の客人、日向子殿とマイラ殿だ。ギルド登録をしたいと言うので連れて来たのだ」


「村長の…まぁまぁようこそおいで下さいました。ギルド長のナッパです、以後お見知りおきを」


「では日向子殿、俺は報告書に必要な書類を探しに行くので後はこのナッパに聞きながら登録すると良い」


「はい、ありがとうございました」


アーチはカウンターの奥に消えて行った


「さて、日向子様、マイラ様。本日は冒険者登録をしたい、と言う事で宜しいですかな?」


ドラ…ではなくギルド長ナッパは屈託のない笑顔を振り撒きながら日向子に訊ねた


「あ、はい‼宜しくお願いします‼」


「じゃあ…おーい、メメル‼日向子様達の登録を頼む‼」


「はぁ~い」


カウンターに現れたのは先程のケモミミじゃない受付嬢だった


「では私も少し所用がありますので此処でお別れです。後はメメルに何でも聞いて下さい」


「どうも~」


日向子とキメはカウンターにある椅子に腰掛けてメメルの説明を聞いた


「えっと…この冒険者ギルドの事はどの位知ってますか?」


「実は私達北半球から来たばかりで何も知らないんです、初めから教えて頂けますか?」


「はいはい、北半球からね…ってき、北半球ぅっ⁉」


業務的に適当に長そうとしたメメルは北半球からやって来たという日向子の言葉にノリツッコミ的な驚き方をする


…ザワッ…


北半球という言葉に反応したのは何もメメルだけではない


ギルド直営の酒場にいた数名の冒険者達もギラついた視線を日向子とキメに向けだした


「あっ、あっ、す、すいません‼なにぶん北半球からお越しになられた方がギルド登録するなんて初めての事で…」


「あぁ、お気になさらないで下さい。立場が逆なら私だってきっとメメルさんと同じリアクションしてますしね

で、そういう訳なので大まかに全て教えて下さい」


「これは説明のし甲斐がありそうですね…よーし、久々に頑張っちゃうぞぉ~‼」


メメルは前世でいうブリっ子タイプの様で小さくガッツポーズをしながら張り切っている


「やっぱメメルちゃんは可愛いなぁ…」

「俺と付き合ってくれねぇかな」

「…オイ、その言葉は聞き捨てならねぇな。メメルは俺の嫁候補だぜ?」


酒場にたむろっていた冒険者達は口々にメメルを狙っていると公言しているが本人はどうも気が付いていない様だ


「じゃあ…先ずは基礎からお教えしますね‼」


メメルから聞いた冒険者ギルドの概要はこんな感じだ


・冒険者ギルドは犯罪者でない限り万人が登録出来る

・登録には10スリ(貨幣)が必要

・登録者にはカードが発行され依頼の可否によりランクが上がる

・表示される能力値はカードが本人の波長?を感知して自動更新する

・ランクアップはギルドにて手続きが必要

・失効はないが紛失すると再発行に10スリが必要

・パーティー登録も可能

・通常時はランクに応じた依頼しか受けられないが緊急依頼はある程度ランク差があっても受けられる


とまあ良くラノベにあった注意書きと似た内容だった


日向子はついでとばかりに足りない情報をメメルから聞き出した


・貨幣単位は

(ス・スリ・スリル・スライ・スラスト)で(ス)が概ね10円、以降が一桁ずつ価格が上昇する


(って事は10スリで約千円か…)


本来なら1スリルでも同価値なのだが訳あってスリルは現在流通していないらしい


「ところで…もっと基本的な事を聞いても良いですか?」


「はい、何でしょう?」


「此処がトルル村は分かりましたが国や他国とか位置も分からないんで教えて頂けますか?」


「あー…私はトルル村から出た事がないので…ペロンギルド長に聞いて頂けますか?」


そんなやり取りをしていると酒場にいた冒険者が日向子達に近付いて来た


「何だ、全く知らねぇのか?何なら俺が教えてやっても良いぜぇ?」


あからさまに金品目的な雰囲気で近付いて来ていたが生憎と日向子もキメも無一文である


「…教えてくれるのは嬉しいけど私達無一文よ?」


「…ちぇっ、アーチと来たから金持ってるかと思ったのによぅ…」


小悪党は万国共通で存在するのね…日向子の心は少し暗澹たる思いで満たされていた

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