26 無料コマーシャル?
ブルピット達をイメチェンして配達業務につけてから半年後
本来の業務も一時期よりは落ち着きを取り戻していた
ー神獣運輸会議室ー
「えー、第1回従業員会議を始めます」
日向子・ゴメリ・テロンの3人はテーブルを挟んで会議を始めた
「幸い一過性のミーハー客も一段落し私達のサービスの周知も上手くいってると思います」
「だな」「ですね」
「我が神獣運輸は今岐路に立たされています。「拡大」か「維持」か?です」
「成る程」「そっか…」
「維持を望めば商売は将来的に縮小の一途を辿る事は先人達の例を見れば明らかです。
けど無料な拡大をすればこれもまた倒産の憂き目に合います」
「うーん」「難しいですね」
「そこで私は2つの目標を掲げたいと思ってます」
「目標とは?」
「はい、先ず「従業員と使役生物の拡充」をしたいと思ってます
もう1つは継続的な宣伝をしたいと思ってます」
「…何か難しい話だべ」
「あはは、簡単に言っちゃえば人手と宣伝を増やしましょうって事です」
「何だぁ、最初からそう言ってくれたら良いのに」
「「会議」としたからにはちょっとやって見たかったんです☆」
日向子は舌をペロッと出した
「まぁ人の補充は直ぐ出来るだよ。今でも相談に来てるからな」
「そうですね」
「問題はユニコーンやブルピット、スレイプニルをどう補充すんだい?」
「うーん、シロ達以来恭順してくれる魔物はいなかったみたいですしねぇ…」
「ヒナちゃんが討伐に行ってたら変わってたかも知れねぇけんどオラぁやシロ達じゃ無理だったな」
「そっかぁ…前から予想は出来てたけど現実を突き付けられるとちょっと残念だな…」
「まぁ増員の方は考えるとして宣伝の方はどうすんだぁ?前みたいにチラシでも撒くんけ?」
「フフフ…それについては考えがあります!」
そう言うと日向子は1枚の紙片をテーブルに置いた
「…エレモス武闘大会?」
「そう!ここにゴメリさんが出れば宣伝になるかな?って」
「…ヒナちゃんも出ようか?」
「えー?怪我したら痛いしそこはゴメリさんで。」
「…ヒナちゃん?」
「…はい…」
こうして二人は武闘大会に出場する事になったのだった
ーエレモス城下の宿屋ー
「今年もあの親衛隊長が優勝だろうな」
「馬鹿言え‼今年はなぁ、伝説の騎士が出るって噂だぜ?流石にゴメスさんでも敵う訳ねぇだろ‼」
「え?あの「斬撃の悪魔」がかよ⁉こりゃ賭ける先を変えねぇとマズイか…?」
日向子とゴメリが宿泊している宿屋では既に誰に賭けるかで白熱していた
「ゴメリさん、「斬撃の悪魔」って知ってます?」
「え?いや…知らねぇだ」
「何か名前からして鬼の様に強いんでしょうね…大丈夫かなぁ?」
「ま、まぁ大丈夫だべ。オラ達は勝つことよりも宣伝重視でいくだべ?」
「そりゃそうですけど…昔から参加する事に意義があるってのは嫌いなんですよ。出たら勝たないとね‼」
「アハハ。。。」
元は宣伝目的で参加するプランだったが日向子は何故か闘志を燃やしているのをゴメリは苦笑いしつつ見守っていた
「ねぇお兄さん、大会には女性も出るのかしら?」
日向子は気になる情報を得る為に近くにいたオッサンに声を掛けた
「ん?知らねえのか?優勝候補のゴメスと毎年良い勝負をしてるのは護衛隊長のリースって言う美人さんだぜ」
「へ、へぇ~、美人なんですか?」
「あぁ、かなりな。城下の男共は「白銀の麗人」って呼んでる高嶺の花だぜ」
「ホホー、ソウナンダ」
日向子の表情が強ばった
「ゴメリさん、知ってました?」
「ん?リースの事だか?そりゃ軍にいた時には直属の部下だったで」
「…美人ですか?」
「んー、まぁ昔から言い寄る男は多かったけんど…全て玉砕してたべ」
「そんなに美人なんだ…じゃあ目立たないじゃない…」
日向子は何やらブツブツと呟きながらゴメリを置いて部屋に戻って行った
(ヒナちゃん一体どうしたんだべ?)
ゴメリは翌日にその答えを目撃する事となるのだった




