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ゾンビーナ!  作者: とれさん
256/378

256 BAD COMMUNICATION!? part1


ー住人視点ー


俺達は近々行われる収穫祭の段取りを話し合う為にわざわざ村の外で集まって会合を開く事にした


何故なら収穫祭のサプライズイベントとして同い年の若者同士のお見合いパーティーを開催する企画を発案したからだ


「おい、長老達にはバレていないんだろうな?」


村一番のイケメン、ガンツが集まった友人達に秘密の漏洩がなかったかを確認している


「ああ、こっちは大丈夫だ」

「ウチのじいちゃんは疑ってたけどバレてはいない様だった」


此処に集いし若者はガンツを筆頭に俺、テルージャの幼馴染だ


少し背の低いジレン、細身で長身のパルト、太っちょドウン


俺達5人はいつも一緒にイタズラばかりして来た親友だ


「それで…どうやって祭りにパーティーを組み込むんだよ?」

「馬鹿‼それを今から話し合うんじゃねーか‼」


おっとりしたドウンがジレンに訊ねて怒られているが皆の目的はたった1つ


「嫁さんが欲しい!」


で一致団結しているのだ


「言い争いしてる暇があるならさっさと計画を決めて戻ろうぜ、畑仕事を長く抜け出してると気付かれるんだからよぉ‼」


ガンツはこう見えて律儀者だ


年老いた両親の手伝いを早く再開したくて仕方がない様子だった


「よし、じゃあ祭りの終盤に差し掛かったら…」


俺が手早く話を纏める為に話し始めた時である


「お、おい…ありゃ何だ?」


パルトが空を見上げてビックリしている


「パルト‼そんな冗談は今やめろ‼俺達の人…生…が??」


俺がパルトの指差す方向を見て口をあんぐり開けているのを見て他の奴らも上空を見上げた


「ま…魔物だ‼」

「いや、ありゃ悪魔だろ⁉」

「何でこんな所に?」


俺達は滅多に現れない魔物の襲来に肝を冷やしていた


上空から襲来して来ている魔物は何か分からない言葉の様なモノを発しながら近付いて来ている


「パ、パ、パルトぉ…へ、兵士をよ、呼んで来てくれぇっ‼」


ドウンが情けない声で救援を要請する様に伝えるとパルトは慌てて村へと駆けて行った


「ガ、ガンツ‼ど、どうする?」

「そりゃ…兵士が来る迄時間稼ぎするしかねぇだろ‼」

「だ、だって俺達武器も何も持ってないぜ⁉」


兵士を呼びに行ったパルト以外、俺も含めてだが足がすくんで全く動けなかった


そうこうしている間にも魔物は何やら言葉を発しながら近付いて来る


「…あれっ?…女?」


空から舞い降りて来る人型の魔物の一体はどうやらメスの様で硬い笑顔を貼り付けながらどんどん降りて来ている


「なぁガンツ…メスなら女房に…」

「バカ野郎‼幾ら女日照りだからと言って魔物のメスを嫁にしたんじゃ村八分だぞ?」

「でも…美人さんだぜ?」


…ゴクリ…


段々と近付きつつあるメスの魔物は良く見れば村では見られない位に美人だった


「オ、オレ声掛けてみるっ‼」


余りにも女に餓えていたジレンがフラフラとメスの魔物に近付いて行く


「あっ⁉馬鹿‼自分から魔物に近付いて行くとかあり得ねぇだろ‼」


ガンツがジレンを止めようとするがどうやらガンツはまだ体が上手く動かせないらしい


魔物に魅入られたジレンも未だ体が強張っていた様で足元が覚束ない


「おーい‼兵士さん達に来て貰ったぞー‼」


パルトの声にハッとした俺達は加速の魔法で颯爽と駆け寄って来る兵士に安心して漸く緊張の糸が解れて来ていた


「君達、大丈夫だったか?」


真っ先に駆け付けてくれたのは村の兵士長、炎のアーチさんだった


「アーチさん、あれ!」


パルトが空を指差すとアーチは先制攻撃を仕掛けるべく詠唱を始めた


「…我が身に宿る紅蓮の炎よ、我の前に立ち塞がる敵を燃やし尽くせ…ファイヤーボール‼」


以前アーチさんが魔物を討伐する時に見た事がある炎の球、この攻撃はアーチさんの十八番で最大攻撃でもあった


ゴウッッ!


放たれた高熱の火球はメスの魔物に向かって高速で飛んで行く


「○×△□‼△□‼」


メスの魔物は何やら怒っている様子だったがアーチさんの攻撃を避けられる筈がない


「当たったぁ‼」


…ゴギン!


「「「「「…あれっ⁉」」」」」


爆散必死の攻撃がメスの魔物にヒットしたと思った瞬間、魔物は何でもない様に片手で火球を払いのけてしまった


「う、嘘だろっ⁉」

「マジか?」

「オ、オレの攻撃が…」


アーチさんは自身の最大攻撃であるファイヤーボールをいとも簡単に防がれて茫然自失となっていた


その間にもメスの魔物は上空に待機しているオスの魔物と何やら話ながら降下を続けている


「○×△□、×○⁉」


流石魔物、俺達とは違う言語でやり取りをしている

雰囲気から察するに俺達をどう分けて食べるか?を相談している様だ


「…クッ‼仕方ない、応援を呼ぼう‼」


アーチさんは緊急召集を掛けるべく角笛を吹いた


ブォォ~、ブォォ~‼


「よし‼これで部下全員がやって来る‼君達は危険だから少し離れていなさい‼」


アーチさんの声で我に返った俺達は少し離れて戦いを見る事となった

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