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ゾンビーナ!  作者: とれさん
250/378

250 突入せよ⁉


…ドドドドドドドド…


地鳴りの様な音に日向子が目を覚ますとキメが昨日残ったマウ・エレファントの肉を焼いて朝食を作っている最中だった


「おはよ、キメちゃん。…あれ?デンさんは?」


《デンさんは船の様子を見ると言って歩いて行ったが?》


「…えっ?…大丈夫なの?」


キメは「あっ‼」と言う顔をしたが直ぐに平静を装おっている


《だ、大丈夫じゃないか?多分…》


昨日この洞窟に辿り着く迄に数回魔物に襲われているのだ、船が係留している場所迄無事で済む筈がない


「ちょっと見て来るね‼」


日向子は慌てて飛び立った


バサッ、バサッ、バサッ


「たぁ~すけてくれぇ~っ‼」


デンの悲鳴に気付いた日向子は慌てて声のする方に飛んで行くと丁度鶏の魔物に追われているデンを発見した


ジャコッ、ジャコッ‼


手甲剣を伸ばした日向子は鶏の魔物に対して急降下し、一撃で首を刎ねた


「デンさん大丈夫?」


「こ、此処が魔物の巣窟だってのをすっかり忘れてた‼」


息も絶え絶えのデンはどうやら船が心配の余りに襲われる事を計算に入れていなかった様だ


「デンさんを死なせちゃったらチルさんに申し開き出来ないよ…気をつけてね」


日向子はデンを連れて船迄歩く事にした


船が見える場所迄来るとデンは慌てて走り出した


「てめぇら‼俺の船に何しやがるっ‼」


途中で拾った棒を振り回しながら走っていくデンの先には巨大なフナ虫が群がってデンの船に貼り付いていた


ギギギ…ギシャアッ‼


走り寄るデンの気配を察知した巨大フナ虫は一斉にデンに向かって襲い掛かる


「ちょっ‼ちょっとぉ‼」


日向子は慌ててデンとフナ虫の間に割り込むと手甲剣で一閃、剣圧に耐えられすフナ虫達は木っ端微塵に切り刻まれた


「お、俺の船はぶ、無事かっ⁉」


船体を撫で回す様に確認するデンの姿を日向子は醒めた目で見つめる


「全く…無謀にも程があるわよ…」


だが漁師にとって船は命、気持ちが分かる日向子は強く言えないままただ時間だけが流れていった


「…ふぅ~、とりあえず無事だったな」


小一時間程舐める様に確認していたデンは船体の無事を知ってホッとした様だ


「…デンさん、船が遠くにあったら心配だろうから洞窟の近く迄曳航してあげるね?」


「お、おう‼そうしてくれると助かる‼」


こんな所に船を置いていたらまた無茶をしかねない、日向子は船首に縄を括りつけて飛んで曳航する事にした


「ヒナちゃんすまねぇな」


「いえ、デンさんにはいつもお世話になってますからね。船が壊れちゃったら大変だし」


キメが朝食を作り終えるタイミングで日向子達は洞窟近く迄戻って来た


《主、デンさん、無事だったか?》


「おう‼心配掛けてすまなかったな‼」


「はぁ…朝っぱらから疲れたわ…早く朝食食べましょ」


船が無事でホックホクのデンとは対照的に主に精神的疲労の色を隠しきれない日向子


きっと曳航時にも多数の魔物に襲撃を受けたのだと容易に推測出来た


ともかく日向子達は少し遅めの朝食を堪能し、食休みを挟んだ後にいよいよ洞窟内に侵入を開始した


ドドドド…ゴゴゴ…


洞窟内に入ると激流の音が籠って更に周囲の音を掻き消している


「…○×△□?」


《…○×△□‼》


日向子達の声は耳元で発してもまるで聞こえない


「…おーい!ヒナちゃーん!これじゃ会話が成り立たねぇぞぉ!」


流石漁師、デンの大声はきっちり二人の元に届く


「…△□‼」


《?》


首を傾げるキメとデンの手を引いて日向子は洞窟の入り口迄引き戻す


「これじゃ会話が出来ないわ‼作戦立てなきゃ‼」


日向子は大声で二人に宣言する


《分かったぁ‼》


「おいおい…お二人さん、今は別に声を張り上げる必要ねぇんじゃないかな?」


「《…あっ‼(///》」


デンの尤も発言に二人は耳まで真っ赤になっていたのであった


ーーーーーーーーーーー


「…と言う訳でデンさんはこのまま港まで帰って下さい。私達は最悪飛んで帰りますから」


洞窟の奥に進めばどうなっているか予測がつかない以上デンを連れていく事は出来ないと判断した日向子はこの場でデンを帰す事にした


「大丈夫かい?二人とも会話もままならなかったじゃねぇか…」


デンは不安になって問いかけて来た


「問題ないですよ、キメちゃんとなら触手使うなりして意志疎通は出来ますしね」


日向子はそう言いながら指先から触手をニョロニョロと出してフリフリする


「お、そ、そうか?なら問題ないな⁉」


予想以上にグロい触手の動きにデンは相当引いたが通信手段があるなら多少はマシだ、と判断する


「…じゃあ気をつけてな。絶対帰って来るんだぜ?」


「はい‼」

《主には俺がついているんだ。心配しなくても良いぞ》


船に乗り込んだデンは何度も何度も日向子達の方に振り返り日向子達はデンの船が見えなくなる迄見送った


「さぁて、いざ突入‼」


日向子達は改めて洞窟内に足を踏み入れたのであった

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