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ゾンビーナ!  作者: とれさん
248/378

248 境界線


デンの船に乗り込んでから3日、日向子達の視界に漸く境界線らしき場所が入って来た


「ヒナちゃん、あれが境界線だ。見えるか?」


デンの指差す先にあったのは日向子が前世で見た平面説を地で行くような「地の果て」だった


「ちょっと近くに行って見て来ますね‼」


日向子はキメと共に船から飛び立ち境界線の近く迄近づいてみる


…ドドドドドドドドォー…


「…間近で見ると凄いわね…海の水が滝の様に落ちていってる…」


日向子達の目の前でナイヤガラの滝の数千倍規模の滝が下に向かって流れ落ちている


「こんなに流れ落ちてたら海の水が何で干上がらないのかしら?」


《言われてみればそうだな…》


湧いているのか注ぎ込んでいるのかは知らないが満たされなければ海はあっという間に干上がってしまう


「無事帰って来れたら今度は海の秘密を探しに旅に出るのも良いわね‼」


そんな話をしていた日向子達の真下で急に何かが海面から飛び出して来た


ザパァッ‼


「‼」《⁉》


太い触手に絡め取られそうになり慌てて回避したがどうやら空中への攻撃は得意ではなかったらしくそのまま海中へと落ちて行く


「あれは…イカかしら?」


海面に浮いているのは巨大なイカの頭だ


《主‼デンの船が危ない‼》


キメの言葉に視線を移すと日向子達を襲った触手がデンの船に向かって伸びていっている


「デンさーん‼何かに掴まって振り落とされない様にしていてね‼」


イカが巻き起こす波に揉まれて木っ端の様に揺れている船に声を掛けると日向子は巨大イカに向かって突進した


ギュッ⁉ギョエェェー⁉


突進した日向子がエンペラ(イカ耳)を掴むと巨大イカは悲鳴の様な変な声を発した


「よい…しょっ‼っと‼」


ギョエェッーーー‼


まさか空中に持ち上げられるとは思っていなかった巨大イカが碌な抵抗も出来ずに海面から引っこ抜かれそのまま境界線の方に放り投げられる


…ェェェェェッ…ジュッ‼


「…えっ⁉」


とりあえずデンの船から遠ざける為に放り投げたつもりだったが

巨大イカは境界線の見えない壁に当たった瞬間、半身が消失してしまった


「…あれ?これ私達もああなっちゃう…のかな?」


そう言えば漁師の証言に海鳥が消えてしまう、とかあったのを思い出す


《…生物が境界線に触れるとああなるのかも知れないな…》


今からその境界線を潜って南半球に行こうとしている日向子達にとって余りにも衝撃的な光景だった


「…一旦調査してからになりそうね…」


境界線を越える


これが目下の課題となりそうだ


その後数日掛けて調べた結果、絶望的な答えだけが積まれていった


「…ヒナちゃん、これ越えるのは無理なんじゃないか?」


間近で実験結果を見ていたデンは先程日向子が倒した巨大イカのゲソを炙りながら諦めている


《生物はどんな種類でも境界線を越えられそうもないな》


先程から海洋生物を捕まえては境界線に投げ込んでいたキメももはや打つ手がない、と言わんばかりに呟いている


「でも…行って帰って来た人がいたって事は何か方法がある筈よ?例えば…抜け道…とか?」


言ってはみたものの確証が持てない日向子は語尾が全て疑問形になっている


「昔話だから本当に越えたのかも不確かじゃねぇか…このままだとヒナちゃんを力ずくでも連れて帰らなきゃならねえ」


デンも日向子達に危険な道を歩んで欲しくはないのだ


「う…ん…このままじゃ確かに越えるのは危険よね…何か方法がある筈なんだけどな…」


諦めきれない日向子はデンに頼み込んで境界線の縁付近を航行して貰う事にした


これで方法が見つからなかったら大人しく引き返す、という約束で


巨大イカの襲撃から2日後、日向子も諦めムードに傾きかけていると眼前に島を発見した


「…何だ、ありゃあ…長年海に出ている俺達も知らねぇ島だぞ?」


日向子達の目の前に現れた島は境界線の縁ギリギリにあった


視界が良くないがまるで境界線によって分断された様に島の陸地半分が消えてしまっている様に見える


「デンさん、とりあえずあの島に行ってみましょ?何か分かるかも知れないわ」


日向子に言われてデンも恐る恐るではあるが島に向けて舵を切った


…ザザーン…ザザーン…


数時間後、日向子達は島の砂浜に降り立っていた


「こんな島があるなんて聞いた事ねぇな…」


一緒に上陸したデンは砂浜より先に広がる鬱蒼とした木々を眺めながら呟いている


「デンさん、この島がもしかしたら境界線の向こう側に行ける手段なのかも知れないわ

もし此処を探しても越える手段が見つからなかったら諦めて帰るから捜索させて?お願い‼」


何日も掛けて漸く見つけた可能性


日向子はきっと調べずに帰ったら後悔すると思ってデンに頼み込む


「…しゃあねぇなぁ、じゃあ何も見つからなかったら大人しく俺と一緒に帰るんだぜ?」


「ありがと、デンさん‼」


デンも男だ、幼い頃には冒険心がなかった訳ではない


見知らぬ島を見てしまえばとうに忘れていた冒険心が疼いて日向子の気持ちが良く分かる


こうして島探検が始まったのであった

お詫びに数話投稿しましたが如何でしたでしょうか?

今後もやらかす事は多々あると思いますのでその場合はきっちりツッコんで下さい


早急に善処致します

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