245 未知の世界、南半球
昨日投稿したのが文章被りしていたので訂正しました。
お詫びに数話投稿します
ー翌日ー
「じゃあ行ってきまーす‼」
《シルグ様、後の事は宜しくお願い致します》
旅支度を終えた日向子とキメは留守を頼んだシルグに挨拶をしていた
『主殿、頼んだ側が言う事ではないが無理はするなよ?渡れなかったら直ぐに帰って来れば良いからな?』
シルグは日向子が南半球に行くと聞いて抑えていた感情が吹き出し行方知れずの青竜の捜索を頼んでしまったが
冷静になれば誰一人戻って来なかった南半球へ旅立たせる事をずっと後悔していた
「うん、大丈夫。私一人なら無茶してたかもだけどキメちゃんを道連れに出来ないもんね」
日向子は荷物のチェックをする為に少し離れたキメを見ながらそう答えた
『…そうか。では我は主殿とキメの帰りを待つ事にしよう』
「うん‼ゴルド領と神獣運輸の事、頼むね‼」
日向子はそうシルグに言うとキメと共に南半球へ向けて旅立って行った
バサッ、バサッ、
《主、先ずはサザンスへ行くのだな?》
飛行中キメは日向子に旅程を訊ねた
「うん、いきなり「縁」に行っても通過出来るか分からないしサザンスの住民なら情報とかあるかも知れないでしょ?」
《成る程、じゃあサザンスで「縁」の情報を集める事が優先なのか》
「そう、だから先ずはデンさんの所に行ってみようと思ってるのよ」
デンとは神獣運輸で働いているコロンの父親で以前お世話になった漁師だ
「あれからチルさんにも会ってなかったし丁度良かったかもね」
日向子達は眼下に広がる漁師町に向けて降下を始めた
「あらっ⁉ヒナちゃん⁉マイラもどうしたの?」
庭先で洗濯物を干していたチルは急に現れた二人に驚いている
「チルさんこんにちはー」
《久しぶりだな》
「またバカンスに来たの?」
「んー、まぁそんな感じです。デンさんはいますか?」
「ごめんねぇ、今ちょっと漁に出てるのよ」
「じゃあちょっと待たせて貰って良いですか?」
「良いけど…コロンが何かした?」
チルは娘のコロンが不始末をしたのでは?と疑っている
「あ、そうじゃないんです‼ちょっと南半球の事を聞きたくて…」
「な~んだ、南半球の事?。。。み、南半球!?」
チルはキレイなノリツッコミを見せながら二度見した
「ヒ、ヒナちゃん…まさか…?」
「えぇ、ちょっと南半球に行こうと思って」
日向子の返事にチルは持っていた洗濯物を思わず落としてしまう
「た、大変‼ちょっ、ちょっと待ってて‼今旦那呼び戻すからね‼早まらないで⁉」
「あ‼ちょっ⁉」
日向子達を置いてチルは慌てて港へ走って行ってしまった
「…取り乱させちゃって悪い事したなぁ…」
《そりゃ南半球に行くと突然言われればあああるだろ…》
キメは順を追って話さなかった日向子に呆れ顔で答えた
一時間程庭先で待っているとチルに手を引かれたデンが戻って来た
「おいおい、一体何だって言うんだよ?」
「あ、デンさん。こんにちはー」
「お?ヒナちゃんか、久しぶりだねぇ‼娘が何かやらかしたかい?」
ペチンッ‼
「痛てっ⁉何しやがる⁉」
チルはのんびり挨拶しているデンの頭を思いっきりひっぱたいた
「あ、あんた‼ヒ、ヒナちゃんが南半球に行くとか言ってんのよ‼早く止めて!」
「ほー、南…み、南半球ぅ⁉」
事情を知らない日向子には二人のリアクションがオーバー過ぎて全く伝わっていない様子だ
「ヒ、ヒナちゃん、悪い事ぁ言わねぇ。南になんか行かねぇ方が良いって‼」
漸く事態を飲み込めたデンは日向子達を引き留めようとする
「…そんなにヤバい場所なんですか?」
「ヤバいなんてモンじゃねぇよ‼俺達サザンスの漁師が何人消えたか分かりゃしねえ‼悪い事ぁ言わねぇ、本当に考え直してくれや」
デンの必死さから見て過去に何人も行方不明になっている事は明らかだった
「でも行ってみたいんです。もう少し話を聞かせて下さい‼」
頭を下げて頼み込む日向子にデンはため息をつく
「…仕方ねぇなぁ…じゃあ夜迄待って貰えるか?漁師仲間にも聞いてやるからよ」
「ありがとうございます‼」
デンはサザンスの漁師全員を集めて南半球の事を聞かせてくれる段取りをつけてくれる事になったのだった
ーその夜ー
デンに集められた漁師仲間が町にある酒場に集っていた
「…ヒナちゃん、悪い事ぁ言わねえ。止めとけって‼」
「オ、オラもそう思うだよ‼あんなおっそろしい所の先に行くなんて正気の沙汰じゃねぇよ」
本来野郎共が酒場に集えば飲めや食えやのどんちゃん騒ぎになる筈なのに今日はまるで通夜の様に静まり返っている
「ほらな、皆同じ事しか言わねぇんだよ。あの境界線を越えて向こう側にわざわざ行くなんて誰も考えねぇさ…」
デンは仲間達の意見を日向子に聞かせた上で諦める様に諭した
「でも…行ってみたいんです。もう少しお話聞かせて下さい‼」
日向子はデンや漁師達の引き留めに耳を貸さず逆に頭を下げた
熱意に負けたデン達は渋々境界線の状況や不明になってしまった過去の出来事等を語りだしたのであった




