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ゾンビーナ!  作者: とれさん
24/378

24 日向子、スカウトされる


ーエレモス城の中庭ー


「…何と言う事だ、あのゴメスがこの様な負けを喫するとはな」


王が親衛隊長の姿を呆然と見つめる。彼は、というかこの場にいる全員が


「やーん、やっぱり強い~」

「はっはっはっ、こんなモノか?」

「え~ん、全然動かな~い‼」


みたいな展開しか思い描けなかった


それがどうだ?蓋を開ければゴメスは瞬殺され勢いのまま壁際まで吹っ飛ばされてしまっていた


「ヒヒンッ♪」


それを見ていたスレイプニルのニルは《な?俺様の主は凄いだろ?》的なドヤ顔を見せつつ嘶いた


「…はっ⁉ひ、日向子殿の勝ち!」


ピールはニルの嘶きに我に返り日向子の右手を高々と掴み挙げる


「えへへ、やったぁ♪」


実は負けず嫌いな日向子はピョンピョン跳ねて喜んでいる


「…隊随一の膂力を持つゴメスを瞬時に倒すとは…素晴らしい!」


王は日向子の力に一目惚れしてしまった


「日向子、我の側近護衛にならぬか?歓迎するぞ?」


「え?」


「伯父上、また悪い癖を…」


「側近」「悪い癖」。。。


このワードに日向子は時代劇の定番、「帯くるくる」 を連想してしまった


「あ~れ~‼」


「⁉日向子?」


「…コホン、失礼しました。私まだこの仕事を立ち上げたばかりで…流石に転職は考えておりません」


「うーむ、そうか。残念だ…」


王は肩を落として本気で悔しがっている


「日向子殿、伯父上の惚れっぽさは歴代の国王譲りだ。気をつけると良いぞ」


「あはは、肝に銘じます」


日向子は看護師時代に培ったスキルでサラッと躱す


天使の笑顔にほだされ何人の患者が告白→撃沈した事か…

ただそのスキルのお陰で未だにユニコーンに好かれている矛盾に本人は全く気付いていなかった


「では…せめて我に日向子の商売が軌道に乗る為の手伝いをさせてくれ。」


この言葉の裏には王様の思惑が見え隠れしていたが王自ら宣伝してくれる魅力は手放し難い


「じゃあ…お言葉に甘えさせて頂きます」


「うむ、全力で支えようぞ‼」


・日向子→運輸の発展

・王様→あわよくば側室ゲット


お互い違う欲望だが過程の利害が一致した瞬間であった


。。。


「では伯父上、また来ます」


「おう、今度も土産を楽しみにしておるぞ」


「あはは、これ以上となると難しいですよ」


「日向子、これからは我の下に時々は顔を出すのだぞ?」


「はぁい、王様♪」


日向子は「王室御用達」の認可証をヒラヒラさせながら王様の言葉に応えた


ナチュラルボーンオッサンキラー


生前の日向子が親友から賜った称号である


「じゃあ出発しまーす」


日向子は意気揚々と城を出たのであった


ードルネ商会前ー


「ヒヒーン」


「これは日向子様、お帰りなさい」


「ドルネさん、王様から良いモノ貰っちゃったよー‼はい、これ」


「これは…御用達の認可証じゃないですかっ⁉一体何を…?」


「えへへ、何でか王様に気に入られちゃったの☆」


「あはは、日向子殿は見事伯父上をたらしこんだのだ」


「たらしこむとは…ピール様?」


「色香を売るでもなく何を媚びるでもなく日向子殿は伯父上のお気に入りになったのだよ」


「…そんな事が?」


ドルネは現国王の好色ぶりは噂で聞いていた為最初はお手付きにでもなったのか?

と国王の甥を紹介した己を恨んだが聞けば誘惑をサラッと躱して実だけゲットしたと言う


この時ドルネも気付いていなかったが「紹介したのを後悔」するのはドルネも又日向子の魅力にヤられていた証拠でもあった


「あはは、日向子殿の爛漫さは既婚の私にも眩しい位だからな。伯父上もイチコロだったぞ」


「そんな事が…」


「では日向子殿、これは今回の報酬だ。受け取ってくれ」


ピールは日向子に金が入った革袋を手渡した


「ご利用ありがとうございました。またご依頼下さいね‼」


「あぁ、今後はきちんとした用事で頼む事にするよ」


「はい‼」


ピールは待たせていた自分の馬車に乗り換えるとドルネ商会を後にした


「それにしてもやりましたな‼王室御用達となれば口コミを広めなくとも客が勝手に殺到しますぞ?」


「え?そんなに効果あるんだ?」


「そりゃもう‼商売人には喉から手が出る程欲しい証文ですよ」


「へぇ。そうなんだ」


日向子にしてみれば貰えるなら、と頂いてきた「紙っぺら」がそれ程の効力があるとは未だにピンと来ていないのであった


ーピレネー村ー


「ただい…ま?」


日向子が村へと戻るとシロ達が何かに群がって遊んでいる


「シロ、何してるの?」


「⁉…くぅん…」


シロ達が日向子に気付いて一本下がると…何故かボロ雑巾の様に揉みくちゃになっているゴメリが倒れていた


「えっ?ゴメリさん大丈夫?」


日向子が駆け寄りゴメリを抱き上げる


「フ…フフフ…オラぁにはまだシロ達を扱うのは無理だった…様だ…(ガクッ…)」


「あぁ、ヒナちゃんお帰り」


そこに偶然通りがかったカント婆さんが声を掛けてきた


「全く…ゴメリは何やってんだか」


話を聞くと村の子供達に良い格好しようとシロに跨がり曲芸紛いのパフォーマンスを敢行しようと鞭を入れたが

激怒したシロに撃退され更にブルピット達の遊び道具にされていたらしい


良い事ばかり起こった1日の最後の〆はゴメリの失敗で日が暮れたのである

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