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ゾンビーナ!  作者: とれさん
231/378

231 爺様ハッスル‼

本日は2話投稿します


バサッ、バサッ、


「こんにちはー‼ウシャさんいますか?」


ゴルド城を飛び出した日向子は一直線にウシャ爺の工房を訪れていた


「日向子様⁉…師匠は今ご自分のお部屋で何か研究をされていらっしゃいます。お呼び致しましょうか?」


「あ、大丈夫。直接工房に行ってみる‼」


日向子は1秒たりとも無駄にしたくない、と言わんばかりにウシャ爺のいる工房に向かった


コンコン、ガチャ


「ウシャさんいる?」


「おぉ‼ヒナちゃん‼どうしたんじゃ?こんな所にまで来て」


ウシャ爺は突然現れた日向子に驚いている


「ウシャさんにお願いがあるんだけど…良いかな?」


「ん?おお、何でも言うとえぇぞ。ワシゃ今活力に満ちておるからのう‼」


「…何か怪しい薬でも使ったの?」


「失敬な‼ちと新しい回復薬を試しておるだけじゃ‼」


ウシャ爺は腕をブンブンと振って力こぶを作ってアピールした


「あのね、ラクルさんを元気にする薬って出来ないかなって思って」


「おお、あのバンパイアの王様な。うーむ、少し時間が必要じゃの…

何せバンパイアの身体構造を調べんと薬を調合出来んでの」


「あ、じゃあなるべく急いで研究して貰える?」


「うむ。今いる元老院の誰かに手伝って貰えるなら進みも早くなるじゃろうて」


「それなら私からお願いしておくね‼」


日向子はその足で元老院達がいる研究棟を訪ね研究の助力を頼んで城へと戻った


『主殿、そう言えば長老が主殿に至急来て欲しいと連絡があったぞ?』


「あれっ?…もしかして失敗しちゃったかな?」


『失敗って…まさか長老に何かしたのか?』


「うん、元気が出る様にってキメちゃんから貰った細胞を分けてあげたんだけど…」


《えっ!?》


『…まさか…長老の身に何かあったのか…』


「何かあったのならワイトさんから連絡が来る筈でしょ?長老本人からの連絡だから大した事ないのよ、きっと」


日向子の楽天的な発言にシルグとキメは頭を抱えるが考えてみればその通りだった


「一応長老さんの所へ様子を見に行ってくるね、ちゃんと元気になったか確認したいし」


『あぁ、では宜しく頼む』


慌ただしく飛び立つ日向子を不安げな表情で見送るシルグとキメは万が一に備えて戦う準備をしておく事にしたのだった


。。。


バサッ、バサッ、


「ワイトさーん、連絡があったって聞いたんだけど」


急いでドラコニアにやって来た日向子は挨拶もそこそこにワイトの下を訪ねた


『…日向子、長老に一体何をしたんだ?』


ワイトの深刻な表情に日向子は嫌な予感がした


「えっ!?…長老さんには色々相談に乗って貰ったし…

お礼も兼ねて元気になるおまじないをしたんだけど…いけなかった?」


『いけないなんてもんじゃないぞ?…中庭を見てみろ。』


ワイトにそう言われて日向子は奥にある中庭に目を落とす


『…ふんっ‼ふんっ‼』


そこには先日会った時とは見違える程元気な長老がダンベルを持ち上げて運動していた


「長老さぁーん‼」


『おお‼小娘か‼どうじゃ?まだまだイケとるじゃろう?』


長老はゴリゴリの筋肉を日向子に見せつけた


「元気になって良かった」


『ワハハ、お主のくれた命の種がワシの活力を甦らせてくれた様じゃ‼感謝するぞ‼』


すっかり若返った長老を見てワイトがため息をついている


『…はぁ~、日向子が何をしたのか知らんがすっかり生気を取り戻してな…

あれから毎日酒盛りに付き合わされてこっちはエライ迷惑を被っているのだぞ?』


どうやらワイトの悩みは復活した長老に振り回されて困っての事だぅた様だ


『ふー、良い汗をかいたわい‼』


そんな日向子達の下に長老が汗を拭きながら戻って来た


『ワイト‼大事な客に茶も出さんとは何事じゃ?急ぎ茶を用意せい‼』


『はっはいっ‼』


ワイトが侍従に指示すると急遽ティーセットが運ばれて来た


『うむ。小娘、さあ一緒に茶を楽しもうではないか』


日向子達は着席し、紅茶を嗜む


「長老さん、何かとても元気になられましたね」


『うむ。お主が与えてくれた力がワシの竜核を活性化してくれた様でな、

朽ち果てるのを待っていたワシに再び活力を与えてくれた様だ』


『そ、そういう事だったのですか⁉道理で…』


日向子がお礼として分け与えたキメラは長老の体内で増殖し、既存のドラゴン細胞を励起しつつ修復を行ったのだ


お陰で長老の体は若返り見た目だけならワイトよりも若く見える


『日向子、だったな。死を待つのみだったワシを甦らせてくれた事に感謝するぞ』


ドラゴンの死の定義は加齢だけとは限らない

万を越える年月を生きる種族にとって肉体の老化よりも精神力の枯渇の方が死の要因になり得るのだ


日向子が与えたキメラ細胞は長老の体を修復しただけでなく活性化させた事によって

活力を取り戻させていたのだ


『この礼はいつか必ず返すぞ』


日向子は元気になりすぎた長老を微笑ましく見つめていたのだった

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