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ゾンビーナ!  作者: とれさん
229/378

229 それはそれで…


「私、この世界に転生して来たんです。ゾンビとして」


日向子は自らの出自を話した方が良いと考え最初から話す事にした


『ほう、』


「近くの村人に助けられて色んな家族が出来てシルちゃん…シルグさんやワイトさん達とも出会って…

バンパイア族のラクルさんに殺されて…その時キメちゃんとシルちゃんに助けられたんです」


日向子はこう説明したが長老は目を細めた


『うむ、お主の話は要領を得ておらぬ。どれ、此方に。』


長老はそう言うと岩と同化していそうな腕に日向子を呼び寄せた


…グゴゴ…ガラガラガラ…


『この掌に額を乗せてみぃ』


日向子は長老の掌に言われた通りに額を当てる


『…ほぅほぅ。そうか、成る程のう…』


長老はどうやら掌に触れたモノの過去を知る事が出来る能力を持っている様だ


『もう良いぞ』


日向子は言われた通りに頭を上げる


『お主の聞きたい事とは竜核が何故生まれたか、と言う事と自身の体の変化の謎を聞きたいのじゃな?』


「そうです」


長老は暫く考え込んで答えを探す


『先ずお主の竜核じゃが空の器に命が満たされた為に生まれた偶然の産物じゃよ』


「?」


『お主はゾンビとしてこの世に生まれ変わった。

この段階ではお主は過去の記憶に縛られた魂が宿った人形の様な存在だった

ソコにキマイラの細胞が交わりシルグが生命エネルギーを注いだ事によって細胞の核が生まれた。それがお主の竜核じゃよ』


長老は尚も続ける


『死したる器に命が吹き込まれ人間でもゾンビでもない新しい種族として生まれ変わっておるわ』


日向子はやっぱり、と言う顔で頷いている


「この体が新しい種族だから能力の枯渇が起きないのですか?」


『ふむ、それはちと違うな。キマイラより受け継いだ細胞が変質しておる為だ。

お主は自然界から活力を得て能力や加護を発動させておる。

無限ではないがその気になればこの星が枯れる迄活力を引き出す事も可能じゃろうて』


…うーん?元○玉みたいなモノかな?というザックリ理解をした日向子に長老は頷いた


「あれ?考えてる事が伝わるんですか?元○玉とか…」


『先程掌で読んだ記憶はなかなかに興味深かったぞ、お主の前世の世界は面白い所じゃな』


長老は目を瞑り日向子の前世を改めて見直している様だった


『…兎も角お主は今の生活も楽しんでおる様だ、それで良いぞ』


「あの…私の寿命って…」


日向子は思う所があってもう1つの疑問を話す


『…そうじゃな…お主は既に人間の理を脱して竜族に近い存在じゃ。

そこにキマイラの細胞が渾然一体となっておるからどうとも言えぬが想い人と添い遂げる位は問題なかろうて』


「あ…(///」


長老は日向子の不安を察して先回りして答えてくれた様だ


恥らう日向子に長老は目を細め懐かしいモノを見ている様な表情を浮かべた


『ワシは長く生きた。もうそれほど長くはなかろうて…最後に新芽の初々しさを見せてくれて感謝するぞ…』


長老の言葉は日向子には少し難解過ぎたがニュアンスだけはしっかり伝わっていた


「私の気持ちに答えてくれて感謝します」


『堅苦しい言葉は不要じゃ。そうじゃの…もうワシとお主は爺と孫みたいなモノじゃよ』


「…ありがと、長老様」


日向子は今にも眠りにつきそうな長老の頭にハグをした


『もう少し若ければ…お主の開く未来を見られたモノを…』


長老はそう言いかけて眠ってしまった様だ


「…おやすみなさい、長老様」


日向子は長老を起こさない様に静かに洞穴を抜けてワイトの城に飛び去ったのであった


バサッ、バサッ、スタッ


『おぉ日向子、長老とは話せたか?』


日向子が戻った事に気付いたワイトが訊ねる


「うん、とっても良いお爺さんね」


日向子の言葉にワイトは目をまん丸にしている


『…あの偏屈ジジイが?』


「うん、優しくて物知りでとっても温かい竜だったわ」


ワイトは信じられない言葉を聞いた、と言わんばかりに首を傾げている


『…若い娘にまだ欲が涌くのか?』


ワイトはハラスメント的な発言をサラッと言い放った


「ところで長老様は何処かお体が悪いの?」


『ん?恐らく老衰ではないのか?確か万年を越えるか越えないかの年月を生きているしな』


「そっか、ところで質問良いかな?」


日向子はワイトに少し質問をすると再び長老の洞穴に向かって羽ばたいた


『…今度は何をやらかすつもりなのだ…?』


飛び去る日向子をワイトは不思議そうに見送った


バサッ、バサッ、スッ…


日向子は寝息を立てている長老に近付くとソッと手を当てた


「…上手くいくかは分からないけど教えてくれたお礼ね☆」


日向子は長老の頬にキスをすると静かに洞穴を離れた


「じゃあワイトさん、ありがとう」


『あぁ、何かあったらまた来ると良いぞ』


「うん、じゃあまた♪」


そう言い残して日向子はラクルの居城に向けて飛び立って行ったのだった

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