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ゾンビーナ!  作者: とれさん
224/378

224 戦後処理をしよう


バチルス達はバンパイア族の軍法会議に従い処刑を宣告された


(死して貴様等バンパイア共に万年の災いをもたらしてくれるわ‼ギャハハハ‼)


不死が故にバチルス親子の処刑はかなり残酷な方法で行われる


バンパイア族の死刑は日向子が温泉を掘り出した近くの活火山にて火口投棄の刑に処される


吊るされたまま下ろされる為に足元から激痛が走り断末魔をあげながらゆっくりと死んでいくのだ


…ジュッッ、ギャアァァァ‼


溶岩に触れた瞬間体内の水分が蒸発し炎に包まれるが不死の体はその程度では死なない


(グガァ‼ギ、ギザマダチ…ユルサ…)


バチルスの最後の言葉は聞き取る事が出来なかった


処刑と平行して行われたのは功績を讃える叙勲式だったが今回最大の立役者である日向子やドラゴン達はあっさり辞退したために

叙勲式は取り止めて祝賀会をする事になった


「こんな事しなくて良いのに…」


日向子の困惑ぶりを他所にドラゴン達はワサワサと食事にかぶり付いている


〈まぁそう言うな。功績を上げた者に褒賞を与えねば立場がなくなるのだ〉


ラクルは苦笑いをしていた


日向子達が叙勲や褒美を断れはラクル配下達への労いが難しくなる事は領主である日向子にも少しは察して欲しいと思っていたのだ


「まぁとにかく戦争は終わったし狂犬病ウイルスもほぼ駆逐出来たわ。今日位は飲んで食べて楽しく過ごしましょう」


日向子はお皿を片手にうろうろし始めた


《日向子様、どうぞ》

《あっ‼日向子様‼先ずは一献‼》

『日向子殿、俺からも』


日向子が数歩歩くか歩かないかの内にワーウルフやワイト達が日向子の杯に酒を満たしその都度乾杯をしていく


《…主…不味くないですか?》


キメは日向子の乾杯ピッチに戦々恐々としてシルグに訊ねる


『…まぁ無礼講だ、今日位は仕方あるまい』


日向子が用意された席に戻る頃には料理が山の様に皿に盛られその顔はタコか?と思わんばかりに真っ赤になっていた


『えー、この宴のついでに黒竜の出産祝いも兼ねようと思う。我等が集まって祝う事なぞなかなかないからな』


『『『乾杯‼』』』


シルグ達はにやけるラルドに色々聞き出して茶化していく


『そうか、メスか‼ではいずれ何処ぞの竜にほだされて…ワハハ、楽しみだな‼』


『…そんな輩は全て灰塵に帰してくれるわっ‼』


『まぁまぁ、そんな何千年先を憂いても仕方あるまい?可愛いのだろう?』


シルグの言葉にラルドが蕩けそうな笑顔でニマニマする


『まぁなぁ、黒竜に似て美人になるぞ、あれは』


『ワハハハ‼まさかラルドがそこまで子煩悩だったとはな‼』


四竜の楽しそうな会話の側で約1名、どす黒いオーラを放つ者がいた


「…羨ましい…」


地の底から涌き出る様な声にハッとするシルグ達が振り向くとそこには…


赤い悪魔が出現していた


「私だって…私だって子供が欲しいーーーーーーーーっっ!!」


ギンッッッッ!!


っ!!??


完全に悪酔いしていた日向子はバンパイアアイの能力をフルパワーで放った


ラクルですら抗えぬ強力な幻覚に囚われたその場の皆はイケメンの夫と愛くるしい子供達に囲まれ

真っ白な家でイチャイチャしながら幸せに暮らす日向子の妄想を旦那との出会いからガッツリ見せられた


日向子が酔い潰れて効力が切れる迄続いた幻覚により甚大な精神被害を及ぼした


発狂;二千名、失禁;千五百名、失明等の重傷者;七百名、心的外傷後ストレス障害、所謂PTSDを訴える者四千三百名

幻覚時に暴れて器物損壊した者、加護を発動し城を半壊させた竜、


同種の能力でのレジストに失敗したラクル等は昏睡状態に陥ったまま未だに目を覚まさない有り様だ


「…ごめんなさい…」


土下座状態で治療を行う日向子はあちこちに謝り倒して米つきバッタの様な1週間を過ごした


「赤い悪魔事件」


その後どこからともなくそう呼ばれたこの事件は万年続くバンパイア史の中でも最大級の災害として歴史書に刻まれる事となったのであった


。。。


〈気に病む事はない、我々の力が及ばなかっただけだ〉


床に臥せるラクルが弱々しく言葉を掛ける


「ラクルさん…本当に全快する迄看病しなくて良いんですか?」


日向子はラクルの寝室で申し訳なさそうにしている


〈日向子にもゴルドの領主としての職務があろう、我の事ばかりに構っていられる立場ではないだろう?〉


そう言うラクルは遠い目で窓の外を眺めている


「領内はキメちゃんとシルちゃんが代行してくれているから大丈夫ですよ

まだ全快していないのにこのまま帰ったら…私はきっと後悔します…」


涙を浮かべた日向子にラクルも掛ける言葉を失う


「もう少しだけお世話させて下さい。お願いします‼」


そう言って深々と頭を下げる日向子を断る理由をラクルは持ち合わせていなかった


生まれてこのかた他人を信じる事が皆無だったラクルの心に理解不能な感情が芽生えていた

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